39話 少しだけの進展
なかなか時間がなくなるこの頃。
あまり望まれてはないかもだけど投稿は続けるぞぃ…
学校から帰った俺はニヤニヤした顔で自分の部屋にいた。
「しかし、先生もあの時ぐらい見逃してくれても…」
俺は不満でそう1人で呟いた。
学校から帰る時、楓の後を追いかけて俺は走ったのだが、先生に止められたのだ。しかも俺だけだ。廊下を走るな、とテンプレの言葉だった。
「いやでも。そのおかげで冷静になれたのか…?」
先生に捕まった時には俺は冷静になれていた。気持ちを落ち着かせることができた、と思う。まあ、雰囲気は壊れたけど…。俺は冷静に慣れたが靴箱で待っていた楓は顔が真っ赤なままで照れ臭そうだった。帰り道も言葉は少なく帰宅する形になっていた。
しかし、俺が遅れてきたことに不思議そうに、どうしたの?って言ってきた楓。かわいかったな。
そんな事を考えてまたニヤニヤとしていると声がする。
「なにニヤニヤしてるの?キモいよ?」
「なんでも…。え?」
なんでもない。そう言おうとした俺だが、聞こえるはずのない声がしたのでそちらを見る。そこには今、大学に行っているはずの姉がいた。
俺の姉の神谷七海。今年で大学2年生になっる金髪のちびっ…
「大地…?」
笑顔の怖い姉貴がそう言う。寒気がした。余計なこと考えただろ?口には出していないがそんな事を言われている気がする。家族の長い付き合いのせいだろうか。こんなところで出したくはないものだが。
でも、身長。低いんだもの…。と俺が考えていると、
「うっ!?」
俺は腹に蹴りを受けてうめき声を上げた。俺は姉貴から蹴りを受けていた。痛いは痛いのだが、絶妙な力加減はされている。正直、姉貴が家にいる時は結構受けていた。俺も慣れたものだが逆に言うと姉貴も慣れたものだろう。
「あ、ごめんね。つい蹴っちゃった」
姉貴は軽い感じでそう言う。いつものように口では謝っているが、感情はこもっていない。
それはわかっているが俺は言わずにはいれなかった。
「や、謝るくらいなら蹴らないで欲しいんだけど…?」
「でもそれは大地のせいでしょ?」
即答でそう言われて俺はいつものように折れる。反論しても結果は変わらないからな。
「…おっしゃるとおりです」
「うん。それはそれで、大地。なにニヤニヤしてたの?」
納得したように頷いた姉貴は今度はニタニタとイヤらしい顔をしてそう聞いてくる。
わざわざ家族に話すことでもないし、話すのが恥ずかしかった俺は誤魔化す。
「あ、姉貴には関係ないだろ!」
俺はそう言って、俺は話さない。ハッキリではないが感じ取れるように言う。
俺がそう言うことで姉貴は俺が話さないと言うことが分かったのだろう。頷きながら、姉貴は言う。
「ふーん。そう?なら当ててあげよっか?」
「え?いや無理だろ?」
俺は普通に当てれる訳がない。そう思った。いや、思っていた。
「多分だけど。…女の子?それも隣に引っ越して来たって言う子」
な、なぜ…?と俺は思うが姉貴は続ける。
「それで今日。何かしらアプローチされたんでしょ?」
「…」
俺は図星で黙るしかなかった。
俺が黙っていると姉貴は言葉を続ける。
「図星?大地も大概ね。私の時も…。いや、これはいっか」
そう言って頭を振る姉貴。
私の時も…?ということは姉貴にも何かあったということだろうか?いや、まさかな。そんなとこを考えていると睨みをきかせて姉貴が言う。
「大地?」
「い、いや、気のせいじゃないかな」
「誤魔化し方も適当で似てる…」
なんだか姉貴が懐かしいものを見るような目になってしまった。一体なんだと言うのだ。
そんな事をしていると、部屋のドアがノックされる。
「どうぞ?」
俺は疑問に思いながらも返事をする。
家族でノックする人は基本いない。トイレなどは別だが、部屋にノックされた事などない。なら何故ノックされたのだろう?
姉貴も不思議そうに扉を見ている。
すると、俺の返事を聞いたのか扉がゆっくりと開いて私服姿の朱音が入ってくる。相変わらず可愛らしい洋服だった。
あれ?なんで朱音が?俺は疑問に思って質問する。
「朱音?どうした?」
俺がそう言う。朱音はまさか姉貴がいると思ってもいなかったのだろう。驚いた様子の朱音は言う。
「お、お邪魔して、ます。お姉さん」
「あれ?朱音ちゃん?なんだか更に可愛くなったね!?」
確かに前に比べて可愛らしくなったと俺も思う。大人びた雰囲気と前髪で隠していた可愛らしい顔が見えるようになり、雰囲気と顔のギャップというのだろうか?そのおかげで磨きがかかっているように俺は思う。
姉貴が話しながら朱音に近づいていくと身長の差が分かる訳で朱音より僅かに背が低い。あくまで僅かだと言っておく。姉貴の面子にかけてな。
俺は蚊帳の外でなんだかんだと2人で話した後、姉貴が言う。
「それじゃ私。行くから!朱音ちゃん。邪魔してごめんね!」
「い、いえ。わたしもお姉さんと会えて嬉しかった、です。」
「いい子すぎる!大地が羨ましいよ〜」
「はいはい。早く行ってくれ…」
俺は幼馴染と姉貴がいるこの空間が居た堪れなくて投げやりにそう答えた。
そうすると姉貴は部屋から出る時に一言。
「それじゃ若い2人で後はよろしく!」
パタン。扉が音を立てて閉まる。
俺と朱音は姉貴の放ったその一言で気まずい雰囲気のまま、部屋にいることになった。
若い2人って姉貴もまだまだ若いだろ。後から俺はそう思った。
話がなかなか進まないから姉貴が出て来てきちゃった…。




