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気がついたら、隣の彼女が好意を抱いていた。  作者: ラブコメに憧れた作者 愛楽(あいらく)
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30話 ちょっとした出会い

どうも、愛楽です。

時間を置くと書けなくなるのがわかり始めたこの頃です。

「はぁ…。やっぱ、ここのフィールド疲れるな」


そうぼやきながら俺はセーフゾーンに向かう。

ここのサバゲーフィールドは山の傾斜にある屋外フィールドで、待機所、セーフゾーンは上の方にある。そのため帰る時はちょっとした山登りのようになるのだ。

俺がぼやいていたら、若い男性の声がする。


「傾斜すげぇすからね!ここのフィールド!」


と、元気そうな声で男性は言う。

まだ、フィールド内でゲーム中のはずなので、俺は話しかけられたこと自体に驚いた。そもそも独り言のつもりだったのに。

その男性の顔はゴーグルとスカーフで見えないが、声色からおそらく俺と同じくらいの年齢だろうと思う。あと、帽子から金髪が見えているので染めているのだろう。完全に個人的な意見なのだが高校生で染めていると大体チャラいので俺は苦手だった。まあ、この人は普通にいい人そうだけど。


「そうっすよね。せめて、せめて階段作ってくれればいいのに…」


俺は切にそう思いながら言う。

だってここ、獣道みたいになっているのだ。砂利とかじゃなくて土砂。とても歩きづらい。

若干口癖が移っているが気にしない。

すると男は頷きながら同意してくれようとした。


「そうっ…」


おそらく、そうっすよね、と言いかけた男性の声を遮って、今度は女性の声が聞こえる。


「ごめんさない!ほーら!ハルト!退出している人の邪魔しないの。迷惑でしょ!」


そう言って謝りながら、男性の首根っこを掴んで連れて行っている女性。多分、その女性も俺と年齢は近いのだろう。ただ、水色の髪の毛は見えるのだが、全身を覆うほどの重装備をしているので、年齢はわからない。あと、声も聞けなかったら女性かどうかも分からない、そんなレベルでの重装備だった。

そんな女性にハルトと呼ばれた男性は驚きの声をあげていた。


「うわぁ!ユキホ!行くから引っ張るなって!すんません。そう言う事で、ではっ!」


そう言ってハルトと呼ばれた男性は一言こちらに謝って駆けていった。


「あはは…頑張って」


俺は苦笑しながらそう言うことしかできなかった。

するとハルトと呼ばれた男性は背中を向けながらサムズアップで返してくれた。

こういう時はやっぱり返さないとな!と俺も見えないだけど、サムズアップで返していた。

こういう時のちょっとしたアクションはテンションが上がる。男心なのだろうか?うん、そう言うことにしておこう。



ちょっとした出会いがあった俺が待機所に着くと、一足先に退出していた樹が鉄パイプで組まれた高台にいた。そこからフィールド内が見えるようになっているので、そこからこちらを見ていた。


「よう!大地。やっと来たか。なんか話しかけられてたな?」


樹は手を上げながら、いつもの陽気な声で質問してくる。


「まあな。大した事ではないけど」


そう言いながら俺は樹の隣に行く。


「そうか?まあ、それならいいけどさ。ほら、ゲームを見てみろよ」


樹が言うので俺はフィールドを見る。

今日のゲームには20人いた。それを2つのチームに割り振っているので、1チーム10人。

上から見ると俺たちの赤チームはあと6人。逆に黄色チームは4人と、俺たちの赤チームが優勢ではあった。

しかし、先ほどの2人が黄色チームで活躍しているようだ。


「さっきの2人か。すごいな」


俺は樹に言う。いや、言ったつもりだった。


「大地。あの2人、強い」


「うわっ!朱音か。いつの間にいたんだ?」


俺は後ろから声が帰ってきて驚いた。

いつの間にか後ろに朱音と桜木がいたのだ。


「さっき。あの2人にやられた」


そう言いながら例の2人を見ながら俺の隣に朱音がやってくる。


「そうか。始めたてであそこまで残れたら上々だから気にするなって」


「でも、なんか悔しい」


フルフェイスのマスクをしているので表情は見えないが、声色で悔しいことが伝わる。


「次頑張ればいいさ。撃たれて経験していくもんだからさ。なぁ?樹?」


俺はフォローしようとしてもう1人の経験者である樹に声をかける。

返事がないので俺は横を見ると、樹と桜木がいつの間にかイチャイチャしていた。2人とも肩を合わせるようにして体を寄り合わせている。

そうして桜木と会話していた樹に俺の言葉は届いていなかった。


「え?なんだって?」


と、樹に聞き返される。


「いや、なんでもない…。気にすんな」


「そうか?」


樹はそう言って桜木はまたいちゃつき始める。

うん。わざわざ2人を邪魔するのも悪いしな。しかし、2人のあんな顔初めて見たな。惚けているというかなんという。まあ、幸せそうで何よりだ。

そんな風に2人を見ていると、隣にいる朱音に声をかけられる。


「大地。わたしたちも、その、イチャイチャ、する…?」


少し震えた声の朱音からそう提案される。多分、顔は真っ赤になっている。顔は見えないけど雰囲気でわかる。


「え?」


俺は思わずといった声が出てしまった。そりゃいきなりそんなこと言われたらこうもなるだろう。

隣の樹たちに感化されたのだろうか?それともあれか?隣でイチャつかれて気まずいから、こっちもいちゃついてイーブンにしようと言うことか?いや、それは訳が分からない。あまりにもテンパりすぎた。いや、だが、待てよ?俺。今、朱音から提案されている。あとは俺が頷くだけで、いちゃつけるとなれば了承するしかないな。うん。いや、仕方なくだよ?仕方なく。しかし俺の方はもちろんいいのだが、朱音は本当にいいのだろうか?朱音なりの冗談だったとかだったら、俺は泣く自信がある。よし、一応確認するか。一応な。

そう考えた俺は朱音に確認しようとする。


「いや、待った。朱音?本当にいいのか?」


「なんのことかな?」


「え?いや、ほら…」


しどろもどろになりながら俺は声がした後ろを振り返る。

ん?後ろ?朱音は横にいたよな。横を確認すると朱音が後ろを見て固まっていた。その視線をたどり俺は後ろを見る。

その後ろには楓がいた。顔は見えないが何が怒っているように思える。


「楓?どうしたんだ?」


「別に?なんでもないよ。ねえ?朱音」


「楓。これには深い訳が…」


明らかに不機嫌な様子の楓。

それに気まずそうに答える朱音。


「とりあえずこっち。来よっか?」


「う、ん。」


そう言って朱音は楓に連行されていった。

残られた俺は、一体なんだったんだ、とそう思っていた。

俺は楓の雰囲気に当てられて冷静になっていた。というより、さっきまでは朱音の爆弾発言に頭の処理が追いついていなかったが、楓の登場により一息つけたことで落ち着けた。

そんな中でも俺の隣では2人の世界に入ってる樹と桜木がいた。いつまでこうなってんだよ…。

この話はあと一話だけ続きます。

楓と朱音には大地に秘密の約束があるとかないとか…。

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