3話 まさかの…?
だんだん楽しくなってきたぞい
高校生になったからって自分を変えようという意志がなければ変わるわけがない。
いわゆる、高校デビューってやつだろうか。
そうでもしなければ人の輪には入らないのかっ!?
その状況を実感していた。
中学校からの知り合いの樹がいるからと安心していたが、周りがあまりにも早くグループを形成していた。
出遅れた。
そう後悔したが遅かった。
自分の席で読書に耽っている奴もいるし、寝ている奴もいる。
いや寝てるやつはまだ入学して一週間経ってねぇぞ!
と人知れずツッコミを入れる。
そんなやつでも昨日は誰かしらと会話をしていたと思う。
そう、つまり俺はボッチになりかけていた…
ボッチだからって悪いことないもん!た、ただ、一人が好きだし!?と勝手に心の中で誰ともなく闘争心を燃やしていた。
案外一人でも楽しめてるのはどうでもいいこととして…
そんな中、俺はすることもなく周りを見渡していた。
相変わらず、北条さんの周りには人が集まり、樹も樹で何人かのグループで話していた。
勝手に裏切り者め…と視線で樹を恨んでいた。
ふと、いくつかの視線を感じた。
北条さんを中心に作られたグループからだった。
おそらく昨日の俺と北条さんの話をしているのだろう。
そりゃ、いきなりあんな美少女が話しかけたらそいつとはどういう関係か周りは知りたいだろう。
まあ、俺、もとい彼女もわからないかも知れないけどな。
だか、何かひそひそと話してる…
あることないこと言われてるんだろうけど、めっちゃ気になる。
「みんな、ごめん!私の勘違いで話かけちゃったの!本当に気にしないで!!」
と、北条さんが大きな声で言うことで、そのヒソヒソした声は消えた。
やっぱそうだよね。
まあ、だよな?
いや、そりゃそうだ。
と、今度は少し離れたグループからも安堵した聞こえた。
ちょっと悲しくなるから、やめてくれません?
いつもの担任の山田先生による朝のホームルームが始まり、みんなが落ち着きを取り戻した。
「あ、そういえば、クラス委員決めてねぇな」
と、突然担任の山田先生は言い出した。
昨日は各教科の先生が挨拶を促してしていたが、中学の時と同じように普通は生徒が挨拶するものなんだよな。そんな事を思いつつ、話を聞いていると、
「そんじゃ、まず部活に、入ってない奴いるか〜?」
そんな間抜けな声に俺は虎に睨まれたように固まった。
お、おいそれって…
「入ってないやつは立て〜。嘘つくんじゃねぇぞ。」
担任は軽いノリながら是非を言わせぬ雰囲気で言った。
こういう時にこういう怠けた感じの担任が言う言葉は逆らえない。
泣く泣く帰宅部と思われるクラスメイトがぞろぞろと立った。
1クラス大体40人の中で9人って…、ていうか部活入るの早くね!と、思いのほか少ない人数に戸惑いつつ、考えを巡らせた。
クラス委員となれば挨拶はするし、雑用は任されるし、とにかく担任の手先にされる。
ならばここは寛容な心で他のやつに譲ろう!と心の中で決める。
「男女1人ずつだから、別れてじゃんけんなー」
と、呑気な担任の言葉。
ま、まじかぁ〜。
いやまあ、大体そんなもんかと思って男子の方によると、3人。とても少なかった…
3分の1で教師の手先か…などと考えていると、
「悪いけど、僕は塾とか勉強で忙しいんだ。ここは勝たせてもらうよ!」
と眼鏡をかけた、いかに真面目そうなクラスメイトが言った。
いや、お前見た目クラス委員じゃん!
と言う言葉は飲み込んで、もう1人を見る。
とても眠たそうな顔をしていた。
って言うか朝寝てたやつじゃん!
世界(クラス内)は狭いなぁ。
そうして、挑んだジャンケンは俺の負けだった…
眼鏡は計算通りと、眠そうな男はだるそうに自分の席に戻っていった。
「男子は神谷で決まったな!女子はどうだ!?」
あ、はいクラス委員の神谷大地です!
と、心の中では、もう担任に従順になっていた…
長いものに巻かれるそれ大事。
「あ、もう決まりますよ」
1人の女子がそういう時、少し恥ずかしそうな声で、
「私です…」
と、北条さんが言う。
え…?
クラスメイト「え…?」