21話 驚きの目覚め
夜、寝る前に考えているので眠たいです。愛楽です。
いずれ、時間がある時に一話から見直して直していこうと思います。
俺は楓から追い出されて、部屋でする事もなく、ベットに横になっていた。
なんか、実感がないな。だって同級生の女の子が2人、料理を作っていくれているんだぞ?これは夢なんじゃないか?と、考えていたら、眠気が来る。昨日、夜更かししすぎたか。
料理もそれなりに時間がかかるだろう。そう思い、俺は少し寝る事にする。
*
目を覚ますと、楓と朱音がいた。いた、というより、俺の両腕に頭を乗せて横になっていた。腕枕ってやつ。はは、何か違和感があると思ったがそういうことか。いや、状況。本当にまずいな。俺の理性と心臓。
腕枕されている2人は顔を赤らめながらこちらを見ている。
あ、これは夢だわ。そう思い、俺は目を閉じよ…
「起きて!」
「いった!楓!叩くのは酷いぞ!朱音も…何してるの?」
「ん?眠く、なった」
楓に頬を軽く叩かれて、朱音に助けを求めようとすると、朱音は腕を手で押さえ付けて頭を乗せていた。意外な事に腕はびくともしない。というか痺れていた。
「そうか。楓?真似しなくていいんだぞ?むしろ起きろって自分で言ってたよな?」
「えー?私も眠たくなってきたような…?」
と、楓も、頭でもう片方の腕を押さえ付けている。
まず、状況を整理する。俺は寝ていた。そしたら2人に腕枕をいつの間にかしていた。シングルベッドで密着状態。しかも身動きはできない。2人の体温と微かな香り。それと美味しそうな料理の…。料理?
「なぁ?2人とも。ご飯できたのか?」
「あ!そうだよ!できたから呼びに来たんだった!!」
楓が飛び上がりながら言う。これで片腕は自由だ。
「朱音?起きて!行くよ!」
「うーん。まだ、このまま…」
「ほら!行くよ!」
と、駄々をこねる子供を連れていくように、楓が連れ去っていく。これで両腕が自由になる。
「わたし、お姉さん、なのに」
そんな事を言いながら朱音は楓に連れられて行った。残念ながら、お姉さんでも楓には勝てなかったようだ。
「さて、俺も行くか」
俺も2人に続いて部屋を出る。しかし、目覚めにあの状況は心臓に悪かった。ドキドキしている。
そういう意味では楓と朱音の「大地、目覚まし作戦」は成功だったという事だろう。
*
リビングに行くと、楓と朱音が料理を並べていた。
「お?オムライスか。うまそうだな」
俺は食材からなんとなくの予想は出来てはいたけど、目の前のオムライスは本当に美味しそうだった。
「ん。わたしは、楓の、手伝い」
「もう!朱音と私が2人で作ったの!大地くん?それで間違い無いよね?」
もちろん見ていなかった俺は分からない。だが、楓からはノーと言える雰囲気がなかった。
「あぁ!楓も朱音も頑張ってくれたんだ!」
俺は何もしてないし。言わないがそう思ってもしまう。
「ほら、大地くんもそう言ってるから気にしない!ね?朱音?」
「楓…。うん」
と、空気が少し気まずい。俺はそんな空気を吹き飛ばすように言う。その前に早く食べたかったのもあるのだが…。
「いただきます!ん…!うまい!」
と、なぜか俺だけケチャップでハートのように描かれたオムライスを食べる。少し恥ずかしいんですけど。
「本当…?」
「朱音。本当だ。食べろって。ちばろ…」
「いただきます!」
朱音は確かめるように、楓は俺の調子に乗った言葉を遮り、オムライスを食べ始める。言わせてくれてもいいじゃん…。
「ん!おい、しい。楓、ありがとう」
「本当に美味しいね。朱音が頑張ったからだよ!もちろん、私も頑張ったんだからね!」
と、2人で話している。作っている時に何かあったのだろう。俺は蚊帳の外。しかし、2人とも仲良くてよかった。そう思う。
*
「2人ともご馳走さん!本当に美味しかった!」
「はい、お粗末さまです」
「ん。お粗末、さま」
と、2人に感謝しつつ食べ終わる。食べ終わった時間は夜の9時ごろ。家が隣とはいっても、そろそろ帰るべきだろう。
「洗い物は俺がしとくから。流石に帰った方がいいな。あと部屋の掃除とかもありがとう。助かったよ」
「ううん。私も好きでした事だから」
「わたしも、楓と、一緒」
と、言ったところで思い出す。本来の目的を。
「そういえば。なぁ?俺たちってなんで集まったんだっけか?」
「え?それは…。あっ!」
「ん!そう、だった」
俺たちは勉強会が目的だったのだ。完全に忘れていた。というより普通に楽しんでいたぞ俺。勉強会しなくてよくね?
「明日からはちゃんと勉強会。するからね!」
「楓。心を読んだか?」
「…?なに言ってるの?」
「あ、いや、ごめん。なんでもない」
「大地は、時々、変な事を言う」
「ほら!いいから!時間だ!時間!」
俺は誤魔化すように2人を見送ろうと先に玄関まで行く。2人はついて来て、玄関で靴を履いている。そんな時に帰ってくる人物がいた。
「ただいま。やあ、こんばんは。朱音ちゃんと…?」
「こん、ばんは。おじさん」
「あ、お隣に引っ越してきて、大地くんと同じクラスメイトの北条楓です!」
「そっか。こんばんは、北条さん。僕は大地の父親の愛楽。家がお隣同士、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします!」
と、親父の帰宅だった。高校上がるまで帰ってくることが少なかったのに、最近は帰ってくることが多くなったな、と思う。もちろんいい事だとは思うが。
俺は2人を玄関で見届けてから、先に部屋に入った親父に聞く。
「なあ?親父。最近、帰りが早いな?」
「大地?これは朱音ちゃんと北条さんと食べたのか?」
流しに置いてある食器を見て親父がそう言う。質問を質問で返されたが気にしない。親父だし。
「そうだけど、親父?最近…」
「そうか、大地。お前…」
と、とても話を聞いてくれない、目を閉じて感慨深い様な顔をしている。なんだというのだ。
親父。意外と出てくるけど、作品のキーマンだと思ってください。
作者の代わりに頑張ってくれるはずだから…。