17話 昼休みに
はは、なんか話が進み続けている気がする。
止まるんじゃねえぞ…
朝、いつものように起きる。往復しても学校には間に合う。そんな時間に俺は家を出る。
「おはよう!神谷くん!一緒に行こ!」
と、北条さん。待っててくれたのか。いつ出てくるか分からない俺のために。健気すぎる。なんで待っててくれるのかはもう考えないようにした。考えても分からないからな。
「おはよう。北条さん。待たせていたみたいでごめん」
「あはは。いいよ別に!でも時間合わせられたら嬉しいかなー?」
「そうだね。それじゃ、今の時間帯でいい?」
「うん!いいよ!」
あれ?俺。今、さりげなく一緒に行く事にしたくね?まあ、いいか。北条さんは嬉しそうだし、俺はこんなに可愛い子と一緒に行けるんだからな!win-winの関係ってやつだ。北条さんがなんで嬉しそうなのかは分からないけど。
登校しながら北条さんが話しかけてくる。
「ねえねえ?昨日何してたの?」
「昨日は服を買いに行ってたなー」
「あはは。真っ黒だったもんね?」
と、苦笑しながら言う北条さん。うん、可愛いわ。
「そうそう。だから朱音と一緒に行ってもら…」
と、俺は言葉を止めた。北条さんの方からすごいオーラが見えたから。
「服を、買いに行ったんだよね?」
と、怖い笑顔の北条さん。先ほどの笑顔が嘘のようだ。笑顔ではあるんだけれど。
「はい…」
と、虎に睨まれた状態の俺。そんな俺に北条さんは質問を続ける。
「誰と?」
「朱音とです…」
「朱音ってあの幼馴染の、だよね?」
「はい…そうです…」
「ふーん」
怖い笑顔のままで何かを考えている北条さん。それと非常に情けない姿の俺。早く学校に行きたい。こんなに学校を望んだことない。それほど、北条さんから恐怖を感じていた。
この空気のまま教室の入り口まで来た。
「お昼休み。続き、聞かせてもらうからね?」
「あ、昼休みはですね?朱音も一緒に食べる、という事になってるんですけど…。大丈夫でしょうか?」
俺は恐る恐る言う。緊張感から変な敬語が出ていた。
「私はいいよ?朱音さんにも確認しといてね?」
「分かりました…」
と、北条さんが離れて行ったので、俺はスマホで朱音に連絡を取る。
『朱音?お昼、北条さんもいるけど大丈夫か?』
返信は意外と早く来た。
『ん。もちろん。むしろ望むところ』
やけに好戦的な返信だった。
*
俺は授業どころではなく、気づいたら昼休みに入っていた。
「大地!飯食おうぜ!」
「悪いな。今日は先客があるんだ」
「大地に先客とは珍しいな?誰だ?」
あ、そう言えば昼休みに朱音が来ることは話していなかった。北条さんもいるんだけれど。昨日のうちに伝えとけばよかった。
「私かな!」
と、北条さん。弁当箱を持って来ている。
「わたしも、です」
と、朱音。同じく弁当箱を持って来ている。しかし、前髪をヘアピンで止めており、顔が見えていた。
「え?おい、大地。これはどういう…?」
「樹。夜にいつものやつで話すから…。その時な?頼むから…」
「ったく、しょうがねぇな。夜な?」
と、樹は離れて行った。話の分かる友人で本当に助かる。
そんな会話を聞いた周囲の女子の目がキラリと光ったようだが気にしない。
*
俺たちは校舎の中央にある中庭に来ていた。
教室では別のクラスである朱音に注目が集まるだろうし、ほかの場所は場所で空いていなかったりする。
そんな中、ここの中庭は校舎からの視線が集まりやすく、普段なら誰もここで食べたがらないのだが。
「ここしか空いていないみたいだし、いいんじゃないかな?」
「わたしも、大地となら、どこでも」
と、2人で言うのでここにした。朱音さん?なんで堂々とそんな事が言えるんですか…。俺とならってなんで…?
中庭のベンチに座って食べるわけだが、正直、女の子2人と食べてると視線が気になる。それとベンチは一応、3人でも座れることは座れるが非常に狭く密着してしまう。だから芝の上で食べようとしたのだが、
「わたし、大地の隣が、いい」
「私だって神谷くんの隣がいいよ!」
「…分かった。なら、どこ行けばいい?」
俺は2人がなんでそんな事を言うのかは知らないが、とりあえず言う事を聞く。そんな2人はスッとベンチの真ん中を指差す。あ、これは目立つな。そう思いながらも座る。嬉しい気持ちはもちろんあるが、逆らえるわけがなかったのだ。あの2人には。すごいオーラ出すもん。
そりゃそうなるよね?
よかったな大地。これで学校に噂が広がるぞ!
いいか悪いかは知らないが有名人だ!
話を長く書くため、少し時間を空け始めるかも。