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気がついたら、隣の彼女が好意を抱いていた。  作者: ラブコメに憧れた作者 愛楽(あいらく)
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幕間3 彼女の心情。

自分的に長かった彼女の心情ですが、ここでとりあえず終わりです。

次の日、私は学校に行くと、クラスメイトからの視線を感じた。いつも感じているものより少し不快な感じがした。

私と神谷くんを見てるの?なんで?

そう疑問に感じたけど、近くのクラスメイトが話しかけてきた事で分かった。


「昨日もあの男の子と帰ったんだ!」


確かに昨日、私は彼と一緒に教室を出た。でも、図書室に行っただけで、一緒に帰ったわけではない。でも、そうすると、声をかけた私が振られたみたいになるのが嫌だった。

だから、私は嘘をついた。

昔の知り合いに似ていたと、だから話しかけたけど違ったのだと。

自分でも結構苦しい言い訳だったと思ったけど、クラスメイトは意外とすんなりと受け入れてくれた。

吊り合わない。冴えない。地味。そんな言葉で彼を傷つけるようにしてクラスメイトは納得していた。

そして、彼のことをひどく言われると、私の方が傷ついた。

なんで、そんなこと言うの?彼がなにかしたの?見た目だけでそんなこと言うの?と守りたい気持ちの反面、言葉が出なかった。

ホームルームが始まると周囲の言葉がなくなり、私は黙っているしか無くなった。



突然、クラス委員を決める事になった。

男の子は彼、神谷大地(かみやだいち)に決まっていた。

私がここで負ければ…

その思いが届いたのか、私はじゃんけんに負けた。

負けたのだが、とても嬉しかった。彼と堂々と居られる理由が出来たのだから。


朝の事すら忘れて、私は内心ニヤニヤしていた。

でも、彼は私から避けるように行動していた。少し悲しかった。だから、わざと昼休みの終わり間際、彼が席についたタイミングで声をかけてみる。そうすると、ただ単にクラス委員の話と受け取ったのか、周囲の視線は感じなかった。これが分かっただけでも私は嬉しかった。


さらに嬉しい事は続いた。放課後、担任の山田先生の話が長かったのだが、その分、彼と一緒の時間を過ごせた。

それと、先生の言葉で私たちは一緒に帰る事になったのだ。彼が避けて行動していたのは気まずさからだったらしい。そんなに気まずいことあったかな?でも、その後、可愛いって言ってもらって、とっても嬉しかった。その時の私は多分茹でたタコのように赤くなっていたと思う。

家まで帰って分かったのだが、彼の家はお隣の神谷さんち!まさかこんなにいい事が起きるなんて…。歩いて、少し落ち着きを取り戻した顔で神谷くんと別れる。


「また明日!」


彼からそう言われるだけ。ただ、それだけで明日が楽しみになる。また、顔がニヤニヤしちゃうよぉ…。



朝、昨日の事が嬉しすぎて、言ってしまえば興奮してなかなか寝付けなかったので、寝坊して起きてしまった。学校に行く準備をしていたら、あと20分ほどでホームルームだ。

急いで玄関から出る。すると後ろから彼の声が聞こえた。

ひゃぁ!!びっくりした…。

声に出ない声が出た。ついでに鍵も落としてしまう。とりあえず鍵を拾おうとすると彼も拾おうとしてくれたのか、お互いの手のひらが重なる。一瞬だったが、彼の手は鍛えられていた手だった。今は少しふにゃふにゃになっている気がするが。

そこから、彼と一緒に学校へ行く。彼は遅刻を言い訳にしていたが、私にはそんなのは関係ない。一緒に行ければいいのだから。


やっぱり、クラス委員の用事以外で会うのは不味(まず)い。そう感じたのは彼と教室を通った時だった。クラスメイトの視線を一斉に感じたのだ。

あぁ…。またやっちゃった。

そう考えて落ち込んでいると昼休みになっていた。

彼はどうしているのか気になり、チラリと見る。

ちょうど教室から出て行くところだった。今までは教室で食べていたのに。

お財布だけ持っていたので、売店に行くのだろうと思い、お裾分けとして、昨日作ったあんぱんを持って行くとしよう。元々料理はするし、決して嬉しかったから沢山作りすぎてしまったわけではない。ただ、疲れなかったから予想よりも多く作り過ぎてしまったのだと、言い聞かせる。つまりは結局は作りすぎたわけだが…。持ってきていたのは小腹空いた時のため。彼に渡すつもりなんてなかった。決してそんなつもりなかったんだからぁ!!


途中で自分用に飲み物を買い、売店を目指していると、彼と女の子が目に入った。私は少しムッとしてしまった。女の子が弁当箱を渡していたから。でも、それと同時に、彼にも気にしてくる人がいる事に安心する。

まあ、それはそれとして。

私は彼に声をかける。随分(ずいぶん)と驚かれたけど、そんなにびっくりするかなぁ?

私は彼に自作のパンを渡しつつ、もう1人の人物を見る。目元を長い前髪で隠しており、表情は読めない女子生徒。

でも、分かる。彼女は彼の事が好きだと。これがいわゆる女の勘ってやつなのかな?初めて分かったよ…。しかも幼馴染…?聞いてないよ!!

そんな彼女に私は敵意を隠せなかった。彼女も彼女で敵意を隠そうとしないし。肝心の彼は逃げようとしているしで、昼休みが過ぎるのが早かった。なんだかんだで楽しい時間だった。

教室で別れ際、彼と帰る約束をした。

許す許さない、そのような言葉を口にしたけど、決して怒っていないのは彼なら分かってるはず。その後、彼の方から一緒に帰ろうって言ってくれて嬉しかった。



今日、最後の授業が終わっても彼の声が聞こえなかった。

廊下側の一番後ろの席で彼はうつ伏せで動いていなかった。あ、寝てる…。

私はそう思い、代わりに号令をかける。

帰りのホームルームでも寝ていた。先生、流石に気づいてあげてよ…。


クラスメイトが帰る中、私は1人、することもなく時間を過ごしていた。そうしているとクラスメイトの女の子たちが話しかけてくる。


「北条さん!一緒に帰らない!?」


「あー、ごめんね?今日、約束してるから…」


「約束…?」


私がチラリと彼を見たのを気づいたのだろう。彼女たちは一斉に詰め寄ってきた。


「ねえ!?もしかして例の彼!?」


「彼氏?彼氏なの!?」


「もしかしてもう恋人とか!」


そう言って彼女たちは話していた。

そこで私は気づく。私って彼の事好きなの…かな?

動揺した私が彼女たちに聞く。


「ねぇ?好きってどう言う事だと思う?」


「それはねぇー?やっぱりつい目で追っちゃうとか、近くにいたら楽しいとか安心するとかじゃないかな?」


「あー分かる!あと、触れ合いたいとか!?」


「ちょっとそれはハレンチだよー!」


私は彼女たちの言葉を聞いて、考える。

確かに最初は小さな事だった。私を守ってくれた。ただそれだけ。でも、日が経つにつれ、彼に憧れとも違う感情が芽生えていたのを自覚していた。

確かに彼といると安心する。目で追うこともあるし。ふ、触れ合いたいとかは思わないけど、また優しく守るように抱きしめられるのは… 嬉しいかもしれない。


この時、『私は彼を好き』だと自覚した。


「おー。北条さん、とってもいい顔になったよ!」


「それじゃ、私たちは邪魔したら悪いし、退散しますか!」


そう言って彼女たちは手を振りながら、教室から出て行った。そんな彼女たちに私も手を振りかえす。


教室はクラス委員の2人だけとなった。

好きって自覚しにくい、と思うんだよね。

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