1話 初めまして…?
はじめての投稿ですので、誤字、脱字あります。
また、見直したりして、表現を変えたり、誤字やおかしな言葉など見つけたら直します。多分。
「私のこと… 覚えてますか?」
春の陽気な風に包まれた放課後、まだ新しい制服に身を包み、これからの高校生活に胸を高鳴らせる高校生たちが帰っている。
そんな中の1人だった俺、神谷大地は突然のことで固まってしまった。
大地のようにってな…。は?いや、何言ってんだ?
俺は自分にツッコミつつ今の状況を考えることにする。
「えっと…」
俺はそう言いながら辺りを見渡す。
うん、俺の周りには誰もおらず、話しかけた彼女の目線は間違いなく俺には向けられたものだった。
いや、なんで彼女から話しかけられたんだ…?俺はそう思っていた。
彼女の名前は北条楓。さらさらな黒髪を腰まで伸ばし、真っ白な肌、大きな黒い瞳は見るものを惹きつける魅力がある。その顔は整っていて可愛らしい顔立ち、胸は控えめながら…いや、こういうのは失礼だな。慎まやかながら、ウエストは引き締められており、手足はすらりと伸びている。普通にモデルとかアイドルと聞いても違和感ないそんな容姿。どちらかと言うと、可愛らしいのでアイドル向きではあるとは思う。まあ、最近のモデルとかアイドルとか分からないんだけど。
それでも間違いなく、クラス、いや学校で一番美人と言ってもいいくらいの容姿で、モテる事は間違いないだろう。
そんな俺の考えを知ってかは分からないが、彼女は気づいたように戸惑い始めた。もちろん分かってはいないんだろう。
「あ、ごめんね。いきなり…」
「いや、大丈夫だよ。時間には余裕あるし。」
彼女は怯えたようにそう言うと、俺は実際に時間には問題ないので、そう言葉を返した。
改めて状況を理解しようと思う。
彼女と俺の接点はないだろう。
あったとしても、同じクラスメイトってだけか?
俺が彼女を知っていたのはクラスで一目を置かれていたから。あれだけの容姿があればクラスどころか、時間さえあれば学校中が彼女の事を知ることだろう。
でも、なぜ彼女が話しかけてきた…?理由が分からない俺は問いかけるように言う。
「それで、なにか用事かな?」
何度でも言うがスタイルが良く、美しい黒髪と可愛らしい容姿の北条さんはとても目立つ。しかも、ここは下駄箱と校門の間の通路であって、下校中の生徒が校門を目指す。そんな生徒からの好奇心の視線がそれはもうたくさんあった。
それと視線ともにこんな言葉が聞こえた。
うわ、あの子可愛い。
あんな子いたっけ?
モデルかな?
アイドルだろう?
隣にいる男…なんか冴えないな、とか。
うん、まあその気持ちは分かる。
そんな言葉を言われる事自体は別にいいのだが、その言葉とともにある好奇心の視線がどうにも苦手だ。
まあ、そもそも好きな人なんていないだろうけど。
そんなこと「考えていると北条さんは、
「え…?あ、そ、その、ごめんね。引き留めて…」
と、おどおどした様子で踵を返すと後ろ姿を見せて校門へと走り去ってしまった。北条さんも、やはり周囲の視線が気になったのかも知れない。
でも、なんで呼び止められた?それだけは分からないままだった。
ここにいても埒が開かない。
俺は疑問を抱えながら家に帰るのだった。
*
次の日、この学校には3日目の登校だった。1日目は入学式、2日目は自己紹介や席替え。そして3日目の今日から本格的な授業が始まり、学生としての本分を果たす時が来たのだ。
いや、普通に面倒だ。と、思いつつ俺は教室に入り、自らの席を目指した。廊下側の一番後ろ。後ろから入ると俺の席はすぐそこだった。
ちなみに、この席は昨日の席替えで決まった。入学して、すぐに席替えするのがここの文化?通例?とかなんとか、担任の先生が言ってた気がするが…。
俺は自分の席に座り、周りを見る。仲良くなったであろうクラスメイトたちが、所々で輪を作って話をしている。
中学校からの仲良しの生徒もいれば、昨日の席替えで近くになった生徒、自己紹介を機会に仲良くなる生徒もいる。
まあ、俺にも小学校からの付き合いのやつがいるにはいるが…
そう考えを巡らせていると、窓側の一番後ろで大きな輪が出来ていることに気づく。
ん?あぁ、北条さんの席か…。
やはり彼女は人気だった。
容姿のことはもちろん、いつもニコニコと人当たりの良い笑顔をしており、学力優秀、部活では剣道とかしてたらしい。まさに文武両道。その言葉が当てはまるだろう。
俺にそんな会話が聞こえてきただけなんだけどな!
「よーし、ホームルーム始まるぞー」
俺がする事もなく辺りを見渡していると、担任の山田先生がチャイムと同時に入ってきた。
the.普通の教師って感じの40代のメガネを掛けた男性教師だ。その言葉を聞いて、クラスメイトは席に戻っていく。
ふと、視線を感じた。北条さんの方から…。
ちらっと見ると、やはり見ていたらしく一瞬だけ目が合った。照れくさそうに、少しはにかみながら、北条さんは正面を向いた。
それに釣られるように俺も前を向くのだった。
それからホームルームが始まる
*
昼休みに入ると、どっと疲れがきた…
新しい高校生活に馴染めてないものあるが、時々、視線を感じたからだ…。
それは言わずとも北条さんからだったのだが、彼女に見られてなんとも思わないほど俺は出来てはいない。
「よう!疲れた顔してんなぁ〜?とりあえず飯食おうぜ!」
と、元気の塊みたいな元気なやつが話しかけてきた。
「まあ、疲れたよ。まだまだ高校生活は慣れないさ。あぁ、飯食うか」
と、俺は小学校からの付き合いである、里山樹に言葉を返した。
勉強はからきしだが、スポーツは万能でこの高校にはスポーツ推薦で来ていた。
俺と樹は小学校のクラブ活動で剣道をしており、そこから自然と仲良くなった。樹は中学校からは剣道はモテないだのなんだので野球を始めていた。
そんな樹だが、こいつのおかげで俺はボッチにならずに済んだのだ。そう、樹がこのクラス唯一の中学校時代の友達だった。
「ところでさ…」
急に樹が声を潜めて話しかけてきた。
「な、なんだよ…?」
急なことに少し慌てて、疑問を露わにしつつ俺は聞き返す。
「北条さんだよ。同じクラスになれてよかったよなぁ…」
と、惚けた様に言う樹。やや夢見がちな男子高校生だった。そりゃ、あんな美少女がクラスメイトなら男は誰しもそう思うだろう。樹には言わないが、俺もそう思う。
「まあ、樹も昔から比べると意識するようになったからな」
と、俺は誤魔化すように冗談めかして言う。樹の昔は色恋沙汰は遊ぶのに邪魔という感じだったのだ。それがこれである。
「なんだよ。大地も嬉しいだろ?北条さんの顔を毎日見れるんだからよ?それに近くだと少しいい匂いもするし…」
「いや、それはちょっとな…」
毎日、北条さんを見れる嬉しさは男子高校生としては分かる。しかし、最後のちょっと変態的な発言は良くないなぁ。俺は樹に少し冷たい目で見ていた。
そうこう話していると、話し込んでしまったのか、弁当を食べ終わる頃に昼休み終了のチャイムが鳴った。
樹と別れた後は掃除を挟み午後の授業を終わらせると、帰宅部である俺には待ち望んだ放課後だ。
はあー、疲れた。や、
課題なくてよかった!だの、
あの子かわいいよな。とか
どこ遊び行く!?カラオケ?ゲーセンもいいな!!
と、クラスメイトたちが話しているのが聞こえる。
そんな中、俺は1人こう考えていた。
クラスメイトとの付き合い?それはいずれな。とりあえず今は帰ろう!とばかりに駆け出そうとした。
実は、大地はゲーマーであり、中学校からFPSというジャンルのゲームにハマっていた。いち早くハマっているゲームを早くプレイしたかったのだ。こんな感じにゲームばかりしていたので友達は少ないけど、楽しいからなゲーム。中学校の頃は親の都合からなのか、部活を辞めさせてもらえなかった。まあ、辞めさせるとゲームばかりするのを親に見抜かれていたわけだが。そんな俺はゲームをするため、高校では部活に入らない。要するに帰宅部となるのだ。そんな俺が帰ろうとすると、
「…?」
俺は、袖が誰かに引っ張られたので振り返った。
そこには急いだ様子で黒い髪を乱した北条さんがいた。
頬が少し染まっていて、どこかあどけなさが残るそんな顔は可愛らしく、ずっと見ていたい、そう思うほどだった。
この状況が続けばいいのに…。そう思っていた俺はハッ!となり、周りを見た。
すると、周りからは嫉妬するような妬むような視線、キラキラと目を輝かせている視線、ジッと観察するような視線などが飛んできていた。
固まっていた俺の代わりに北条さんが声を出した。
「ねぇ…?その、一緒に帰ろう?」
と、俯いているので目は見えないが、頬を赤らめた北条さんが言う。
「と、とりあえず移動しようか」
こんな状態で断れるわけもなく、俺は教室から離れることにする。だって、断ったら絶対に男子の目の敵になるじゃん…。
教室では、そんなクラスメイトの目があるので場所を移すためだ。移動中に、俺の袖を掴んだままの彼女の頬が赤くなっていたのは周囲の目があったからか…?
*
図書室は北棟の3階の一年生の教室とは違い、南棟の一階にあった。そこで俺は話すことにした。俺の中の妥協案として。普通ならファミリーレストランやら喫茶店でもいいんだろうけど、恥ずかしい話、あまり行ったことがない。そうなると、校内で落ち着いて話ができる場所。尚且つ、人の目が少ないところを選ぶ。完全に人目が無いところに連れて行くと、それはそれで北条さんを警戒させてしまうかも知れない。そう考えてみると、図書室が校内で一番落ち着いて話せるだろう。図書室で話すと怒られるが、そんな声で話す事もないだろう。視線も教室よりマシだろうし。
図書室に着くと確かに周囲の目はあるが、早めの受験勉強している2年生や受験に向けた3年生が多く、教科書や参考書を広げている。予想通り、視線が少なく、教室より話しやすい。これなら話せると思い俺は、対面して座っている彼女に話しかける。
「えっと、北条さん?」
そう言って切り出す。
彼女は俯いてモジモジしていた。少し長い前髪が一緒にユラユラ動いていて面白い。
「は、はい!」
彼女は顔を上げて嬉しそうに、でも緊張しているのか、図書室では少し大きな声で返事をしてくれた。
「北条さん、ここ図書室だから少し声を潜めて、ね?」
「うぅ… うん…」
俺が諭すように言うと、今度は消え入りそうな小声で返事をしてくれた。
俯いて、前髪で表情を隠す北条は可愛いらしかった。
しかし、これでは話は進まない。
俺はそう思い、昨日のことを思い出しながら話す。
「あの、北条さん?昨日のって…?」
恐る恐る聞く。
『私のこと… 覚えてますか…?』
確かにそう言っていた、と思う。
でも、俺には北条さんに出会った記憶がなかった。
そもそもの話、こんな美少女にあったら忘れることはないだろう。俺は覚えていない。なら、彼女はなぜそんな事を聞いてきたのだろう?俺は、そう疑問を表していた。
「あ、あの…」
と、彼女が声を上げた。
先ほどよりも、より一層頬の色が赤くなっており熱を持っているのかわかる。
多分、俺と同じで昨日の事を考えていたのだろう。
「神谷くん…だよね…?」
そう決意を固めたように北条さんが聞いてくる。
作者のせいで行き当たりばったりのラブコメが始まる。かも知らない。