Episode#02# 覚醒したら、洞窟の中
― 個体のステータス構成、【恩恵】の存在を認識…確認完了
称号【転生者】、スキル【狼王の加護】を獲得しました。
声が聞こえる。
― 個体ステータス構成完了、個体種族を確認…
個体”小狼”から、魔狼族”銀狼”に進化開始…完了。
ステータス再構成を開始…
脳内に響き渡る声…ステータス?恩恵?
― 完了…
個体の覚醒を促進させます
その声に、俺は意識を取り戻した。
「一体…何だってんだ…うわ!」
俺は立ち上がろうとしたが、急にバランスを崩し倒れる。
下は固い…冷たいな、壁は岩か?…にしても暗くて見えないな…。
― スキル【五感強化】を獲得、【視覚・暗視】を発動します
は?なんて?
周囲が明るくなってくる、陽の光が差し込まない洞窟の中に、俺はいるらしい。
にしても見ている高さが…いやに低い?
「ぇぇぇぇぇぇえええ!?」
俺の手、嫌…これはもう足か?ぷにぷにッとした肉球がある、顔の形も変わっている、耳の形、鋭い牙、モフっとした尻尾…。
尻尾?
「俺、犬になってるぅぅぅぅうう!?」
俺の声が洞窟内に響き渡った。
なんで俺は犬に?にしても一体何が、にしてもここはどこだ?
さっきステータスがどうとか言ってたよな…見れないのか?
― スキル【鑑定】を獲得しました。
「鑑定?」
スキル…この世界はゲームの世界なのか?
― 【名称変更可能】 【Lv.1/性別】 【状態異常:なし】
【種族:魔獣種・魔狼族/銀狼】
【所持:なし】
【称号:転生者(異種族)】
【魔法:なし】
【固有:鋼爪(Lv.1)鋼牙(Lv.1)鋼毛(Lv.1)威圧(Lv.1)】
【固技:切裂(Lv.1)噛砕(Lv.1)】
【特殊:五感強化…視覚・暗視(Lv.1)/嗅覚(Lv.1)/聴覚(Lv.1)
:魔力操作(Lv.1)隠蔽(Lv.1)追跡(Lv.1)思考加速(Lv.1)高速演算(Lv.1)
:鑑定(Lv.1)種族言語(Lv.1)】
「いいねぇ…ほうほう、ふぅん…」
ステータス内容を見ると、結構良さそうなスキルが多いなぁ。
「そうじゃねぇ!!っていうか、俺【Lv.1】!?…1って!!1ってないだろ!!」
そう言えばさっき、【進化】のアナウンスが入ったな…それで【Lv.1】ってことか?
そして俺はどうやら、犬ではなく「狼」になったらしい。
「こうなる前…俺何が…あ、そうだ。」
俺は思い出した、目を覚ます前に何が起きていたかを。
日本は天変地異に見舞われた、地割れが起き、津波が、台風が全てを。
そして俺はその記憶を持ったまま、今こうして生きている。
狼になって。
「所謂…転生をしたってことか。」
俺は、人間を辞めてしまった。
これからどうなるのかもわからないまま、洞窟で目覚めた。
「まぁ、くよくよしても仕方ない。何が出来るのかを確認するだけだ。」
俺は今の状態で、何が出来るのかを確認する事にした。
何もしないよりかはマシだから。