Episode#03# はめ込まれた歯車
100年の時を得て、各大陸が、世界が【天神教】の手により支配されてしまった。
組織だったそれは、世界を支配し得る大帝国にまで上り詰めた。
逆らう者は容赦なく処刑される為、従わなければならなかった。
魔物達は捕らえられ、労働力とされ強制的に使役される。
『世界が…壊れた』
突如現れた、”神を語る”者達により支配された人間の手で、
壊されていく世界を嘆くのは、”神と同位”の存在の魔龍達。
『かつて、世界を救ってくれた【三獣神】、この世界の今を知れば、心を痛められる事だろう。』
『その【三獣神】様はもう、お役目を終え……もういない』
そう、かつて世界を救ってくれた【三獣神】は、役目を終え天寿を全うした。
見守る役目を与えられた【天使族】からは、何も通達はない。
そして、もうこの世にいない神を語る者達が、世界を変えてしまった。
『天使共の所業、目に余る物ばかり…世界を守る役目を全うするはずなのに。』
『聞けば奴ら、異世界の者達をも巻き込む様だぞ。』
『なんと愚かな事を…』
『三獣神様の末裔となる者が、現れるといいのだが…』
『それは誰にも分らぬこと…』
魔龍達は頭を悩ませ、そして決意した。
『待つしかあるまい、この世界を救ってくれる者達…末裔が現れる日を。』
『ならば我らは、その礎となり糧となろう。』
『これからの世界を託すべき者達の為にも。』
魔龍達は待ち続けた。
新たに現れるであろう【三獣神の末裔】を、世界を救ってくれる【転生者】達を。
滅びゆく運命の歯車に、【転生者】という希望の歯車が組み込まれようとしている。
きっと世界は救われる、平和な日々を取り戻す事がきっとできる。
その為ならば、この命を使うなど造作もない事だ。