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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第41話

 俺と勇者の力比べは、俺の完勝だった。


「ユーセイのカチだー!」


  !?今通りすがったのは、一体誰!?


  ダブル・ジョーカーもアクセル・スピーダーに勝って、俺達の完・全・勝・利。このまま、大勝利の宴会にでも洒落込もうと思ったその時、奴が現れた。


  ダークネス!

  奴が現れたという事は、また面倒な事態が始まるという事。


「助けてくれ、ユーセイ!」


  だから、さっきから誰!?


 ──・──・──・──・──・──・──


 “「はーい。みんなのアイドル、ダークネス・ライト君だよー」”


  快晴の空に、能天気な面をしてダークネスが姿を表した。相変わらず、謎の空間のスタジオからの、生中継映像だ。いや、本当に生なのかは知らんが。


「ダークネス!」


  俺は、空を見上げた。

  トモヨちゃんが回復魔法を掛けようとしてくれてたけど、とりあえずは後回しだ。ごめんね、トモヨちゃん。


  と思ったら、彼女自身も空を見上げたからいいや。


「ダークネスだと!?」


  ユギカザさんも、椅子から立ち上がって空を見上げている。というか、当たり前だけどここにいる全員が空を見上げていた。多分、人間だけじゃない。この世界にいる全ての生物が空に浮かぶダークネスの映像を注視しているだろう。

  ある意味視聴率100%男だよ、ダークネス。悪い意味でアイドルだわ。


『相変わらず悪趣味な野郎だな』

『まったくだ』


  龍帝族を滅ぼした事実があろうと、魔竜にも評判は悪いようだ。て言うか、あいつに好意的な生物って存在するのかよ?


 “「それではー。ただいまより、前哨戦第一回戦の抽選を行いますねー。まずは、こちらをご覧下さい」”


  ダークネスが手で示すと、画面が切り替わった。


  画面には上段に四枚、下段に三枚という風に裏を向けられたカードが並べられていた。ただ、明らかにカードが空中に浮いてるんだけど、あいつ相手だとそんな事をツッコミ入れるのは今更か。


 “「このカードの裏に、みんなの種族が書いてあるんだ。それを、ボクが二枚引くから出てきた所が今回の当たり!楽しみでしょー?」”


  ダークネスが、媚び媚びのウィンクをバチコーンとかます。


  今、多分世界中の生物がツッコミを入れていると思うぞ?楽しくないわい!そもそも、それはハズレだ!


「なんて、不愉快なウィンク……」


  トモヨちゃんが、嫌そうにつぶやいた。媚びまくったのに不愉快にさせてるだけとか、全然駄目じゃんダークネス。


 “「それでは、ドキドキのドロータイム!」”


  ドラムロールが鳴り響く中、ダークネスが変な踊りを踊り出した。


 “「なーっにかな♪なーにかなぁ♪今回は、これ!」”


  くるくると回った後、ダークネスは上段一枚、下段一枚のカードを指差した。そのカード二枚が、クルリと表に返される。


  上段のカードは、ブーメランパンツ一丁のムキムキマッチョ男が筋肉を強調するポーズを取っているイラストのカード。ボディービルダー?

  下段のカードは、青・白・赤のトリコロールカラーをした巨大ロボットが緑色のロボットと戦っているイラスト。あれは、ガ○ダム?


  あの二枚のイラストって……。


 “「はい!前哨戦第一回戦は、人間族と鉱石族に決定ー!わー、パチパチパチー!」”


  ダークネスが、それはそれは楽しそうに叫んだ。でも、言われた方は喜んでいる場合じゃねえ!


「いきなり人間族かよ!」

「最初から、リードギルフを狙ってくるか!」


  ユギカザさんが、空に向かって叫んでいた。

  すると、まるでその叫びが聞こえたかのように、ダークネスがニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。あの笑み、他人に嫌がらせをする事が好きで好きで仕方ない。そんな、人間のクズと同じような顔だ。


 “「そう。今回のターゲットは、人間領国ギルフォードライ王国首都リードギルフ。鉱石領国サイバーガイザー王国のゴーレンダ。この二ヶ所に攻め込みますー」”


  笑顔で、宣戦布告をしてくるダークネス。


 “「そういえば、一応説明しておくねー。前哨戦では、選ばれた種族の首都にボクの軍隊神王軍が攻め込みますー。攻め込まれた種族は、頑張って抵抗してね?首都を落とされたら、バトル・ファイオー本戦に出る資格無し!って事で種族ごと滅ぼしちゃうからね。まあ、王なんかを名乗る者は知ってて用意しているのが当然だと思うけど」”


  そういえば、戦力や物資を王都に集中させていたユギカザさんは、前哨戦の内容を知っていたのか。

  というか、始まる前に説明しろやダークネス。


「……決まった以上、仕方あるまい。どうせ、攻撃が来るのは避けられない。攻撃が開始される前に、人員の配置と補充を完了しなければ」


  バトル・ファイオーの開会宣言が二日前だから、まだ準備が整っているわけはないよな。


「そういやダブル・ジョーカー?前哨戦の戦闘が開始されるのって、いつからなんだ?」

『ん?それもダークネスの気紛れか知らぬが、早い時で二日、遅い時だと発表から一週間くらいだろうか。そんなものだ』


  ダークネスは、相変わらずの適当運営か。


  早くて二日……。その間に、どれだけの兵員を王都に集められるのかが鍵だな。ここには四十七士とかいるけど、こいつら使えるのか?まさか、雇い主の評議会メンバーについて疎開するつもりじゃあるまいな?


 “「それじゃあ、前哨戦が始まる場所が特定されたので、次は前哨戦開始時間の告知!」”


  しゃべる度に、いちいちターンをしてポーズを決めるダークネス。当然、全てがカメラ目線バッチリ決めてて、はっきり言ってウザい。くそぉ、スタジオがどこかわかれば、速攻攻め込んでやるっつうのに。


 “「それはぁ……」”


  また、ドラムロールが鳴った。


  いいから、さっさと言え!無駄にタメてるんじゃない!お前に付き合うなんて、時間の無駄なんだよ!

  ダークネスが、指を鳴らした。


 “「今でしょ!」”


  ダークネスが、堂々と宣言した。


  ……は?「今でしょ」って、お前何年前のネタだと思ってんだよ?向こうの世界でも、だいぶ前に廃れたネタだぞ?それを今使うって……。


  今?


「なんだ、あれは!?」


  誰かの叫ぶ声が聞こえた。


  ダークネスの映像を破るように、赤い大きな物体が王都に向かって落ちてきた。しかも、明らかにコロシアムの舞台の中心付近に落下してくる。


「舞台から離れろ!」


  俺は叫ぶと同時に、前に立っているトモヨちゃんを抱えてなるべく舞台から離れる。


「どわぁ!」


  舞台上をウロウロしていたロキヒノも、慌ててダッシュして遁走する。


『うそぉ!』

「きゃ!マホちゃん!?」


  マホは、側にいたヒナギを抱いて空に飛び上がった。


「リゥム!」

「お姉ちゃん!」


  メィムも、咄嗟にリゥムを抱いて俺と一緒に離れた。


 “「総員、シールド魔法を使える者は展開!衝撃に備えろ!」”


  ユギカザさんが、マイクで声を飛ばした。それで、慌てて観客達の中で防御魔法を使える人間が前に出て魔法を発動する。もちろん、特別観覧席の防御魔法も再び衛兵達が展開して王家の人間をガード。


「コシギーン様とハークロ様は、ミーの後ろに」


  コシギーンの四十七士が、前に出て鎌を構えて防御の姿勢を取っていた。というか、あのカマキリしゃべれたのか。


  あ、勇者忘れてきた。


『アダル!』

「……!ストッパー!?」


  呆然と空を見て棒立ちしていた勇者を、アクセル・スピーダーが回収して退避した。


  そして、その直後コロシアムの真ん中にその物体は落下した。激しい衝撃と粉塵、粉々に吹き飛んだ瓦礫が辺りに散乱する。


「くっ!」

「カナタさん!」


  逃げるのが先になって、魔法を発動する暇が無い。せめてトモヨちゃんだけでも守らないとと思い、彼女を俺の体で庇う。


『ふん!『チャージ・ブレイク・サイクロン』!!』


  そんな俺達の前にダブル・ジョーカーが、盾になるように現れてくれた。そして、必殺技の『チャージ・ブレイク・サイクロン』で飛び散る瓦礫を一掃する。


「ダブル・ジョーカー!助かったぜ!」

『まだだ!』


  瓦礫を蹴散らしても、ダブル・ジョーカーは臨戦体勢を解いていなかった。粉塵の先を見つめ、怒りの表情を滾らせてる。

  つまり、あの粉塵の先に敵の本命がいるって事か。


  粉塵が晴れると、そこは巨大なクレーターになっていた。完全に、隕石が落ちた現場のような状態になっている。


  そのクレーターの真ん中に、大きな赤い物体があった。あれが、落下してきた物体らしい。大きさは、だいたい3~5メートルくらい?蓮の花が閉じたような、変わった形の物体である。近付かないとよくわからないけど、材質は金属かな?


「あ」


  その蓮の花が、ゆっくりと開いた。

  中から現れたのは、3メートルほどの大きな体躯に禍々しい二本角を頭に生やした、翼を持った怪物だった。両手で三ツ又の矛を持ったその異形の悪魔は、魔フォーのカードで見た事がある。


「あれは、『アークライト・デーモン』!」


  それは、魔王族のサモンドスレイヴカードにいる『アークライト・デーモン』にそっくりな姿の怪物だった。魔王族は姿形も多彩で、ブラックのような人間に近い姿の者からこいつのように完全な異形。更には、骸骨そのままの姿の『スケルントン』まで、千差万別だ。


  それだけじゃない。『アークライト・デーモン』の後ろには、それよりは少し小さいけど忙しなくブンブン動いている羽を持ち、ぶっくりと膨れ上がった尻には針。巨大化したスズメバチのような、怪物がいた。


「獣生族の、『ビー・バエル』!」


  それは、魔フォーでは獣生族に当たる『ビー・バエル』だった。昆虫は、大きな括りでは獣生族に入っているのだ。

  それらが、両方合わせて十体いた。


「あいつらが、ダークネスの軍隊?」


  ゆっくりと、『アークライト・デーモン』が視線を巡らせた。そして、止まった視線の先にいたのは、四十七士のカマキリとコシギーン。


「あ」


  人間には感知できない声を上げて、『アークライト・デーモン』が飛んだ。次の瞬間には、カマキリとコシギーンの二人がまとめて『アークライト・デーモン』の矛に貫かれていた。少しだけ離れていたオッサンは、なんとか難を逃れたようだ。


「ぎ、ぎゃあぁぁぁぁ!」


  コシギーンの悲鳴が、響き渡った。


  それを合図にするように、残りの『アークライト・デーモン』と『ビー・バエル』が飛び上がってくる。


 “「前哨戦、スタート!」”


  ダークネスが、前哨戦の開始を改めて宣言した。



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