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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第34話

 なんか、いつの間にかトモヨちゃんと婚約していた。

  目まぐるしい展開で、もはや何が何だかさっぱりわからねー!だいたいは俺の自業自得?クリティカルな事は言うな!


  そんな所に現れたのは、なんとかっていう偉いオッサン。

  こいつ、やたら俺を罵ってくるんだよな。仮にも国を救うって噂の相手に対して、その態度はちょっとおかしくないかな?


  そして、こいつから臭うのは陰謀の臭い。何を企んでいるのかは知らないが、その陰謀は俺が暴いて叩き潰す!じっちゃんの名は、いつも一つ!……なんだ、こりゃ?


 ──・──・──・──・──・──・──


  なぜか、いきなり『勇者』と戦えって言われたんだけど。

  いや、剣と魔法の世界だから勇者がいるのはまあ、許容範囲なんだけど。なんで、それと俺が戦わなきゃいけないんだ?


「あの……。なんで勇者と戦わなきゃいけないんでしょうか?」


  俺は、控え目に尋ねてみた。すると、なぜかオッサンはニヤリと笑う。

  またか。また、ゲス顔選手権を始める気なのか?その顔は、完全に悪役の顔だからな?自覚無いなら、鏡を見る事をオススメするぜ?


「おや、救世主様?我が勇者相手では怖じ気づきましたかなぁ?」


  わざわざ、嫌味ったらしく「様」を付けてこっちを煽ってくるオッサン。なんともはや、典型的すぎて食傷気味。

  まあ、とりあえずいい奴ではないってすぐにわかるから、ありがたいけど。


「いえ。一応、その勇者様も人間でしょう?人間同士で殺し合うのは……」

「ああ。それなら大丈夫だ、カナタ」


  王様が、声をかけてきた。


「え?」

「力比べなら、使うのは訓練に使う模造剣になる。それは怪我もしないようにできているから、安心して戦うといいぞ。正直に言えば、俺もお前の戦う所は見たかった!」


  王様が、めっちゃいい笑顔で言った。

  なんか、救世主呼びが無くなった代わりに、フランクな口調になったぞ王様。もしかして、婚約したから息子扱いになった?


「そ、そうなんですか?」

「おう!で、トランド?その勇者は、今どこにいる?」

「今、こちらに向かっております。夕刻には、到着するかと」

「そうか。では、力比べは明日にしよう。カナタも、それでいいか?」


  王様が確認してくるけど、そこまで予定を決められて断れるわけないやん?おまけに、まるで少年のように目を期待でキラキラさせてるし。


「は、はい……。まあ、期待に応えられるかどうかは、わかりませんが……」

「よーし、オッケーだ。トランド。明日の朝一から、コロシアムで力比べを行おう。あと、せっかくだ。夜にはトモヨとカナタの婚約披露パーティーとカナタの歓迎パーティーをするから、その勇者を連れてお前も来いよ」

「わかりました。連れて行きましょう。それでは、ワシは一旦これで」


  オッサンは、雑に頭を下げるとさっさと謁見の間を出て行った。頭を下げたのが王様だけで、俺はともかくとしてロキヒノやトモヨちゃんもガン無視だってのが、いかにもって感じだな。


  オッサンが出て行くと、衛兵達にホッとした空気が流れていた。衛兵達にまで嫌われてんのか、あいつ。


「それじゃあ、全員それぞれの持ち場に戻れー」


  王様が号令を掛けて、衛兵達を解散させた。王様達も謁見の間から移動するので、ここを警備する衛兵は最低限度残すだけのようだ。


「じゃあ、ロキヒノ。あと、カナタ。お前達がやって来た討伐を、聞かせてくれないか?」

「それはいいんだが、父上。昼飯食いながらでもいいか?実は、俺らまだ昼飯食ってないんだよ」


  ここに着いたの、昼ちょい過ぎだったからな。ロキヒノを送り届けてから、どっかで食べようって話だったんだけど、まさかこうなるとは。


「みなさんも、お昼はまだなのでしょう?是非、食べて行って下さい」


  横では、王妃様がマホ達を誘っていた。


『え、でもいいんですか?』

「もちろんです。ロキヒノがお世話になったのですから」

「え、あ……。はい」


  確かに、ロキヒノはお世話してあげたが正解だよな?特にリゥムは、どんだけ怪我の処置してあげてたか。


  そういう事で、俺達は王族専用の食堂で昼食を振る舞ってもらった。


「~♪~♪」


  昼食の間、トモヨちゃんが俺の膝の上に座って一緒に食べるなんていうムーブをかましてきたんだけど、これはもはや罰ゲームじゃないか?というか、これを注意しないで微笑ましく見守ってるのはおかしいと思うよ、王家の方!マナーは!?


「鉱石族が、そんな事を……」


  さすがに、ジュッカー・フィフティーンの陰謀の話は王様と王妃様は驚いていた。ロキヒノの送った報告は、「鉱石族とトラブったので帰りが一週間くらい遅れる」という内容で詳しい戦いの推移は送らなかったらしい。

  そうなると、それを聞いて全く驚いていないトモヨちゃんが、相変わらず謎なんだけど。これも予言?この子、マジで何をどこまで見てるんだ?


「それは、サイバーガイザー国に抗議するべきか?」


  サイバーガイザーというのが、鉱石族の領国だそうだ。一応、機械の王がいるらしい。


「勝手な事をやってやがったからなぁ。ガツンッと言ってもいいんじゃないか?」

「……カナタは、どう思う?」

「そうですね。……首領のバリアリーフとやらは、自分が世界の支配者になろうとしていたので、単独行動をしていた可能性が高いです。実際、他の鉱石族が援軍に来なかったので。なので、国として正式に抗議しても向こうには何の事かわからない可能性はあります。もう少し時期がずれていれば一緒に事後の捜査もできたでしょうけど、今は……」

「そうだな。バトル・ファイオーが始まっては、向こうも調査に人員を割きたくはないか」

「はい。まあ、今回は最小限の犠牲で食い止められた、とプラスに考えるしか……」

「そうだな。……しかし、話を聞けば聞くほど、トモヨが救世主と呼ぶだけはある戦果を挙げているな、カナタは。さすがだ」


  王様まで、さすが連呼が始まったよ。


「当然です。わたしの旦那様ですよ?」


  トモヨちゃんが、ドヤァと胸を張った。

  ああ、くそ。かわいいから、何やっても画になるじゃねえか。


「うむ。今回ばかりは、俺の負けだ。お前の言う通りだったよ」


  なんかよくわからないけど、トモヨちゃんがますます胸を張っていた。きっと、俺が来る前から色んな事を言ってたんだろうな。


  そして、トモヨちゃんが胸を張る度に、彼女は俺を現実に戻してくれる。あの子は十歳、あの子は十歳。この国で成人してようと、あの子は十歳……。


(『もはや念仏だな』)

(色々取り払うんだよ……)

(『煩悩……か?』)

(言うな!)

「そうだ、父上。彼女達は懸賞金稼ぎをしていて、今回手伝ってくれた礼をしたいんだ。少しばかり、用立てを頼めるかな?」


  礼つうか、仕事だけどな。俺とマホは、単なる善意の協力者だから管轄外。


「おう。いくらくらいいりそうだ?」

「んー。一人百万くらいでいいんじゃないか?」

「わかった。用意させよう」

「ブッ!」

「え、えぇ!?」

「ちょ、ちょっと待って下さい!?」


  ロキヒノの提示した金額に、メィムは飲んでいたお茶を噴いて、リゥムは驚愕。ヒナギは、思わず会話に待ったを入れていた。


  確かこの国って、十万ギルガメあれば一年は余裕で生きていけるんだろ!?百万って、十年分って事じゃん!


「どうした、みんな?」

「そ、それはちょっと多くない?」

「百万って、凄い大金だよ!?」

「そ、そんなにたくさんいただけません……」


  三人は、あまりの金額の高さに仕事料を辞退していた。何だかんだで苦労したとはいえ、一日で百万ギルガメ稼いだんじゃそうなるわな。


「別に、多くはないだろう?みんな、命張って戦ってくれたんだしよ」

「そなた達の行ってくれた事は、我が国の一大事を未然に防いでくれた、それこそ救世の行為だ。本来ならば勲章ものだが、懸賞金稼ぎであるならば懸賞金で応えるのが一番であろう?遠慮なく、受け取ると良い」

「父上もこう言ってるから、問題無いって」


  王様と王子に説得されて、三人はそれ以上異論を挟めなかった。


  そうして、用意された懸賞金。その数、五つ。


『え?わたし達も?』

「俺とマホは、仕事でやってないぞ?」

「二人も、ウチの国を救ってくれた英雄だぜ?いいから、受け取っとけって」


  結局、俺とマホも受け取る事になった。


「……トモヨちゃん、いる?」

「カナタさん!はい!結婚生活の為に、わたしがしっかり管理しておきます!」


  そういうつもりでは無かったんだけど、懸賞金はトモヨちゃんに渡しといた。カードは十分持ってるし、ここの娯楽には興味が無いので金の使い道があんまり無いんだよな。だからまあ、最低限の手持ちがあればよし。


「カナタがサモンドスレイヴを召喚する所も見てみたかったが、無駄に魔力を消費させるのもあれなので、それは明日にとっておこう」

「明日は、サモンドスレイヴを召喚してもいいんですか?力比べなのに」

「構わんさ。サモンドスレイヴ召喚も、カナタの力だろう?力比べなのだから、問題無い。明日は、サモンドスレイヴと一緒に勇者をボコってやれ」


  右手の親指を立てて、ニカッと笑う王様。

  えーと、勇者さん?王様がこっちに肩入れしてるから、早々に逃げた方がいいんじゃないかな?



「初めまして。ロキヒノ・リードギルフの弟、ノオト・リードギルフです。兄さんを助けていただいて、本当にありがとうございます」


  夕方には、学校へ行っていた第二王子が戻って来て挨拶を交わした。


  第二王子のノオト・リードギルフは王様やロキヒノと同じ赤い髪をしていたけど、その二人とは違って穏やかそうな表情で柄の悪さは一切感じなかった。若干女顔で中性的、というか女装が似合いそうだ。男の娘だって言われたら、正直信じてしまう。


  あと、トモヨちゃんがロキヒノに回復魔法をかける所も見せてもらった。

  彼女は、ロキヒノの患部に手を当てると目を閉じた。すると、彼女の両手が淡く光る。


「本当に、カードを使わないのね……」


  トモヨちゃんは、確かにカードを使っていなかった。


(『これはまた、興味深いな』)

(この力は、何かわかるか?)

(『いや。ただ、見た所この世界特に大地に満ちている魔力を吸い上げて使っている様子が窺える。いやはや、本当に興味深い』)


  ダブル・ジョーカーは、解くべき謎を見つけた探偵のように嬉しそうだった。


  大地の魔力ね……。ゲームや漫画でよく聞く、マナだとかオドだとかいう専門用語かな?ふむ、マナか。……マナちゃん元気してるかな?



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