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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第30話その2

 そういう事で、俺達は正面門へと歩いて近付いた。当然、ロキヒノを先頭に据える。


 徒歩の方の門も、出入りする人でごった返していた。なので、ロキヒノは列の整理をしている兵士に声をかける。


「よう、ちょっといいか?」

「なんだ?今順番通りにやっているので、ちゃんと列に並んで……て、ロキヒノ王子!?」


  当たり前だけど兵士はロキヒノにすぐ気付いて、門は騒然となった。


「ロキヒノ王子だ!」

「なんという、凛々しいお姿……」

「きゃ~、王子様よ~」

「王子様カッコいい……」


  場は、まるで人混みの中に人気のアイドルが現れたかのような、騒ぎになっていた。ただ、兵士達が素早くロキヒノをガードしていたので、もみくちゃにされるような事は無かった。まあ、俺らもロキヒノからは離されたんだけどな。


「さすがはロキヒノ。人気あるわね」

「ロキヒノくん、見た目はカッコいいから」

「見た目はって……。まるで中身は駄目みたいな言い方ね?リゥムったら、酷い~」

「べ、別にそんな事は言ってないよ!?」


  いや、中身はだいぶ残念だと思うぞ、ロキヒノは。


「遠征から帰ってきたんだが……。今日はやけに人が多いな?何かあったのか?」

「は、はい!バトル・ファイオーが始まってしまいましたので、武器や薬などの搬入。地方へ疎開や、逆に防衛強化の為の人員増強で民が増えています」

「ああ、それでか」


  あちこちから、物資や人的資源を集中させているんだろうな。ここを落とされる事は、即人類絶滅に繋がるからな。


「なるほどな。わかった、ありがとう。じゃあ、城に戻りたいんで通っていいか?」

「は、はい。もちろんです。あれでしたら、兵に同行させますが?」

「必要無いよ。俺なんかより、こっちの作業に集中してやってくれ。俺の方は、仲間もいるから大丈夫だ。な、カナタ?」

「あ、ああ……」


  いきなり話を振られたので、とりあえず愛想笑いをしておこう。


「じゃあ、六人な」

「はい。王宮まで、お気を付け下さい」


  兵士達に見送られ、俺達は王都の中に入った。


  ロキヒノに仲間だと言われたおかげで、俺達はその場にいた人間全てから興味津々の視線を向けられてしまっていた。


  ちょっと恥ずかしかったけど、特に持ち物チェックだとかボディチェックを受けずに中に入れたので、まあヨシとしよう。カード大量に持ってるの知られたら、なんか勘ぐられて止められそうだしな。


「なんか、注目されて恥ずかしかった……」


  あれだけ大勢の人間から一斉に注目されたら、さすがのメィムも恥ずかしいか。


『わたしはもう慣れた』


  それに比べて、マホはひょいと肩をすくめただけだった。お前はまあ、背中の翼のせいでどこ行っても注目を浴びていたからな。



  王都リードギルフは、周りを防壁で囲んだ城塞都市だ。町というよりは、一つの「市」レベルの広さがある。それを防壁で囲んでいるんだから、どれだけ防壁長いんだよって話ではあるんだけどな。


  王都内の道路も石造りで整備されていて、かなり歩きやすい。マンションのような高い建物は見えず、一番高い建物でも五階建てくらい?エレベーターが無いから、あまりに高くすると不便極まりないもんな。わかるか、ジュッカー・フィフティーン?(八つ当たり)。


  王都の中心には、大きな城が鎮座していた。立派な西洋風の城で、華やかさは無いけど防衛する事に特化したような要塞みたいな城だ。


  王都の建物は、この城を中心として放射状に広がっていて、大通りの道が城に続くように一直線に続いている。そのおかげで、大通りからはどこにいても城の姿を確認できる。つまり、大通りを進軍すれば城からはすぐに見つかるわけだ。


  王都の中でも、城下町は人が多くて活気があると思えた。色々な商店が軒を連ねて、人通りも多い。ただ、その中でも剣や槍なんかを装備した兵士が目に付くのは、この町が戦争状態に移行したからだろう。


  いつ攻撃が来るのか、どれくらいの敵軍が現れるのかわからず、こちらから先制攻撃にも行けない相手からの攻撃を待つ状態。酷い話だ。



  そんな大通りを、俺達は歩いていた。先頭を歩くロキヒノの姿に気付いた人間もいたみたいだけど、さすがに握手やサインを求めてくる奴はいなかった。


  ここの民度が高いのか、日本がおかしいだけか?


  馬車は、ひっきりなしに行き来している。歩道は無いから、たまにすぐ側を通っていくのはちょっと怖いぞ?


「相変わらず、凄い人ね」

「メィム達は、ここに来た事はあるんだ?」

「ん?まあ、滅多に来ないけどたまにね」

「たまに来ると、人の多さに毎回驚くよね」


  ウィステリア姉妹は、あまり王都には来ないみたいだな。年に数回、下手すりゃ一年に一回レベルか。


  まあ、今まで立ち寄った町とは、大通りを見ただけで規模が違うってわかる人の多さだからな。田舎者でなくても、驚くか。


  二人の実家のあるナード町を見てないのに、ナチュラルに田舎扱いしてるのは、どうなんだろうか俺……。


『ヒナギちゃんはどうなの?』

「わたしもたまにですね。お父さんの仕事の仕入れのお手伝いとかに、たまに付いて来ていました。今は、懸賞金稼ぎで町を離れているので、できませんが」

『?お父さんのお仕事?』

「あ、はい。わたしの家、ナード町で「サンライズ食堂」っていう食堂をしているんです」


  ヒナギが、少し照れたようにはにかみながら言った。恥ずかしがる必要は、無くね?


  というか、ヒナギの家は自営業だったのか。だったら、家で働いた方がいいんじゃないか?どうして、わざわざ危険がある懸賞金稼ぎなんて……?


  サンライズ……。日の出の食堂?いやいや。


『へ~!あ、もしかしてヒナギちゃんもかわいいウェイトレスさんをやってたとか?』


  あ、マホの奴制服に食い付いたぞ。


「あ、えっと……。制服は一応ありますが、かわいいなんて事は……」

『いやいや。ヒナギちゃんが着れば、どんな制服だってかわいくなるよ!』

「い、いえ。そ、そんな事は……」


  マホの言葉に、ヒナギは真っ赤になってうつむいていた。基本的に自己否定感の強いヒナギは、ああいう風に押されると何もできなくなるんだよな。


  ここは、マホに持ち上げてもらってヒナギの性格の矯正をしてみよう!


『まあ、一番かわいいのはノークロスを着てる時だと思うけどね♪』

「?ノークロスというのは、どんな服ですか?」

『うふふ』


  ヒナギの質問にも、マホは答えずに笑うのみだった。


  ……ノークロスって、NO CLOTH。服無しって、全裸の事だろ!まあ、直球でヌードって言わずにぼかしたのはだけは褒められるけど。


  ヒナギはお前とは違うんだから、あんまり変な事を教えるなよ?


「ヒナギが懸賞金稼ぎやってるって事は、その食堂は両親で?」

「あ、いえ。わたしには、ミオちゃんって妹がいまして、三人でやっています」

「へー、ヒナギには妹がいたのか」

「はい。今年中学生になったばかりの、かわいい子なんですよ」


  ヒナギが、物凄く嬉しそうに妹の事を語り出した。こいつ、かなり妹をかわいがっているようだ。まさか、シスコンだったとは。


  ヒナギの言う所によれば、妹はミオ・エンリという名前で中学一年生の十三歳。純真無垢で器量良しかつ成績も優秀、スポーツも万能の完璧超人タイプ。しかも魔法の才能もあって、タイプは人間ではレアな「闇」だという。


  タイプが闇ってだけで、純真無垢のイメージが遠ざかるのは俺だけだろうか……。


「もう、本当にかわいいんですよ~」


  あの大人しいヒナギが、ここまで熱く饒舌に語るとか。これはあれか、目の中に入れても痛くないってヤツか。


『ヒナギちゃんがそれだけ言うなんて、会えるの楽しみだな~』

「はい!是非、会いに来て下さい」

『その時は、ヒナギちゃんも制服でウェイトレスをしてくれる、という事で』

「え?い、いえ!わたしなんかはどうでもいいので、是非是非ミオちゃんを見て下さると」

『姉と妹が、両方揃わないと!姉妹丼にならないし~』


  姉妹丼って、お前な……。


「しかし、物凄い持ち上げてるけど、盛ってないのか?」


  妹をとにかく持ち上げまくるヒナギを見て、ようやく気付いた。あいつ、元々から何でも持ち上げる気質だ。だからか、俺をやたら持ち上げる持ち上げBOTになってるのは。


「ヒナギの言ってるのを聞くと、そう思うでしょ?ところが、ミオちゃんは本当に言ってる通りなのよ」


  俺の独り言に、メィムが答えてきた。


「マジか」

「ええ。あの子は優秀よ。リゥム並みに、ね」

「……このシスコンめ」


  さりげなく自分の妹も上げる、もう一人のシスコンだった。



  城の周りには、堀があって池のようになっていた。まあ、敵の侵入を防ぐ常套手段だから、特に不思議じゃないな。入り口には跳ね橋がかかっていて、有事の際にはそれを上げて侵攻を阻止する役目を担う。


  その跳ね橋は、今は下がっていた。物資搬入で忙しいから、いちいち上げ下げしてられないわな。

  なので、俺達は跳ね橋を通って検問へ向かう。


「お帰りなさいませ、ロキヒノ王子!」


  当たり前だけど、検問はフリーパスだった。ここ、ロキヒノの家だからな!


「ん?」


  検問を通って中に入ったすぐの所に、女の子が一人立っていた。


  綺麗な白いドレスを身にまとった、小さな黒髪の少女。年の頃は、十歳くらいだろうか。


「ようこそ、リードギルフへ」


  少女は、丁寧に頭を下げた後、ゆっくりと顔を上げて微笑んだ。


「……カナタさん」


  少女が、はっきりと俺の名を口にした。


  なぜだろう?一瞬でわかった。この子が、この国の王女様でロキヒノの妹、トモヨ・リードギルフだと。




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