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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第28話

 王都をめざして、スケールに乗って旅する俺達。


 いやー、快適なドライブ。いいわ。まさか、異世界でドライブを楽しめるとはねえ。しかも、他に車が無いから渋滞を気にする必要が無いと来たもんだ。

 なんともはや、ボクんちの車は宇宙人!?……サモンドスレイヴや。


  と楽しくドライブしていたら、突然よくわからない奴が現れて、よくわからない事を言って消えた。まるで意味がわからんぞ!


 ──・──・──・──・──・──・──


  俺には一切理解できない事を喚き倒して、謎の存在ダークネス・ライトは消えた。


「えっと、マホ?あとロキヒノも。さっきの奴は、なんだ?お前達、あれの事を何か知っているんじゃないか?あと、バトル・ファイオーってのは何の事だ?一体、何が始まったんだ?」


  俺が聞くと、マホは大きなため息をついて、ロキヒノはキョトンとした。


『……まあ、知ってる』

「バトル・ファイオーの事知らないのか、カナタ?」


  知るわけがない。この世界に来て、ほぼ一週間だぞ?


「ああ。大会がどうのだの、生き残れだの言ってたから何かの大会なのかってのは予想はできるけど、あんなでかい映像を投影できるとか尋常じゃないぞ?」


  何もスクリーンの無い空中に、映像を映し出していたからな。あんなもん、向こうの世界ですら無い技術だぞ。


『バトル・ファイオーはそんな生易しい物じゃないわ。言うなれば、「戦わなければ生き残れない」。そういう物よ』

「戦わなければ生き残れない?」


  あのマホが、不快そうな表情で吐き捨てるように言った。


  俺達は、スケールを街道の脇に寄せて側の草むらに座り込んだ。とりあえず、腰を据えて話をする為に。


「バトル・ファイオーってのは、二百四十八年毎に行われている全種族を巻き込んだ戦い。だと聞いた」


  まずは、ロキヒノが口火を切った。


「戦い?全種族で?」

「ああ。そう聞いてる。とはいえ、二百四十八年毎だからな。当然、実際に何が起こっていたのかはわからねえ。あくまで、そういう事が二百四十八年毎に起こっているって事を話に聞いているだけさ」


  ロキヒノは、肩をすくめた。 


  二百四十八年毎に行われているそれが今年に起こったって事は、つまり前回は二百四十八年前の出来事だったって事だよな?二十一歳のロキヒノが、直接見聞きできるわけはないわな。


  ……ん?二百四十八年前?確か、マホが生きていた時代は二百年くらい前。


『……』


  なるほど、マホは前回の戦いの当事者か。何しろ、その頃は聖天族の女王だったはずだしな。

  とはいえ、その話を今ここでさせるのはよくないな。


「なるほど。そんな前じゃ、歴史の授業で習うみたいな感じか。お前達も、歴史の授業で聞いたのか?」


  俺は、メィム達に話を振った。


「ええ、そうよ。カナタは、授業で習わなかった?」

「んー、まあ。飛ばされたんじゃね?」


  俺の知ってる教科書には、当たり前だけど載ってなかったからなぁ。


「て事は、詳しい事はお前達にもわからないって事だよな?」

「はい。わたし達が知っているのは、二百四十八年毎に大きな戦争が起こるという事だけです」


  戦争?ヒナギの言葉に、また不穏な言葉が混ざっているな。


  詳しく知りたい所だが、ここでマホに詳しく説明させるのは駄目だな。それをすればなぜそれを知っているのかから説明しなきゃならないし、マホがサモンドスレイヴである事も説明しなきゃならないだろう。

  せっかく、マホは一人の聖天族の女の子として、メィム達と仲良くなったんだから。


  それに、向こうの世界の説明をするのもなぁ……。


(『それでは、我が説明しよう』)

(だな、ダブル・ジョーカー。今回の事、説明してくれるか?)

(『ああ。だが、その前に我を簡易召喚するといい。せっかくだから、君の仲間にも聞いてもらうとよかろう』)

(ああ、そうだな)


  ロキヒノ達も知らないのなら、いい機会だろう。


「ちょっと、聞いてくれ」

「ん?どうした?」

「今回の事、俺のドラゴンのダブル・ジョーカーが知っているみたいなんだ。その話を、聞こうと思う」

「お、召喚すんのか?」

「ああ。ただし。来い、ダブル・ジョーカー」


  俺は、ダブル・ジョーカーを簡易召喚した。手乗りサイズのSDダブル・ジョーカーが、手の上に現れる。


「お?なんかちっせぇ?」

「あら、かわいい」

「トオノくんのボーダードラゴンさん、ちっちゃくなっちゃった?」


  ボーダードラゴンって……。お前達は、密かにそう呼んでいたのかリゥム?


「えっと、あの大きなドラゴンさんと同じドラゴンさんなんですよね、トオノさん?」

「ああ。これは、簡易召喚って言って通常の召喚とは別に行う特殊な召喚なんだ。カードも魔法陣も使わずに呼び出せるけど、こんな風に小さくなってしまうらしい」

『まあ、君ら人間達と話すにはこの姿で十分であろう?』


  ダブル・ジョーカーは俺の手から飛び降りて、集まっている俺達の中央へと歩いていった。そのちょこちょこ歩いている様子が、小動物的な動きに見える。


「ちょこちょこした動き、いいわね」

「なんか、かわいい~」

「見てて、癒されます……」


  SDダブル・ジョーカーは、メィム達三人にも好評だった。


『改めて、我はカナタ・トオノのサモンドスレイヴ、『ダブル・ジョーカー・ドラゴン』だ。我がマスターとここまで戦い抜いた事、感謝する』


  ダブル・ジョーカーが、ペコリと頭を下げた。


  まあ、今までダブル・ジョーカーの事はしっかり説明していなかったし、紹介もしていなかったからな。確かに、いい機会かも。


「いや、カナタには俺の方が世話になってるよ。俺は、ギルフォードライ王国の第一王子、ロキヒノ・リードギルフだ。よろしくな」


  ロキヒノが、片目をつぶりながら自己紹介した。

  誰相手でも気さくだな、この王子様はよ。


『うむ』

「えっと、 メィム・ウィステリアです。こっちこそ、色々助けてもらってます」


  メィムが、ダブル・ジョーカーに笑顔を向けた。


  ……外面はいいよな、こいつ。まあ、結構な美少女だし。


『うむ。人間にしては、いい動きをしているな君は』

「え、そう?えへへ」


  ちびダブル・ジョーカーに褒められて、メィムは嬉しそうだった。


「リゥム・ウィステリアです。メィムの双子の妹です。よろしくお願いします」


  メィムに続いて、リゥムが自己紹介をする。頭を下げて、何とかダブル・ジョーカーの目線に合わせようとしているのが微笑ましい。


『うむ。まあ、我以上にマスターと仲良くしてくれると、我も嬉しいぞ』

「え?あ、はい……」


  リゥムは、ダブル・ジョーカーに言われて俺の顔を見た。けど、顔を真っ赤にしてすぐにそらせてしまう。


「あのな、ダブル・ジョーカー。子どもの知り合いに友達になってくれるようにお願いするお父さんじゃないんだから、変な事は言わない」

『ぼっちは、父も心配だぞ?』

「誰が父親だ!」


  まさか、ダブル・ジョーカーが冗談をかましてくるとは。


  てか、俺はぼっちじゃねえ!あっちでもこっちでも、友達は「まほ」って名前の女の子しかいないとか、絶対言うなぁ!

  大会とかショップで会う人間は、一応いたんだぜ?友達、ちゃんといたんだぜ?本当だぜ?本当なんだよ!


「ヒナギ・エンリです。トオノさんには、初めて会った時からずっとずっとお世話になりっぱなしです。ダブル・ジョーカーさんにも、助けてもらっています。本当に、ありがとうございます」


  ヒナギも、ちびダブル・ジョーカーと目線を合わせようと頭を下げていた。


  うーむ。俺の手の上にいて、俺が上げ下げしてた方がよかったな。目線を合わせようとすると、どうしても這いつくばるのに近い体勢になってしまうからな。


  ヒナギとかリゥムは、丁寧だからなぁ。別にメィムが雑だと言うつもりはない。ロキヒノは、雑つうか大雑把だと思う。


『気にせずともよい。君も、我よりもマスターと仲良くしてくれたまえよ』

「は、はい!絶対仲良く……あ。え、えっと……」


  ヒナギは途中まで元気よく答えたのに、いきなり真っ赤になって口ごもってしまった。なんか、チラチラこっちを赤い顔のままで見てくるけど……。


  ?ヒナギって、たまによくわからん態度を取るよな?


『さて。この世界では、二百四十八年に一度、「バトル・ファイオー」という戦いが行われている。これは、種族を一単位として行われる』


  ダブル・ジョーカーが、てくてくと歩き回りながら解説を始めた。


  うーん、なんか名探偵が謎解きを始めるような雰囲気。まあ、犯人はダークネス・ライトで決定してるけども。


『この戦いは、簡単に言えば種族の生き残りをかけた戦いだ。ク……マホが先程言っていた通り、「戦わなければ、生き残れない」だ』


  お、ダブル・ジョーカーが一応マホに気を使ってる。クイーンって呼ぶと、何気に面倒臭いもんな。


「何をする気だよ?まさか、全種族を一堂に集めて殺し合いでもさせるつもりか?バトル・ロワイアルじゃあるまいに」

「?バトル・ロワイアル?」

『種族として他種族と戦う事に関しては、そこまでではない。そちらは、あのダークネスが言っていた通り、大会みたいなものだ。種族から選ばれた代表が戦って戦って戦って、戦い抜いて。最後に立っていた者を優勝者とする戦いの舞台だ』


  なんだろう。倒れている他の選手を踏み台にして、右手の人差し指を伸ばしてトップを宣言している何者かの絵面が浮かんでくる。なんか、右手が光って唸りそうだ。……それメィムじゃねえか!


  ただ、それだけを聞くと種族の存亡はかかってなさそうなんだが。精々、オリンピック的な国の名誉レベル?


「つっても、それだけなら普通は種族の生き残りをかけた戦いになんてならないよな?」

『うむ。問題は、二つある。一つは、優勝者に与えられる優勝賞品だ』


  ダブル・ジョーカーは、指をピッと二本立ててそう言った。


  あいつ、意外にノリノリに名探偵役をやってるな。そういえば、マホがしがない探偵がどうのこうの言っていた事があったけど、何かの関係あるのだろうか?


「優勝賞品?あのカップじゃないのか?」

『あれは、副賞だ。あれを、副賞と呼んでいいのならな』

「ゴミだろ、ありゃ」

「ゴミね」

「ゴミだよね」

「ゴミだと思います」

『クソゴミ』

『繋がった。ゴミだ』


  ロキヒノ達はおろか、マホやスケールにすらあれはゴミと判定されていた。まあ、見るからにゴミだったからなぁ。


『バトル・ファイオーの優勝賞品は、「優勝者の望みを何でも一つ叶えてもらう権利」だ。どんな望みも、な』

「どんな望みも?」


  うーん、定番と言えば定番の餌だな。


  でも、あれだろう?「その望みは私の力を越えている」とか言って、後付けで叶えてくれなくなるヤツだろ?神の力は越えられないとか言いながら、神ができない死者蘇生を平気でかましてくる、神の力を越えられない望みを叶える力なんだろう!?


『ああ。文字通り、どんな望みもだ。……望みを叶えるのは、あのダークネス・ライトだ。奴は、自分で神の中の神・王の中の王とほざいていた通り、超常の力を有している。本当に奴は、何でも叶えられるのだよ。例えば、簡単な所では億万長者になりたいとか、国の王になりたいとか。当然、死んだ者を生き返らせる事もできるし、その逆も可能だ』

「逆?誰か殺して欲しい、とか?」

『……そんな生易しい物ではない。種族を丸ごと滅ぼす事も可能だ』


  ダブル・ジョーカーが、なんとなく言いにくそうに言った。



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