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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第25話

 異世界生活、四日目。


  クルナ町でしばらく滞在する形になったので、俺は自分の魔法がどこまで使えるのかをテストしてみる事にした。


  なぜか、ピクニック気分で観客状態のマホ達。それはいいんだけど、変な褒め殺しはやめろ!と、乾いた叫びを上げる俺だった。


  しかし、たったの三日間で万策尽きしカバに山賊Gにジュッカー・フィフティーンと変なのに当たりまくるとか、なんてくじ運悪いんだ俺!絶望した!


 ──・──・──・──・──・──・──


  とりあえず、テストを続けるぜ。


  手札が無くなったので、まずはカードを一枚ドローする。なんだろうな、別に一気に六枚ドローしてもいいのに、つい一枚ずつ引いちゃうんだよな。あれか、魔フォープレイヤーとしての本能か。六枚以上は出てこないからあれだけど。


「お」


  引いたカードは、この世界では初めて引いたサモンドスレイヴカードだった。


「ふむ。『ゲン・ムレイザー』か。こいつには、精霊はいるのかな?」


  そのサモンドスレイヴカードは、名前を『ゲン・ムレイザー』。魔王族の「闇」タイプのサモンドスレイヴカードだった。


(『もちろん、いるよ♪』)


  頭の中に、声が響いてきた。聞き覚えの無い声、これが『ゲン・ムレイザー』の声か。


「あ、やっぱりいるのか」

(『はは、嬉しいね。ようやく、僕を呼び出してもらえるのかな?』)

「まあ、今は戦いの最中じゃないけど、それでもいいかな?」

(『むしろ、大歓迎だねー。僕は、戦いはあんまり得意じゃないんだよね。僕が得意な戦いは、女の子との夜の格闘戦だからさ♪』)


  ああ、そういうタイプか。カードイラストが白いスーツにハットを被った伊達男だから、それらしいっちゃそれらしいけど。


「今真っ昼間だけど、太陽の下は大丈夫?」

(『あのね、マスター。僕は別に吸血鬼じゃないんだよ?大丈夫だよ』)


  うん。問題無いなら、召喚させてもらおう。


  再び、魔法陣が発生する。この魔法陣、サモンドスレイヴを召喚する時にだけ出てくる物なんだな。誰が作ってんだ、これ?


「あ、魔法陣」

「次のカードはサモンドスレイヴみたいだね」

「昨日の人でしょうか?」


  残念、トーリじゃないんだな。


「幻のように、絡み付くナイトメア!夢の中へと誘う、マリオネット!全ての闇と悲しみを、その静寂でリセットしろ!サモンドスレイヴサモン!『ゲン・ムレイザー』!」


  魔法陣から、新たなサモンドスレイヴが召喚された。


  イラスト通りの、伊達男。一見爽やかに見えても、その目の奥が笑っていない妖しげな微笑み。背中には、デ○ルマン的な翼。チョロチョロと忙しなく動いている、悪魔の尻尾。

  なんか、イメージ通りだな。


『はーい、『ゲン・ムレイザー』召喚に応じて参上いたしました。初めまして、マスター。僕に釣られたりノセられたりしちゃう?』


  現れた『ゲン・ムレイザー』は、恭しくお辞儀をした後にバチコーンと片目をつぶって、挨拶をしてきた。


  ……後半のは、決め台詞?


「ああ、初めまして。えっと、名前は聞いてもいいのかな?」

『まあ、『ゲン・ムレイザー』で十分ですけど、本名という事でしたらブラック・ト・ギリアムとお呼び下さい』


  ブラック、か。ブラック・ト?……クロ・ト?


「じゃあ、ブラックでいいのかな?」

『ご自由にどうぞ。あ、コードネームが必要なら、アールかエックスで』


  何の拘りだ?


『ふむ。貴様も久し振りだな、『ゲン・ムレイザー』』

『ダブル・ジョーカーの旦那。こうして実体で会うのは、ある意味初めてですかね?』

『そうだな。我と貴様も生きた時代は違うしな』

『ですよねー。あ、そうそう。マスターには、こちらを』


  ブラックは、俺の方に顔を向けると突然指を鳴らした。すると、いきなりデッキケースの蓋が開いてカードが二枚飛び出してくる。


「?カードが二枚?」

『マスターは、僕の召喚時に発動する効果を忘れましたか?僕が召喚された時にマスターの手札が無かったら、デッキからカードを二枚引く事ができるじゃないですか』

「あ、そうだったな」


  ブラック、というか『ゲン・ムレイザー』には召喚された時にプレイヤーの手札が0だった場合に限り、カードを二枚ドローできる手札補充効果があるんだった。


  カードゲームのみの効果だと思ってたが、この世界でも発動するのか。


『まあ、ターンが無いのであまり意味は無いんですけどね』


  ブラックは、肩をすくめた。


  現実はターン制ゲームじゃないから、1ターンに一枚ドローという制限無いんだよな。基本、好きな時に六枚まで引ける。まあ、なぜか手札制限はあるみたいなんだが。


「それが、カナタの新しいサモンドスレイヴ?見た所、魔王族みたいだけど」

「ああ、そうだ。これは……」

『初めまして、マドモアゼル。私、マスター・カナタのサモンドスレイヴを務めさせていただいている『ゲン・ムレイザー』と申します。以後、お見知りおきを』


  ブラックは速攻女子陣に寄っていって、俺の時よりも更に丁寧に挨拶した。そして、女子陣の手を取って、その手の甲にキスをしていく。


  なんとも、どこの国の紳士だ!ってツッコミたくなるな。


「あ、わ……。は、初めまして……」


  うわ~、妹にマホってるメィムですら赤面してるよ。


「こ、こちらこそ……」


  リゥムも、顔が真っ赤だ。まあ、ブラックは魔王族だという事を考えなければ、かなりのイケメンの紳士だからな。内面は、知らん。


「はわわ~」


  ヒナギは、耳まで真っ赤だ。


  ……ヒナギに変な事をしたら許さんぞ、ブラック。


『それで……あ』

『初めまし、て?』


  マホが、冷ややかな目でブラックを見下ろしていた。その目からは、「誰か一人にでも手を出したら苦しめて殺す!」と訴えているのが俺にすらわかる。ましてや、それを直接向けられているブラックなら、ビンビンに伝わっているだろう。


  そもそも、マホとブラックは俺のデッキに両方入っていた仲間みたいな物だからな。二人が知り合いなのは、当然か。


『は、初めまして。センパイ……』


  ブラックは、若干震えながらマホの手にキスをしていた。


  ああ、デッキに入れられたのはマホの方が早いから「センパイ」か。しかし、怖がってんなブラック。


『初めまして~』


  マホが、にっこりと笑う。


『相変わらず、天使のような悪魔の笑顔だな』


  ダブル・ジョーカーが、ボソッとつぶやいた。


  おかしい。マホは聖天族って本物の天使のはずなのに、ダブル・ジョーカーの言葉が不思議なくらいストンと胸に落ちた。すっげー納得。


  その後、ラナさんとマナちゃんにもキスをしてブラックは戻ってきた。まだ震えてるけど、どんだけ怖いんだマホ……。


『それでは、マスター。続きをどうぞ』

「ああ、そうする」


  俺は、ブラックが引いてくれた二枚のカードを改めて確認した。と、その内の一枚はトーリじゃないか。


「見えない力を導く為に!その勇気研ぎ澄ませ!乾坤一擲、一必奏成!天下御免の侍魂!いざ、出陣せよ!サモンドスレイヴサモン!『ブレイドラ・レンゲリス』!!」

『殿の一番の忠臣!今、お側に!』


  召喚すると、トーリが嬉しそうに飛び出してきた。なんか、コンサートでポップアップから飛び上がってくるアイドルみたいだな。


『また呼んでいただいて、嬉しいです殿!』

「ああ」


  たまたま引いただけだけど、とりあえず笑っとこう。


『久し振りだ、『ブレイドラ・レンゲリス』よ』

『君は相変わらず元気だねー、トーリ君』

『お久し振りです、ダブル・ジョーカー殿!ブラック殿!』


  トーリは、ダブル・ジョーカーとブラックに頭を下げた。


  あれ?トーリってブラックよりデッキに投入されたの早いのに、「センパイ」にはならないんだな。まあ、なんかトーリって末っ子かわいがられ属性持ってる感じあるもんな。


『鉱石族との戦いでは働いてくれたそうだな。我が事情で動けなかった所を、よくやってくれた』

『いいえ。殿の為に働くのが、拙者の存在意義ですから』

『やっぱり熱いね、君は』

『それが取り柄ですから』

『取り柄というか、いい所だね』


  積もる話もありそうだから、向こうは向こうで話をしててもらおう。


「もう一枚は、と。『バンシューティング・ギャレン』か。召し物発動!『バンシューティング・ギャレン』!」


  残った魔法を発動して、『バンシューティング・ギャレン』を発生させる。


「ほい、ヒナギ」

「え?は、はい!」


  出てきた『バンシューティング・ギャレン』は、ヒナギに渡しといた。


「ドロー!ん」


  手札が無くなったので、カードをドローする。いい加減、限界までドローしろって話だけども。


  引いたカードは、鉱石族のサモンドスレイヴカードである、『ドライ=ブロン』。赤い車体のスポーツカーのような姿をした、車のサモンドスレイヴである。


「……」


  つい昨日、鉱石族とバトルを繰り広げた所だからな。それでなくとも、この世界では鉱石族は100%人間に敵対するって聞いたし。


「……お前は、俺の味方なのか?」


  つい、俺はつぶやいてしまう。


(『……自分はマスターを裏切らない』)


  低い声が、頭に響いてきた。


  そうか。それは、『ドライ=ブロン』の声。考えてみれば、こいつも俺と一緒に戦ってきた仲間なのにな。


「俺と一緒に、走ってくれるか『ドライ=ブロン』!?」

(『イエス!マイマスター!』)

「言い訳不要!真っ直ぐ、最高速度で駆け抜けろ!さあ、地獄の果てまで一っ走り付き合ってもらうぜ!サモンドスレイヴサモン!『ドライ=ブロン』!!」


  召喚と同時に、魔法陣から真っ赤なスポーツカー、『ドライ=ブロン』が飛び出してきた。


「な、何!?」

「何あれ、何あれ!?」


  現れた『ドライ=ブロン』は、ギャギャーッと地面を削りながらUターンして、俺の前まで走ってきた。


『『ドライ=ブロン』、スケール・シン。ここに』


 現れた『ドライ=ブロン』ことスケール・シンは、短く名乗った。


  ふむ、無口系か。でも、しっかり自分から名乗ってくれるんだからいい奴っぽい。


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