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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第24話

 悪の組織との戦いを終えて、町に戻ってきた俺達。


  救出したラナさん・マナちゃん親子ドラゴンはダメージを受けていた為、しばしの休息が必要。ロキヒノはドクターストップで入院だし、マホは酒にKOされてバタンキュー。


  とりあえずは、小休止だな。


  でも、こんな時だからこそ、できる事がある!今こそ、決闘スタンバイ!……いや、それは違う。


  しかし、一日に何人もの女性の胸を見る破目になるとは……。


 ──・──・──・──・──・──・──


「うーん」


  俺は、目を覚ました。


  異世界生活、四日目。まだ、ここに来て四日しか経ってないのか。昨日一日が濃かったからか、結構長くいるような気がするや。


『おはよう、我がマスター』


  テーブルの上にいたちびダブル・ジョーカーが、トコトコ歩いて寄ってきた。


「おはよう、ダブル・ジョーカー。そのサイズだとかわいいな」

『そんな事を言われても、我は嬉しくはないぞ』

「はは。まあ、ただの感想だから。ところで、マホは?まあ、俺を起こさなかった時点で変わり無しか」

『まあ、見ての通りだ』


  マホは、ベッドの上で体を丸めて眠っていた。まあ、マホの場合翼があるから仰向けでは寝られないわな。


「まあ、何も無ければいいか」


  俺は、とりあえずバスローブを脱いで着替えた。


『う~ん……ん?』


  着替え終わった頃、マホが目を覚ました。


『……あれ、わたし?』

「お、目が覚めたか?おはよう」

『あれ?彼方くん?おはよう。……なんで彼方くんがわたしの部屋に?』

「そりゃ、ここがお前の部屋じゃなくて俺の部屋だからだよ」

『へ?』


  マホが、キョトンとしていた。


  さて、どこまで覚えているやら。


『え~っと、う~ん。あ、そういえば飲みに来てたんだっけ?』

「そうだ。お前、どこまで記憶があるんだ?」

『えっと……。わたしいつ寝た?つ~か、なんで部屋に帰ってないのわたし?』


  案の定、酔ってる間の記憶は無しか。手を出さなくて、大正解だったわ。


『お主が酔い潰れていたからに決まっておろうが』


  ダブル・ジョーカーが、マホにツッコミを入れた。両腕を組んで仁王立ちして説教ポーズのSDダブル・ジョーカー、なんか本当にかわいいぞ。


『え?ダブル・ジョーカーなの!?うわ~、かわいい~。ちっちゃい~。どうしたのよ、このかわいい姿は?』


  マホが、速攻食い付いていた。さすが、かわいい物を愛でるのは女の子の本能だとまで言い切っただけはある。


  ただその……、男子に対してはあんまり言うなよ今の台詞。ちっちゃい、とかな。


『簡易召喚状態だ』

『ああ、例のアレ。わたしも、サモンドスレイヴのままだったら、こんなミニミニSDキャラのちびマホみたいな感じで出てこれたのかしら?』

『恐らくはな。まあ、今のお主にはもう不可能な芸当だ』

『そうなんだけどね。で?なんでそんな状態でいるの?あんた、普段からそんな感じになってたっけ?』

『お主の監視の為に決まっておるだろうが、この酔っ払いクイーンめ』


  ダブル・ジョーカーの言葉に、マホがジト目になっていた。


『また、人に変なあだ名付けて……。監視?監視って、どういう意味よ?』


  まあ、疑問に思うわな。自分の行動、覚えてないんだから。


『監視とは、何も起こらないように対象を見張る行為の事だ』

『言葉の意味を聞いてるんじゃないわよ!なんでわたしを監視するのか、って聞いてんのよ!わたしが何したって言うのよ!?』

『覚えておらぬのか?』


  ダブル・ジョーカーが、冷静に一言だけで答えた。それを聞いて、マホの動きが止まる。


『え?覚えてって……』


  マホは、俺の方に顔を向けてきた。


『あの……。彼方くん?わたし、何かした?』

「ノーコメントで」


  俺からはあんまり口にしたくなかったので、黙秘を貫く事にした。


『……マジで?ちょ、ダブル・ジョーカー?わたし、何したのよ?』

『酒に酔って暴れた挙げ句裸になって、マスターの唇を無理やり奪ってベッドに押し倒していたぞ。馬乗りにもなっていたな』

『嘘っ!?』


  マホは、口を手で押さえて絶句していた。その目が、再び俺に向けられる。


「ノーコメント」


  完全黙秘。


『え?わたし、彼方くんと……?ち、ちなみにそれは、どこまでイッたの?』

『馬乗りになった後、お主が落ちていたので……。どこまでと言うならば、口付けまでと言う所か』

『ホントに?わたし、彼方くんとキスを……?』


  マホが、自分の唇を指でなぞっていた。


  あの唇の感触は、なかなかに柔らかく……いや、思い出すのはやめよう。


『そんな……』


  答えはまだいいとかのんびり行こうって言った矢先のこれって、マホ的にはどうなんだろうか?なんか愕然とした様子だし、やっぱりショックあるのかな。言行不一致って事になるわけだし、そこら辺がショックに……。


『キスしたのに覚えてな~い!』


  マホは、頭を抱えて嘆きの声を上げた。


  あ、そっちか。


『え~!?せっかくのキスなのに、全然覚えてな~い!うぅ……、思い出せ。思い出すんだ、わたし!』


  ショックだったのは、キスの記憶が無い事だけだったんだな。なんだかなー。


『にゅ~。彼方くん!もっかいキスしよ~!』


  マホが、口をタコのように突き出してこっちに近付いてきた。


「いや、なんでだよ!?」

『だって覚えてないんだも~ん!いいじゃん、キスの一回や百回くらい!しようよ~!』

「回数おかしい、おかしい。いいからさっさと部屋に帰れ!」


  面倒臭いので、俺はマホを追い出した。


『もう、彼方くんのいけず~』


  マホは、ぶつぶつ言いながら自分の部屋に帰っていった。


  お前に言う事が、三つある。一つ、黙れ。二つ、黙れ。三つ目が、黙れだ。



  ホテルの食堂で、朝食を取る。


  朝食の場にはラナさん親子も含めて全員が揃っていたが、とりあえずマホの奇行は誰にも聞かれていなかったようだ。結構どたばたやって、マホも叫んでいたんだけどな。まあ、誰にも知られていないならいいや。


  ちなみに、ラナさんとマナちゃんも同じ朝食を食べていた。


(ドラゴンって、普段何を食べているんだ?)

(『基本的には、雑食だ。あのカバは人間を食っていただろう?』)


  ダブル・ジョーカーの簡易召喚は解除したので、今は俺の中に戻っていた。


(そういや、そうだったな)

(『ただまあ、理性のある者はそうそう人や天使、魔王を食ったりはせん。食用に育てている獣生族や海棲族が主だ』)

(それはそうか。……そういや、魔王族って「魔王族」なんだから、そこの領国って魔王がたくさんいるって事になるんだよな。魔王がいっぱいいるって……)

(『それを言うならば、向こうの世界での君も真穂嬢も魔王だったではないか。魔フォープレイヤーは全て魔王だったのだから』)

(はは。そういやそうだった)

「とりあえず、大きい案件が片付いたし、今日は何をする?」


  メィムが、全員に話を振った。


「何しようか?ロキヒノくんの手術が終わるまでは動けないもんね」

「ロキヒノさんは、手術が終わったらすぐに動きそうですから、ここに少し滞在した方がよさそうですよね?」

「メシ食ったら、ロキヒノにその辺話してくるよ。ラナさんとマナちゃんが自力で帰れるようになるまではここにいようと思うしな」


  助けたから後は勝手に生きろ、は気分よくないしな。やっぱり、最低限のケアはしておきたい所だ。


「申し訳ありません。私達のせいで」

「ラナさん達のせいじゃありませんよ。俺達の仲間の一人がボロボロに怪我をしていたのは見ていましたよね?こっちとしては、あいつを休ませたいんですよ。あいつ、放っておくと無茶するタイプみたいなんで。そういう事なので、あいつを静養させる為にむしろラナさん達の名前を利用させてもらいます」


  会ってまだ日は浅いけど、あいつの猪突猛進さは既に思い知らされたからな。手術が終われば、さっさと移動を再開しかねない。だから、ラナさん達を利用させてもらう。理由があれば、あいつだってすぐの移動は控えるだろ、きっと。


「……はい。どうぞ、いくらでもご利用下さい」


  ラナさんは、にっこりと笑ってうなずいた。

  ドラゴンの時からそうだったけど、子持ちなのにかわいいなラナさん。


「で、何する?」

「俺はロキヒノの所に行った後やりたい事があるから、何かやるのならそっちでやっててくれ」

「?何するのよ、カナタ?」

「ちょっと、延び延びになっているテストをしとこうと思って」

「「「『テスト?』」」」



  病院のロキヒノに会いに行った後、俺はマンション塔の廃墟近くにやって来た。と言ってもそこに用があるわけじゃなく、なるべく人が来なさそうな場所を探して来ただけだ。


「この辺でいいか」

「んじゃ、シート引くわね」

「は~い」


  俺の後ろには、全員がついて来ていた。それは、マホとメィム達三人だけじゃなく、ラナさんとマナちゃんまで。


「お前ら……。暇なら町のプロワでも見て、なんか仕事でも受けてくればよかったんじゃないか?」


  マホ達はレジャーシートを広げて、何やらピクニック気分だった。


「つっても、あたしらロキヒノの依頼完遂して報酬入るの確定してるしね」

「まあ、今慌てる必要は無いよね~」

「はい。それに、今はゆっくりしたいです」

『いいでしょ?わたしは……、一緒にいたいんだよ』

「すみません。私達は、少し動いていた方がリハビリになるので……」

「マナ、歩くの好き~」


  全員動く気無し、と。見世物みたいだが、まあしゃあないか。



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