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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第23話その2

 夜、このホテルではバスローブが用意されていたので、俺は風呂に入った後それに着替えていた。


「うーん。デッキを考えたい所だけど、今日はさすがに疲れたし明日にするか」

(『デッキを考えるとは?』)

「うん。トーリがいる事がわかった以上、他のサモンドスレイヴカードにも精霊がいそうだろ?今まではダブル・ジョーカーを最初に持ってきてゴリ押しで終わらせてたけど、これからは幅広い戦略が取れそうだからさ。今回みたいに、ダブル・ジョーカーに頼れない場面でも、他のサモンドスレイヴが出せれば有効だし」


 それでも、エースはダブル・ジョーカーだけどな。


(『我はゴリ押しでも構わぬが……。まあ、戦略の幅を広げる事は悪くない』)

「だろ?……ああ、そうそう。聞きたい事があったんだけど、プレイヤーのHPを回復するようなカードがあるだろう?あれって、この世界で使えばどうなるんだ?」


  もし怪我を治せたりできたら、これからが凄い楽になりそうなんだがな。


(『一度使ってみるのが一番いいのだがな。まあ、全員から「何をしている?」と首をかしげられる事請け合いだ』)

「つまり、何も効果が発動しないと」

(『ゲームと違い、命に数字は設定されていないからな。回復するHPが無いのだ』)

「まあ、そりゃそうだよな」


  まあ、仕方ない。


  その時、部屋のドアがノックされた。


「マホ?」


  ドアを開けると、そこにはバスローブ姿のマホがいた。


『こんばんは、彼方くん。良い物、手に入れたんだ♪』


  そう言ってマホが出してきたのは、二本の……ワイン?


『ふふん。せっかくだし、飲まない?』


  酒か。俺は普段はあんまり飲まなかったけど、まあ今回はいいかな。


  という事で、俺達はテーブルにつく。


『それじゃあ、初めての飲みという事で、かんぱーい!』


  俺達はマホの持ってきたグラスにワインを開けて、乾杯をした。こうしてこのマホと飲むのは、当然初めてだ。


  ワインは、特に高級そうではなかったけど、口当たりが良くて飲みやすかった。端的に言えば、うーまーいーぞー!だ。


『はぁ~!久々のお酒!五臓六腑に染み渡る~!』


  言い回しがおっさんだな。


「酒飲めたんだな、マホ」

『と~ぜんじゃな~い!わたしを誰だと思ってるの?ハーレム・クイーンだよ、ハーレム・クイーン!ハーレムに酒なんて、標準装備じゃない!』


  上機嫌に答える、マホ。


  なんか、既に怪しい気がするのは気のせいか?


(『……ノーコメントだ』)


  そして、数分。


『きゃははは!う~ん!ぷは~!お~いし~!もう、一杯~』


  マホは、既に出来上がっていた。


「お前、大丈夫なのか?」

『ダイジョブダイジョブ~!ほらほら、もう一杯ど~ん!』


  仕方ないので注いでやると、マホは椅子から立ち上がって、腰に手を当てて一気に飲み干してしまった。


(マホ、今ので何杯めだっけ?)

(『さっき飲んだのが四杯めだな』)

(コップ四杯……いや、三杯で出来上がるのか!?)


  メチャクチャ酒に弱いじゃねえか、マホ!


『にゃははは!かにゃたく~ん。もうおっぱい!にゃ?おっぱいじゃないよ、一杯だよ!かにゃたくんにおっぱいにゃいにゃ~!おっぱいあんのわたしだよね~?はぁ!?わたしにおっぱい無いって!?失礼な!』


  マホは、一人でしゃべって一人で笑って、一人で怒っていた。


『おっぱいちゃんとあるよ!こんなんだけど、ちゃんとあるよ!ほらぁ!』


  マホは、バスローブの前を開いて胸をこっちに向けてきた。


「ちょ、マホ!?」


  マホは、バスローブの下にブラを着けていなかった。つまり、丸見え!


「何やってんだ、バカ!」

『ほら、ちゃんとあるでしょ、おっぱい!無いわけじゃないんだよ!』


  マホは、顔を背けようとする俺の頭を掴んで、無理やり胸を見せようとする。


  こいつ、酒弱い上に酒癖悪い!


『だいたいさぁ!彼方くんも彼方くんだよ!ラナさんのデカパイガン見しちゃってさ!何、やっぱりおっぱいなの!?おっぱいが全てなの!?おっぱい星人なの、このおっぱい!』

「んな事は……!」

『だったら、わたしの体を見ろぉ!』


  マホは、バスローブを脱ぎ捨てた。


  こいつ、バスローブの下何も着けてねえじゃねえか!?


『女の子はねぇ。おっぱいだけじゃないんだからねぇ!?』

「うん、そうだよ。そうだと思うよ?」


  俺は、なるべくマホの方を見ないように顔を背けて答えた。この酔っぱらいムーブ、マジウザ絡み!


『だったら!』

「!?」


  マホは俺の顔を両手でガッと掴むと、無理やり自分に向けさせて、唐突にキスをしてきた。


  ……は???いきなり、何してんじゃお前ー!?またか!?また、「マホ」に奪われたのかよ、俺は!?


「に……!」


  あまりの唐突な行為に、俺は硬直した。その隙を突いて?、マホが俺をベッドに押し倒した。もう、当然の流れのように馬乗りになってくるマホ。


  いきなりなんだ唐突!


『彼方くん……』


  マホが真剣な表情をして、俺に顔を近付けてきた。その一方で、俺の腕を両手で押さえつけている。

  い、意外に力あるぞ、マホの奴。振りほどけねえ……!


『わたしが、彼方くんに女の子を教えてあげる。だから……、わたしに男の子を教えてよ』


  マホが、もう一度軽くキスをしてきた。


  迫られてるのは正直嬉しいけど、この状況はなんか違う。これは、絶対にこのまま進めたらいけないヤツだ!


「き、今日のお前、どうしたんだよ!?こっちに来てまだ三日なのに、色々早すぎるだろ!のんびり行こうって、言ってくれたじゃないか!?」

『早い?早いですって?』


  マホが、体を起こした。


『わたしが……、わたしが何年我慢してきたと思ってるんだよ!!わたしがあなたのあんな姿やこんな姿見て、どれだけ悶々としてきたと思ってるんだよ!!ああ、もう!いいから、ゴチャゴチャ言わずにヤらせろ~!』


  魂の叫びを上げて、マホが襲いかかってきた。


「なんか、色々立場おかしいー!?」


  とにかく、ここは全力で抵抗を……!


  と、思っていたら。マホが突然ベッドに突っ伏した。


「……?」

『きゅう……』


  そっとマホを見ると、彼女は目を回して気絶していた。


「……気を失った?」

(『酒で前後不覚の所で叫んでいたから、オーバーヒートしたのであろう』)

「そうか……」


  とりあえず、助かった。……助かったと言っていいのかわからないけど。


  俺は、マホの下からそっと抜け出すと、彼女が脱ぎ捨てたバスローブを改めて着せてやった。なるべく見ないようにはしたが、完全に見ないのは無理だったので、ごめんな?


(『ふむ。今日のクイーンはいつもにも増しておかしかったが、何かあったのか?』)

「……好きだって告白された」

(『ほう。ついに言ったのか』)


 ダブル・ジョーカー、言った事には驚いているけど、内容には驚いてない?


「?ダブル・ジョーカーは知ってたのか?マホが俺の事をその、好きだって」

(『まあ、二~三年前には言っていたな。「もういっそ姿を現す!」と。今それをやれば気味悪がられて最悪カードを捨てられるぞ。ARだかソリッドだかの実体化技術ができるまで待つんだ、となだめてはいたが』)


  うわ、ダブル・ジョーカーにも迷惑かけてたのか。


「すまん、ダブル・ジョーカー。面倒かけてたな」

(『君が謝る必要はない。……それに、クイーンが望んでいるのだから、してやればよかったのでは?』)

「真穂も見つけてないのに、今それ以外にかまけるのはな……。それに、あれは絶対起きたら覚えてないパターンだ。酔っ払いのやる事を、真に受けてはいけない」

(『そうだな。しかし、ククク……』)


  いきなり、ダブル・ジョーカーが笑い出した。


「?どうした?」

(『いや……。つくづく君は、「マホ」という名前の少女に唇を奪われる運命にあるのだな、と思ってね』)

「……それ、知ってるのか」


  うーん、俺の俗に言うファーストキスは、大学合格の記念に真穂と二人で宅飲みしてた時に、酔っ払った真穂に奪われたんだよな。未成年?んー、なんの事かなー?


  いやまあ、真穂は覚えてたけど。


「あれはなぁ。あいつ、合コンでは全然酔ってる様子無いのに、宅飲みの時だけはベロベロに酔うんだよな。あの時は初飲みだったから、油断してたし……」


  今となっては、もっとちゃんと……て気がする。


「自分でも変わった体質だって言ってたけど」

(『マスター相手だから、安心したんだろう?ところで、寝るのはどうするね?ベッドの方は、クイーンに取られたが』)

「ソファーで寝るよ。……悪いんだけど、俺が寝てる間マホの様子を見ててくれないか?あれなら、召喚するし」

(『簡易召喚で構わぬぞ』)

「?簡易召喚?」

(『一体化したマスターのみ可能な、カードや魔法陣を伴わぬ形の召喚だ。右手の手の平を前に出して、我を召喚するイメージを思い浮かべるといい。口に出せばナイスだ』)

「ふーん。んじゃ、来いダブル・ジョーカー」


  俺は、ダブル・ジョーカーの説明に従い、手の平を差し出して召喚行為を行った。すると、手の平の上になんだかミニサイズのダブル・ジョーカーが現れてくる。


「!SDダブル・ジョーカー……!こんな事、できたのか!?」

『うむ。ただ、この状態ではサモンドスレイヴとしての能力はほぼ使えんからな。監視するくらいにしか使えん形態だ』

「なるほど、普段はあまり意味が無いんだな。まあ、それでマホの様子を見ててやってくれ。何か変な様子があれば、すぐ起こしてくれ」

『ああ。お休み、マスター』

「ああ、頼む。……」


  今日は、ハードな一日だったからな。さすがに、疲れたよ。


  俺は、すぐに眠りに落ちていた。



『酔っ払ったフリをして、わざとキスしたと言っていたが。彼は、気付いていなかったようだぞ?肝心な所では鈍感なラノベ主人公相手では、大変だな真穂嬢』



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