第21話その2
「チョコマカチョコマカと、目障りな虫どもめ!」
もう告白どうこうの空気は消し飛んだので、俺は戦闘に視線を戻した。
相変わらず、移動しながら攻撃するロキヒノとメィムを、グレート・バリアリーフは捉えられずに右往左往していた。
バリアリーフの奴、巨大ロボを作る技術力は凄いけど、オツム自体の出来は残念すぎるレベルだな。あんなん、手で捕まえようとせずにさっきのビームとかで焼き払えばいいのに。まあ、近すぎる標的には当てられないとか言ってたか。
「貴様らー!全て爆破してくれるーわ!」
グレート・バリアリーフは、体を起こした。あの声の感じ、キレたかバリアリーフ。
突然、グレート・バリアリーフの腕や足、胸を始め全身のシャッターが開いた。そこからせり出してきたのは、明らかにミサイルポット。それが、全身にある。
「?なんだ?」
「あれって、確か!?」
『まさか、全方位ミサイル!?』
「おぅ!ゲームでしか見た事の無いあれか!」
「『ジム・ギガンテス』!」
グレート・バリアリーフの全身のミサイルポットから、無数のミサイルが発射された。そのミサイルは狙いをつけて発射されているわけじゃなく、この周辺一帯を絨毯爆撃する為に撃っているらしい。
「これ、マホを襲ったヤツのでかいヤツ!?『フレア・メテオ』!」
「『バーナー・シュート』!」
ロキヒノもメィムも、ミサイルに対して攻撃を仕掛ける。
「くっ!わたしに力を!トオノさん!」
ヒナギは、左手で銃を振り上げると、『スロー・ライフ』を継続しつつ銃を連射した。自分と、真後ろにいる親子ドラゴンとイッヌに当たる分だけを、撃ち落としていく。
頼む、『バンシューティング・ギャレン』!ヒナギを、全員を守ってくれ!
「!攻撃が!」
『拙者にお任せを!』
ヒナギの撃ち漏らしたミサイルを、トーリが刀を抜いて迎撃した。トーリに叩き斬られたミサイルは一瞬で凍り付き、爆発せずに地面に転がっていく。
「神様~!」
リゥムは、また神に祈っていた。
信仰は否定しないけど、何もしてくれない奴に祈っても何も解決しないぜ?なあ、真穂を助けてくれなかった神様さんよ。
「!」
「ん?」
「力を貸して、トオノくん!」
リゥムの言葉が、変わった。
……何か、心境の変化があった?
「くそ!『バーナー・シュート』!」
ロキヒノが、火炎で頭上のミサイルを一掃する。が、片付けきれなかったミサイルが、爆煙を割って飛び出してきた。
「しま……!」
「ロキヒノ……!」
ミサイルがロキヒノに直撃して、爆発した。ロキヒノは咄嗟にマントを前に回していたが、鮮血を飛び散らしながら吹き飛んでいく。剣もロキヒノの手から落ちて、地面を転がる。
「ぐはっ!」
あのマントも王家の秘宝らしく、意外にかなりの防御力を持っていたみたいでロキヒノは無事だった。いや、足とか腕の一部の肉が削げ落ちて、酷い場所は白い骨まで露出してるんだけど。
しかも、倒れたロキヒノに更にミサイルが迫る。
ヤバい!あれを食らったら、さすがに耐えられないぞ!
「『フレア・メテオ』!」
そんなロキヒノの前にメィムが滑り込んできて、『フレア・メテオ』を連続で放った。それを受けたミサイルが、次々と大爆発を起こしていく。
よっしゃあ!ナイス、メィム!
「サンキュー、メィム!」
「まだ死んじゃ駄目よ!」
「おう!」
ロキヒノは素早く立ち上がって、地面の剣を拾ってその場を離脱する。
グレート・バリアリーフの絨毯爆撃は、ロキヒノに更なるダメージを与えたが、何とか全員が(親子ドラゴンとイッヌ含めて)生き残る事に成功した。まあ、上空待機の俺達には飛んでこなかったんだが。
「ミサイルの在庫分を一気に発射する、『ジム・ギガンテス』ーよ。クハハハ、これにはさすがの虫どもも……」
勝ち誇ったグレート・バリアリーフの声を遮るように、背中が爆発する。
「ぬぉ!?」
「お生憎さま!あんた程度の攻撃じゃやられないっての!」
「人間を、舐めんなよ!」
メィムもロキヒノも、健在をアピールする。
「おのーれ!……ミサイルの再生産を開始……。『ジム・ギガンテス』再発射まで、残り時間約五分」
あいつ、またあれを撃つつもりか!次もかわせるかどうか、わからないぞ!?
「まだか、トーリ……!」
「えええ~い!」
リゥムの前の水の塊は、直径5メートルくらいの巨大水玉になっていた。
『リゥム殿!その水の塊をあやつに投げつけて下さい!』
刀を鞘に納刀し、トーリがリゥムに言った。
「はい!」
『殿ーーー!』
トーリの叫びが、俺達にまで届く。それが、合図。
「マホ!」
『わかってる!』
マホが、翼を羽ばたかせた。
「行っけぇえ!」
リゥムが、警棒を振り下ろした。リゥムの作った水玉が、物凄い勢いでグレート・バリアリーフに放たれる。
『我が力、殿の為に!四剣・一之太刀、『剣・始・朔・月』!!』
トーリが、刀を居合いで抜いた。その斬撃はカマイタチのように空を飛び、先に放たれた水玉を無数に斬り刻む。
無数に分かれた水玉が水滴となって、グレート・バリアリーフの真正面からまんべんなく降り注いだ。水滴は付着した瞬間に凍結し、近くの凍結と連結して更に範囲を拡大。
グレート・バリアリーフの体の表面を凍結が走り、全身が凍っていく。
「なんだ、これーは……?全身が、凍って……!?」
グレート・バリアリーフが、完全に凍りついた。
これが、トーリの氷結の技『剣・始・朔・月』か!
「行くぞ!」
『うん!』
この瞬間、これが最大のチャンスだ!
俺達は、既にグレート・バリアリーフの胸と同じ位置にまで下降していた。そのまま、一気に突撃する!
『最大速度!!』
マホが、全力でスピードを上げてくれた。その速度、もはや流星に等しく!
「『ドリル・カイザー』!!」
俺の叫びと共に、ドリル剣のドリル部分が高速回転を始めた。
目の前には、レオンの顔。その口の中に、確かに大きな黄色い宝玉が見える。それを今、破壊する!
「『ドリル・エンド』!!」
ドリルを突き出し、俺とマホはレオンの装飾の口の中に飛び込んだ。そのままの勢いで、ドリルを宝玉に突き立てる。
「ぬりゃあぁ!」
俺は、力の限りドリルを宝玉に押し込んだ。
ドリルの突き刺さった部分から宝玉にヒビが入っていき、そしてガシャン!と宝玉が粉々に砕け散った!
「なんだ!?これは、まさか……!?」
グレート・バリアリーフが、体を凍らせる氷を砕いて動き出した。
けど、もうおせーよ!
『脱出するよ!』
マホが、俺を抱いて口の中から外へと脱出した。
「馬鹿なぁ!合体がぁ……を!!」
組合わさっていたパーツが、巨大なその姿が、その全てが瓦解して粉々に吹き飛んだ!
勝ー利!!!




