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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第18話その2

 六階、七階と奥で何かが蠢いている感じはあったが、俺達はことごとくそれをスルーしていった。


「最上階には、どんな奴らがいんだろうな?」

「ツーカーが何も言わなかったし、改造人間は彼らだけだろう。いるのは、例の鉱石族の科学者集団と、護衛に戦闘員っぽいのはいるかもしれんな」


 怪人自体は倒したから、いてもダンシャクグモやガエルのような雑魚戦闘員だろうよ。もう俺達は、幹部と首領を相手するステージに入っているはずだ。


「鉱石族は十五体だっけ?」

「そう言ってたな」


  どんな奴らなんだろうな、ジュッカー・フィフティーン。よくあるアンドロイドみたいな人型か、体の各部分がブロックになっているロボット系か?

  俺としてはせっかく来たんで、スーパーロボット系のカッコいいヤツを希望したい。まあ、敵にスーパーロボットを求めるのもどうかと思うが。


  俺達は八階をスルーして、九階に上がる。ここまで、全部階段だよ。


  おのれ、悪の組織ジュッカー・フィフティーンめ!アジトには、エレベーターくらい設置しとけ!(八つ当たり)。


「ちょっと待って?何か聞こえるよ?」


  階段を上がろうとすると、リゥムが足を止めた。リゥムは、九階の奥の方を睨んでいる。


「いやまあ、ここにも何かいるだろうから……。いや、これは!?」


  聞こえる物は、ここに蠢いているような感じの物じゃなかった。というか、少し弱々しいけど「ワンワン」ってこれイッヌの鳴き声じゃないか?


「!イッヌの声だ!」


  ロキヒノが、音のする方に駆け出した。少年と約束したのはロキヒノだから、やっぱり気になってしまうか。


「あ!ムカデチ!」


  ロキヒノの前方から、ムカデの改造生物がわらわらと現れた。こいつらも体長1メートルくらいだけど、ジュッカー・フィフティーンの何かの拘りか?改造生物を集めた時に、体長を合わせる事で見栄えがよくなるとか。


  この世界では、ムカデはムカデチというのか。これは、女の子に読み上げてもらいたい名前だな。「むかでち♡」とか平仮名で言ってくれると、いいかも。


  ……アホだな、俺は。


「どけぇ!」

「邪魔!」


  ロキヒノとメィムが、ムカデチの群れを蹴散らしていく。


「マジカルアロー!」


  リゥムも、すっかり技名を叫ぶのに慣れたようで。


「あ、あのトオノさん。拳銃を使う時はなんて言えば……?」


  ヒナギは、リゥムを見て自分がどう動くべきか迷っているようだ。


  いや、別になんでもいいんだぞ?好きに言えばいいし、極端な話何も言わずに無言で銃を撃ちまくってもいい。まあ、ヒナギが無言無表情で銃を撃ちまくる姿はなんか心に重いので、何か言いながらやってもらった方がいいな。


「マジカルショットでいいよ」


  リゥムがマジカルアローだし、銃ならそんなんでいいだろう。


「マジカルショットですね。わかりました!」


  ヒナギは銃を両手で構えると、引き金に指をかける。


「マジカルショット!」


  律儀に叫んでから、ヒナギは引き金を引く。魔力で形成された銃弾が発射され、ムカデチを一体吹き飛ばす。


「うわ……。や、やりました!」


  ヒナギが、嬉しそうに俺に顔を向けてくる。その様子が、縁日の射的で景品に当てた子供のようで、微笑ましい。いや、ホントかわいいなヒナギ。


「おう!その調子で、どんどん当てていけ!」

「はい!マジカルショット!」


  ヒナギが、次々にムカデチを撃ち抜いていく。

  あの銃『バンシューティング・ギャレン』は撃った時の反動が無いから、非力だと言っていたヒナギにも十分使えているようだな。


  離れた敵を弓矢のリゥムと拳銃のヒナギが倒し、近付いてきたヤツを剣のロキヒノと無手格闘のメィムが蹴散らしていく。うむ、完璧な布陣。


『みんなやるなぁ~。おかげで楽できるや』


  周りが優秀なおかげで、俺とマホは手隙になってしまった。時々、後ろから現れるヤツを迎撃するくらいで事足りる。


「なあ、マホ?ちょっと疑問に思った事があるから聞いてもいいか?」

『ん?何?』

「あのな……。この世界って向こうの世界と虫とか動物の名前が微妙に違うだろ?ムカデチとかイッヌとか」


  俺は、戦闘中のロキヒノ達に聞こえないように小声で話した。まあ、今聞くべき事でも無いんだけどな。


『うん、そうだね』

「でも、ドラゴンはドラゴンだったよな?ダブル・ジョーカーもドラゴンだし、こっちでも万策尽きしカバは『ツキタネ・シーカバー・ドラゴン』だったし。そこは、「ドラゴソ」とかじゃねえの?」


  俺が尋ねると、マホは困ったように苦笑した。


『それはわたしに聞かれても……。昔からの呼び方だから、それは神様か誰かに聞いてとしか言いようが。わたしが決めたわけじゃないし』

「あ……それもそうか」


  そりゃ、マホに聞いてもわかるわけないわな。まあ、名前の表記揺れはそういう物だと思う事にしよう。


『わたしもマホナとかの方がよかった?』

「は?いや、俺が言ってるのは種族というかカテゴリーの話だぞ?個人の名前の話じゃない。……むしろ、マホでよかったよ」

『そっか』


  俺の言葉に、マホは小さく微笑んだ。ホント、お前をエースに選んでよかったよ。


  そうこうしている間に、俺達は鳴き声のする部屋の前へとやって来た。中に入ると、痩せ細った白い毛のイッヌが部屋の中央に伏せて鳴いていた。左目の周りだけが黒縁になっているイッヌ。これが、目的のイッヌか。


「お前がアイシーか?」


  ロキヒノが、イッヌに尋ねながら近付く。イッヌは弱々しくだけど短く鳴いて答えている所を見ると、「アイシー」という呼び名に反応した?


「どうしてこんな所に一匹で?」

「痩せ細っているから、拉致された後はここに放置されていた。というよりは、改造の順番待ちをさせられていたって感じかな?ジュッカー・フィフティーンは十五体いるって話だけど、今まで見てきた連中全てを改造してきたんじゃ時間はいくらあっても足りないだろうからな」

「つまり、拐ったはいいけど改造してる暇無いから後!って事ね。それで何も与えず放置だなんて、酷い事を」

「鉱石族は食事とかしないだろうからな」

「許せねえぜ、鉱石族!」


  ロキヒノが、イッヌを抱き上げた。


「それでどうする、ロキヒノ?一旦、町に戻るか?」


  さすがに、衰弱したイッヌを連れたままラスボスの所に向かうわけにはいかないからな。


「いや、さすがに町まで戻るのはタイムロスが大きすぎる。でも、せめてここからは逃がしてやりてえな」

「なら、一階まで降りてイッヌを安全な場所に避難させてから、改めて突入するか?」


  今できる事は、それくらいしかない。


「そうだな…」

『だったら、わたしがそこの窓から降りてイッヌを避難させてこようか?』


  マホが、右手を上げて提案してきた。


  そうじゃん!マホは飛べるんだから、一階まで行って帰ってくるのも速攻だろ!


「そうか!頼めるか、マホ?」


  ロキヒノが、マホにイッヌを差し出した。マホが抱き上げても、イッヌは暴れず静かなのは暴れるだけの体力も残ってないからだろう。むしろ、よく今まで生きていたものだ。


「マホ。俺達は、先に上に上がって様子を伺っているよ」

『うん。すぐにわたしも追うよ!』


  マホは、ベランダから外へと出て、下へと降りていった。


「飛べるって、便利よね」


  メィムがつぶやいていたけど、俺も同感だ。


  俺達は廊下に出て、最上階へと続く階段に向かった。その先に、今回の騒動の黒幕、鉱石族の科学者集団ジュッカー・フィフティーンがいる。はずだ。



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