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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第2話

 というわけで、異世界にやって来たわけだが。


 ──・──・──・──・──・──・──


「ダブル・ジョーカーは?」


 俺は、横にいるマホに聞いた。マホはカードと同じ姿のままで横にいるが、なぜかダブル・ジョーカーの姿が無かったのだ。


『いるわよ』


 マホは、そう言って俺の方を指差した。なので後ろを振り向くが、後ろにもいない。


(『そちらではない』)


 突然、ダブル・ジョーカーの声がした。ただ、それは上とか横とかからじゃない。どう考えても、頭の中からだ。


「?頭の中から聞こえた?」

(『そうだ。我は今、君の中にいる』)

「俺の中?どういう事だ?俺がお前でお前が俺で!みたいなやつか?」

(『それが何を指しているのかは知らないが、君はこの世界では何も知らない存在だからな。守護を兼ねて、我が一体化したのだ』)

「一体化……」


 俺は、ピンと来た。


「つまりあれか。ダブル・ジョーカーが一体化したから言葉が通じるとか?」

(『うむ。察しが良いな。ついでに、文字も読めるようになっているし、身体能力も強化しておいたぞ?一体化している以上、君に死なれるとこちらにもダメージが来るからな。簡単に死なれては困るのだ』)

「なるほど、俗に言うチートってやつか」


 やっぱり、異世界に来るならチートなのは常識だよな。


『いつも思うけど、チートってそういう使い方する言葉じゃないわよね?』

「いいんだよ。言葉は常に変化するものなんだから。きっと、今はご都合パワーアップの事も含むようになったんだよ。……つか、マホって向こうの世界の俗世に詳しそうだな?」


 俺は、マホに聞いてみた。何しろ、チートにツッコミを入れるくらいだ。しかも、いつもとか言ってたぞ?


『そ、それは……』

(『そやつは、向こうの世界では寝るか、君か我がマスターの持っていた漫画を読んでゴロゴロするかしかしていなかったからな。なあ、ぐうたらクイーンよ?』)

『やかましいわ!』


 反論しない所を見ると、ダブル・ジョーカーの言っているのは事実らしい。というか、ダブル・ジョーカーの声が聞こえてるのか?なので、聞いてみた。


『声?わたしには聞こえているわよ?普通の生物には聞こえないと思うけど。だから、あんまり変なタイミングでは話しかけないでよね?』


 マホにだけは、聞こえるのか。便利……、か?


(『なるほど。フリというやつだな?』)

『フリじゃないから!本当にするな!』

(『ハハハ』)

『聞けぃ!』


 漫才コンビみたいだな、この二人。ダブル・ジョーカーがマホをあしらっている、ただそれだけかもしれないけど。


「……ところで、ここはどこ?見た所、山の中って感じだけど?」


 俺は、周りを見回した。

 

 俺達のいる場所は、なだらかな丘陵地帯で、山の中腹辺り?上にも下にも緑が見えるだけで、町とか村とかは見えない。というか、そもそも人工物とおぼしき物すら見当たらない。


『ここはどこなの、ダブル・ジョーカー?』

(『うむ。ここは、人間領国の外れ。魔竜領国との境界近くだな。この山を越えた先が、魔竜領国になる』)

『そう。なんでこんな辺鄙な所に出たの?』

(『町の真ん中に出れば、騒ぎになるであろう?そもそも、「魔力だけは渡すからあとの諸々はよろしく~」と丸投げしたのはお前ではないか。文句を言うな』)

『配慮最高~。ダブル・ジョーカー様イッケメン~』


 いきなり、媚び媚びの笑顔のマホ。俺は聞こえているからいいけど、端から見たら一人でしゃべって媚び媚びしている変な人間だぞマホ。


 人間じゃなくて、天使か。


「人間領国に魔竜領国か。……この世界の事を教えてくれないか?」

『いいわよ?まあ、大抵の事は魔フォーと同じ背景と思ってくれていいけど』


 俺の質問に、マホは肩をすくめた。


(『では、説明しよう』)


 ダブル・ジョーカーの言葉と共に、俺の脳内に地図が広がった。地図と言っても、大きな大陸が一つあるだけで、他は海があるだけなので地図と言えるかは微妙だが。


(『この世界は、箱庭世界エクディウム。地図を見ればわかると思うが、広大な大陸が一つあるだけのこじんまりとした世界だ。その為、箱庭と呼ばれている』)

「周りは海って事か。海の先には何もないのか?」

(『確認した者はいない。空を飛んでも、船を進ませても、海を泳いでも、誰も戻ってこないのでわからないのだ』)


 どんな所だよ、ここ?まさか、象の背中の上とか?


『この世界には、大雑把に分けて七つの種族が生きているわ。まずは、普通の人間族。全体的にステータスの高い魔竜族。魔力がずば抜けて高い魔王族。水に生きる者が全て集う海凄族。地を駆ける獣生族。無機物鉱物が命を得た鉱石族。そして、神の力を体現する聖なる種族、聖天族の七種類ね』

「魔フォーの説明文まんまでありがとう。やっぱ、種族も同じか」


 世界だけでなく、生物の括りまで魔フォーと同じとは。まあ、マホとダブル・ジョーカーがカードそのまんまだから当然と言えば当然なんだけど。


『そうね。考えると向こうでの設定っておかしくない?プレイヤーは魔王なのに、同じ魔王を使役してるなんて。まあ、それは百歩譲っても神の力を持つ聖天族まで配下にしちゃ駄目でしょう。神と魔王って、敵でしょうに』

「堕天でもしたんだろう」


 俺が設定考えたんじゃないから、知らないよ。だから、堕天って事にしとけ。


(『一応、それぞれの種族は支配地域を決め、それぞれに領国を作っている。と言っても、境界線を決めているだけで隔離されているわけではない』)


 万里の長城みたいな、壁があるわけじゃないのな。


「ここは人間領国なのにドラゴンとか飛んでいたし、デカイ動物も走ってたな?」

『別に、他種族を見たら即殺せ!なんて世界じゃないしね。個人的に嫌いだってのは、それはもう仕方ないけど』

「個人的に嫌うのは同じ種族だろうとあるだろう?」


 真穂の幼なじみだからって理由だけで、俺は結構野郎から嫌われたからなぁ。付き合ってないのによ。


 まあ、ラッキーなあれやこれやみたいなのはあったような無かったような、て感じだが。


(『普通に生きていれば、争いにはならないさ。但し、他種族の領国で不当な占拠をしているとか、犯罪を行っているとかいうのであれば別だがな。それは、どの種族であっても討伐の対象になりうる』)

「それは種族とか関係ないだろう。……で?転生した真穂はどこにいるんだ?この近くにいるのか?」

『(『さあ?』)』


 俺が聞くと、マホとダブル・ジョーカーが二人して首を傾げていた。うおぃ!なんだよそれは!?


「え?どこにいるのかわからないのか?」

『当然でしょ?だから言ったじゃない。探しに行くって』

「あ、確かに……。ダブル・ジョーカーは?お前のマスターなんだろう?」

(『彼女は転生して、リンクが切れてしまっているからな。但し、生きているという事だけは感じられる。この世界のどこかにはいるはずだ』)


 ダブル・ジョーカーの言葉に、俺は肩を落とす。


「それって、どこにいるのかわからない一人を探して世界を駆け巡れと…?」

『そうね。いいじゃない。世界を見てくるって書き置きが嘘にならなくて』

「なんてこったい。ハハハ」


 俺は、陽気なアメリカ人のように両手を上げて笑った。いやもう、こんなん笑うしかねえわ。


 突然、上空から音がした。そして、俺に影が差す。


「え?」


 いきなり、俺の体が宙に浮いた。バサバサと音もするし、浮いているのに移動を始める。


「な、なんだぁ!?」


 顔を上げた俺の前、というか上には竜のような顔、ムキムキの手足、尻尾とバタバタはためく翼を持った体長3メートルくらいの生物がいた。俺はそいつに、背負っているリュックを掴まれて運ばれている。


 これ、どう見てもドラゴンだろ!?


(『そうだな。魔竜族、まあドラゴンでいいだろう』)


 このドラゴン、よく見たら背中に白くて丸い物体も背負っているな。魔フォーのサモンドスレイヴカードの『カッター・ツムリ・ドラゴン』に似てる?


(『似ているというか、そのドラゴンだな』)


 あ、そうなのか。


 魔竜族、『カッター・ツムリ・ドラゴン』。魔竜族の下級ドラゴンで、一言で言うと雑魚サモンドスレイヴだ。「この世に無駄なカードなんて無い」と言う人でも匙を投げる、そんな使い道の無いカードだった。


「おーい。なんで運ばれてんだ、俺?なんか用?」


 俺は、一応運んでいるドラゴンに聞いてみた。言葉が通じるかはわからないが、あまり恐怖を感じないのはダブル・ジョーカーを見慣れたからだろうか?


 ドラゴンは、俺の言葉に気付いたのか、顔をこっちに向けた。


「グゲゲェ!」


 しかし、口から出てくるのは超音波のような鳴き声?のみ。


「うーん。やっぱり、ドラゴンに言葉は通じないか」

(『言葉が通じないのは、こやつが知能の低い下っ端竜だからだぞ?知能の高いドラゴンであれば、全ての種族の言葉も使いこなせる。我のようにな』)


 ダブル・ジョーカー、ちょっとムッとした?いや、自画自賛か。


「そうか。ダブル・ジョーカーも魔竜族だもんな。……さて、そうなるとこいつの目的だが?あんまりいい予感はしないんだが?」

(『食料か生け贄か。まあ、少なくとももてなす事は無いだろう』)


 ダブル・ジョーカーは、淡々と語る。いや、それは他人事過ぎない?俺が死んだら、お前もダメージ受けるんだろ?


「なんなん、そのやる気の無さ?俺が食べられても構わないのか?」

(『いや、それは困るが』)

「だったら焦ろうぜ?なんか手は無いのかよ?お前が、分離して戦うとか」


 正に召喚だよ、召喚!


(『我は合体ロボットでは無いぞ?自由に合体分離ができるわけないではないか』)

「ロボット知ってるのかよ?」


 俺は、思わずツッコミを入れた。


(『……ぐうたらクイーンが漫画を読んでいる間、我は君のアニメコレクションを見ていた。グレートなんちゃらに超合体する場面は、なかなか手に汗を握る場面であった』)


 ダブル・ジョーカーが、言いづらそうに答えた。マホがマンガオタクなら、こいつはアニメオタクになってたのかよ!?道理で、出した覚えの無いブルーレイが外に出っぱなしなんて事があったわけだ。


 俺の周りはオタクだらけ……はいいとして、問題は今の状況だ。命の危機だよな?


「この状況をなんとかする手は無いのか?オタク知識の番人?」

(『我をオタクの神みたいに呼ぶでない!それならば、カードを……』)


 その時、声がした。


「『サンダー・グレネイド・シュート』!!」



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