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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第14話

 行方不明になったイッヌを探しに来た俺達は、悪の秘密結社の陰謀に遭遇。これに立ち向かう事になった。


  そして今、俺達の前に奴らが現れた。悪の!改造!人間!


 ──・──・──・──・──・──・──


「なんだぁ、てめえら?」


  金髪の不良?DQN?みたいな、目付きの悪い男の人形が俺達を睨んできた。顔はそんな感じなんだが、首から下が服も着ていないマネキン人形だから、少々滑稽に映る。


  だって、いくら凄まれてもマネキン人形だし。せめて服着れば?


「んほー!かわいい女が四人もいるずん!君達ー、エッチしようずんー?」


  なぜかマネキン人形のくせに髪の毛が半分くらい禿げ上がった、紫の髪の男が興奮した様子で叫んでいた。顔を見る限り、オッサンか?


  え?マネキン人形のくせに、なんで人間の女の子に興奮するんだよ?お前、その体でどうするんだよ?


「何あれ、キモ……」

「ゾッとする」

「なんか、本能的に近付きたくありません……」

『ゴミ』


  女子陣に、そいつは大層不評だった。


「あれじゃないですか?創造主様から連絡のあった、塔に入ってきた荒らしっていうの」


  黒髪の少年のような顔付きのマネキンが、不良とオッサンのマネキンに向かって言った。口調や声を聞く限り、彼はまともそうなんだがな。マネキンでさえなければ。


  創造主、ね……。


「そんな事はどうでもいいわ。あの赤い髪のハンサムは、私がもらうから」


  髪が腰まである女のマネキンが、髪を払って立ち上がった。


  あの女、人間だったらかなりの美人な上に胸もドーン!腰がキュッと締まった、それはそれはナイスバディな女性だっただろう。まあ、マネキンの体がナイスバディなだけかもしれないが、顔は美人だ。俺の好みじゃねえけど。


「赤い髪のハンサムって俺か?」

「他に誰いんだよ?」


  なぜか、ロキヒノが俺に聞いてきた。

  いや、ウチのパーティー赤髪お前だけだろ。ヒナギは茶髪、ウィステリア姉妹は金髪、俺と聖天族のマホは黒髪だからな。


「さて。とりあえず、お前達は言葉が通じるって事でいいのか?」


  俺は、まず話しかけてみた。自分達では話し合っていたが、こっちの言葉を聞く機能が付いているとは限らないからな。何しろ、マネキンだし。


「あ?何気安く話しかけてんだ、てめー」


  金髪が、俺を睨んでくる。あー、マネキン以前の問題かー。まあ、人間でも他人の話を聞く機能が付いてない奴、いるよね。


「はい。通じますよ」


  少年のマネキンが、ニコニコ笑って答えた。なんか不思議なくらい愛想がいいけど、とりあえず話が通じるなら話をしてみよう。


「そっか。じゃあ話したいんだけど、君らは鉱石族なのかい?それとも、一応人間?」

「ハッ!俺らを、時代遅れの人間なんかと一緒にしてんじゃねえよ!」


  金髪が、いきなり口を挟んできた。いや、お前には聞いてねえよ。


「ちょっとマーシー君は黙っててくれる?」


  少年が、金髪を横目で見つめてビシッと言った。ん、あの金髪の個人名はマーシーって言うのか。


「あ、ああ……。すまん」


  マーシーは、一言で大人しくなってしまった。力関係は、少年の方がマーシーよりも上なのか。


「ジェイさんもブルンさんも僕がしゃべっている間は黙ってて下さいね」

「わ、わかったずんよ、ツーカー」

「はいはい」


  オッサンと女も、少年は黙らせた。彼が頂点なんだな。

  あと、オッサンはジェイ、女はブルン、少年はツーカーと言う名前か。まあ、オッサンはオッサンでいいけど。


「話の腰を折ってごめんなさい。えっと、あなたの名前を聞いていいですか?」

「ん?俺?……んー、カナタ」

「カナタさんですか。ふふ、カッコいいですねカナタさん。僕の好みです」


  笑顔を浮かべて、ツーカーがそんな事を言った。


  えー、体見る限り君男のマネキンだよね?体が男のマネキンだってだけで、中身は違うとかなのか?


「ああ。……元も男ですよ、僕は」


  俺の考えを察したのか、ツーカーが捕捉してきた。つまり、中身も男かい!


『BLかぁ……。引くわ~』


  マホが、そんな事をつぶやいていた。


  さすがに、お前だけはツーカーに対して引いたら駄目だろ、百合の女王。性別入れ替わっただけで、お前と一緒なんやぞ、彼は。


「ビーエル?」

「ビーエルってなんですか?」


  マホのつぶやきが聞こえたメィム達は、首をかしげていた。BLという言葉は、さすがにここでは通用しないか。


『え?えっとね……』


  マホが、三人に耳打ちする。三人が顔を真っ赤にしている所を見ると、詳細を教えたんだろう。


  うーん。メィムとリゥムはともかく、純真っぽいヒナギに変な事教えんなよ。どっかからお前は父親か!ってツッコミされるような気はするけど、あの子を変な道に引きずり込むんじゃない!


  それはともかく。


「今、元って言ったね?君達、元々は人間?」

「ええ。生まれは人間です」


  ツーカーは、あっさりと肯定する。そうなると、ますますそれっぽいな。


「人間として生まれて、鉱石族に転生したとかじゃないよね?」

「転生とは、少し違いますね。下の階にいたのは見ましたか?あれと同じと言えば、同じですよ」

「つまり、人間を改造して鉱石族にクラスチェンジさせた、改造人間って事かな?」

「人間を改造してクラスチェンジしたというのは間違ってないですけど、鉱石族でもないですかね」


  これまた、ツーカーはあっさりと認める。これは、計画を隠す必要が無いのもあるんだろうけど、計画をわざわざ自分からペラペラしゃべってくれる悪の怪人のリスペクトだったりするんだろうか。


  うーん、なんともはや古き良き悪の改造人間感。


「鉱石族じゃない?でも、人間でもないんだよね?そこの金髪の彼が、人間は時代遅れとか言ってたし」

「はい。僕達は、見ての通り鉱石族を超える体と力を持っていて、人間と鉱石族を超える頭脳を有する存在です。わかるでしょう?僕達は、二つの種族の利点をあわせ持った、二つの種族を超越した存在。言うなれば、超越族です!」


  ツーカーは、両腕を広げて天井、というか天を仰ぎながら堂々と宣言した。自分達は新たな種族、第八の種族であると。


「「「「「『……』」」」」」


  ヤベえ。完全に、中二入ってるよ。


「超越族だと……?」

「だから、あんな格好?」

「鉱石族の体に人間の頭脳……。なんか、強そう」

「新しい種族……」


  あら?ロキヒノ達は、意外に脅威として真面目に受け取っているようだ。


  俺なんか、脅威として感じる前に「中二病乙」という感想しか出てこなかったんだが。というか宣言しているポーズを見ていて、いつ「私は神だぁ!」と言い出すか正直ハラハラしたわ。


『チューニまっしぐら』


  マホは、俺と同じ評価だったようだ。なんか、安心した。


  ちなみに、当然魔フォーの種族に「超越族」なんて種族は無い。そもそもこの世界自体にも無いみたいだから、当たり前か。


「超越族ね……。それは改造された、と言ったね?という事は、改造した何者かがいるって事だよね?そいつは、一体何者なんだい?」

「詳しい事はわからないですよ?僕達が知っているのは、僕達を創造した創造主様達の名前と、鉱石族だという事だけ」


  ツーカーは、肩をすくめた。彼らも、自分達を改造した者の正体は完全に把握しているわけでは無いようだ。

  ただ、達……?


「その創造主の名前は?というか、まさか複数いるのかい?」

「ふふ、そうです。察しがいいですね。創造主様達は、マスターであるバリアリーフ様を頂点とする科学者集団!その名も、ジュッカー・フィフティーン!」


 ツーカーが、右手の人差し指を伸ばし、それで天を差すように右手を高く掲げた。

  なんか、行動の一つ一つが中二臭いな、ツーカー。


「ジュッカー・フィフティーン……。つまり、鉱石族の科学者が十五人?十五体?いるって事になるのかな?」

「そういう事ですね」


  ツーカーが、小さく笑みを浮かべながらうなずいた。なんとまあ、よくしゃべってくれるもんだ、こいつ。

  おかげで、ここで何が行われているか、それが何者の仕業なのかはわかったぜ!


  敵は、鉱石族のジュッカー・フィフティーン。人間や獣生族を改造して超越族に変えてしまう、十五体のマッドサイエンティスト集団。その集団の首領は、バリアリーフという名前らしい。


「やっぱり鉱石族の仕業か!」


  ロキヒノが、話を聞いて憤慨していた。魔竜族に魔王族、そして今度は鉱石族。他種族に好き勝手やられて、人間族の王子も大変だな。

  他人事か!と、ダブル・ジョーカーが聞いていればツッコミをしてきただろうか。


「なるほどな。だいたいわかった」


  この言葉、真穂といる時に言うと(わかってない)って追加台詞を入れてきてたな。なんか、懐かしい。



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