第10話
パーティーに、王子様が加わった(テレレレッテッテー)。
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多分、ステータスが出れば職業欄は「脳筋王子」かな。「かしこさ」は低そうだが、なぜか不思議なくらい「こううん」が高そう。
(『彼にはギャンブル性のあるカードを使わせればよかったのでは?』)
(そこまで行くとあいつも別キャラに転生しそうだし……)
(『?』)
とりあえず村に戻り、ヒキャク屋に行ってメッセージを頼んだ。
「あたしも、ついでに連絡頼んどくか」
職業「シスコン格闘家」のメィムが、自分の家にメッセージというか手紙を書いていた。まあ、なんだかんだで心配をかけないようにしているんだろう。
「リゥムもなんか書いとく?」
「うん」
メィムに促され、「巨乳の双子妹」のリゥムも書き込んでいた。
「それじゃあ、わたしも」
ヒナギも、手紙を書き出した。まあ、配達する側からすれば、同一町内の物をまとめて依頼してくれるのはありがたいだろうな。
あ、ヒナギは「アホ毛ガードナー」みたいな感じで。
(『妹とその子の職業は酷くないかね?』)
(うーん。二人は、メィムほど積極的に絡んでないからいまいち特徴が掴めなくてな。それ以外に出てくんの「平凡巨乳」とか「地味アホ毛ちゃん」とかだし……)
(『……二人には言わない事を勧めるぞ?』)
(さすがに言わねえよ?)
四人が手紙を書いている間、俺とマホは少し離れた場所で待っていた。他人の手紙を、見るわけにはいかないし。
「ちなみにマホは、今の聖天族の国には知り合いはいないのか?」
『さすがに、いないわ。わたしが生きていたのは、今からずっとずっと前の事だもん』
(『そいつが生きていたのは二百数十年前の事だからな。もう立派な婆さんだ』)
(あ、そんな前なのか?)
『ダブル・ジョーカーァ……。わたしにはあんたの声は聞こえているって言ったでしょう?余計な事を言わないの!』
マホが、物凄い顔で俺を睨んできた。まあ、睨んでいるのは俺の中にいるダブル・ジョーカーだろうけども。
(『間違ってはいないであろう?お主が実年齢を換算すると三百歳オーバーなのは』)
『ちっがう!今のわたしは、ピチピチのハ・タ・チ!』
(『ピチピチとか……。もう言動に年齢が出ているぞ、お婆さん』)
『うわっ!?……ピチピチとか今言わない?』
「まあ、言わねえんじゃねえかな?特に、ピチピチ本人さんは」
『ガーン……』
何やら衝撃を受けて、落ち込むマホ。
(ガーン、もどうだろうな?)
(『ナウなヤングにバカウケだろう』)
(お前はお前で変だぞ、ダブル・ジョーカー)
まあ、ダブル・ジョーカーの職業欄は「オタク知識の番人」だしな。マホは、「百合の女王」で。
手紙を出したので、俺達は王都へ向かう為の馬車を手配に行く事にした。
「王都って、どれくらいかかるものなんだ?」
「馬車を使ってだいたい五日くらいか。まあ、今回は行軍じゃねえからもうちょい早まるかもだけどな」
馬車で五日……。確か名古屋-東京間が単純計算で歩いて一週間くらいだったはずだから、だいたいそれくらいの距離かな?
(ちなみに、ダブル・ジョーカーが飛んで行ったら馬車よりも早く着く?)
(『無論だ。が、五人背負ってまで飛ぶ気は無い』)
(まあ、そりゃそうだな)
用意された馬車は、典型的な六人乗って座れる馬車だった。馬二頭で引くタイプで、ゆったりできるワゴンタイプだ。なんでも村で用意できる最高グレードの馬車らしい。王子様相手だから、村も頑張ったんだろう。
そういうわけで、俺達はギルフォードライ王国の王都リードギルフへと向かった。
馬車は、一路リードギルフへと向かった。ちなみに、ナード町を経由すると大回りになってしまうらしいので、今回は断念だ。
「ふーん、人探しね」
道中で、ロキヒノに俺の事を聞かれたので、俺は真穗を探している事を教えた。もちろん、異世界から来た事は伏せて。
「手がかり無しってのは大変だな」
「まあ、しゃあないさ。地道にやるよ」
「なんか力になれそうな事があったら、いつでも言ってくれ。お前は、俺の命を助けてくれた命の恩人だからな!なんでもするぜ」
「いいよ、別に。まあ、せっかく救った命だから国の人間の為により良い王様にでもなってくれや。……なんだよ?」
俺が言うと、ロキヒノは信じられない物を見るかのような驚愕の表情をしていた。
「お前、聖人か!?まさか、欲が一切無いとかなのか!?」
「なんでそうなる?今の俺の望みは真穗を探し出す事だけだけど、それはロキヒノの力でもどうにもならねえってだけだよ」
「それは……。確かに、会った事の無い俺らには難しいが……」
そもそも、転生後の姿は俺にもわからないからな。頼りは、ダブル・ジョーカーのリンクだけだ。
「まあ、そういう事だから俺には別に……。そうだ。あっちの懸賞金稼ぎの三人に、王城の仕事を紹介してやってくれよ?」
俺は、横でおしゃべりしている女子組を指差した。
「あの三人をか?」
「ああ。懸賞金稼ぎに向いてるタイプでもないしさ」
「ふむ、確かに……?」
「何?何か言った?」
俺達の話が聞こえたのか、メィムが声をかけてきた。
「ああ、ロキヒノに三人向きのいい職ないか交渉中」
「へ?あたし達の?」
「ああ。カナタが、自分になんかするなら三人に職を紹介しろって」
「命の恩人だからなんか言ってくれって言われても、俺にはロキヒノにやって欲しい事無いし。真穗は、自分で探さないとだから。なのでまあ、その代わり」
俺は、肩をすくめた。この世界に来たばかりの俺には、この世界に関しての物欲は無いし、知り合いもメィム達三人とロキヒノだけだからな。これくらいしか、ロキヒノに頼む事は無いんだよ。
「それぐらい、自分達でやるのに……」
「まあ、もののついでだから」
「カナタがそうしろって言うなら、ちゃんと手配するぜ?あ、城に帰ってから仕事の内容見てもらってからになると思うけどな」
「い、いいんですか?」
「カナタの推薦だから問題無いだろう」
リゥムに聞かれて、ロキヒノは右手の親指を立てて、サムズアップで答えた。
この世界にもあるのか、サムズアップ。
「やったね、お姉ちゃん、ヒナギちゃん。これで王城のお仕事ゲットかも」
「できるといいですね」
「この話がまとまれば、ウチやヒナギんとこの母さん達にいい報告できるかもね」
「うん」
「はい」
メィムの言葉に、リゥムとヒナギは嬉しそうに笑っていた。そんな二人を見て、メィムも満足そうに微笑んでいる。まあ、早くも目的達成しそうな空気だしな。
「カナタも王城で働かねえか?」
「俺には人探しの目的があるっつうの」
「あ、そうだったな」
夜になり、俺達は立ち寄った町、クルナ町のホテルで一泊する事になった。
ロキヒノはホテルでも最高級の部屋を用意され、俺達にも一人一人に部屋を用意してくれた。しかも、料金はロキヒノ持ち。
「いい仕事はいい休みからだからな」
とは、ロキヒノの意見。なんてホワイト思考なんだ、ロキヒノ!
まあ、部屋が別々になったのでマホは残念そうだったけども。
『ああ、今夜はリゥムちゃんと……って思ってたのになぁ』
残念そうにつぶやいている、マホ。ていうか、その両手をわきわきさせるのはやめろ。




