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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第7話

  俺達は、ナード町への道を歩いていた。


 ──・──・──・──・──・──・──


  町中でも舗装されていなかったのでこの辺も舗装道路ではなく、人や馬車などが通ってできた道という感じだ。ちょっと道を外れると緑に覆われているし、森や山も近い。


(なんでこんなテンプレ的な作りになっているんだ?)

(『ん?それは、街道沿いに家が無い事を言っているのか?』)

(そう。さっきの町を出てから、人里離れた一軒家とか見かけないぞ?これじゃあ、本当にRPGゲームに出てくる町と町の外が完全に隔離された世界だ)


  正直、ゲームの登場キャラクターになったと言われても違和感が無い。


(『君達のような電動機による移動手段が乏しいのだから、人口が都市部に集中するのは仕方あるまい?過疎問題は、君達の世界でも問題になっているではないか』)

(ぬ……。まあ、確かに東京一極集中はムカついたな。大会も東京!イベントも東京!ライブも東京!東京!東京!東京!どいつもこいつも東京!なぜだ!なぜ東京を認めて、ウチの地域を飛ばすんだ!!)

(『落ち着け。気持ちはわかるが落ち着け』)


  ダブル・ジョーカーになだめられて、なんとかクールダウンする。いけねえ、過去の苛立ちが蘇っちまったぜ……。


(『まあ、この世界は人間に限らず、歴史的に集まって生きる傾向があるのだよ』)

(歴史的に?)

(『そうだ。まあ、平和な世界ではないという事だ』)


  平和じゃない、か。まあ、開幕ドラゴンに襲われたし、平和じゃないのは十分痛感させられたけども。


「マホは、飛んでいくのと歩いていくの、どっちが疲れるの?」

『どっちも変わらないかな。エネルギーを、足に振り分けるか翼に振り分けるかの違いでしかないし』

「なるほどね~」

『でも、わたしはみんなとこうして、おしゃべりしながら歩くのは好きだよ』

「でしたら、嬉しいです」


  四人は、楽しそうに話しながら歩いている。その四人が固まっていて、俺はその少し後ろをのんびり歩く。

  いや、別に疎外感は感じねえよ?


(『むしろそれを見て萌えているのであろう?』)

(すっかり、アニメにかぶれやがって……。真穂が、ダブル・ジョーカーがアニメオタクになったと知ったらどんな顔をすると思う?)

(『真穂嬢ならば……。嬉々としてアニメ語りを始めると思うぞ?』)

(……そうだな。あいつはそういう奴だった)


 あいつ、カードオタクな上にアニメも嗜むレベルを越えるオタクだったからなぁ。下手すりゃ、俺よりも重度のオタクだった。


 ……は!まさか、転生してもオタクになっていないだろうな?


(『この世界にはアニメは無いからな。まあ、物語の類いは存在するので、それにハマる可能性は否定できぬが』)

(そうか……。漫画とかあったら一発だろうな)

(『……オタク男子に転生していない事を祈ろう』)

(あ、男に転生している可能性もあるのか。……その時は、すぐに教えてくれ。全身全霊をもって、全力で見逃すから)

(『うむ』)


  今更思い至った嫌な想像を、全力スルーする俺とダブル・ジョーカーだった。



  太陽の一つ、サンイーグルが消えた頃、俺達は町というか小さな村に着いた。太陽は数が減るだけで位置がほとんど変わらないので、いまいち時間経過がわからない。俺は腕時計を持たない人間だったので、なおさらだ。


  ちなみに、スマホの時計表示はこの世界に来た時から動かなくなっていた。電波が遮断された影響?


  村の役所に行ってプロワを見てみたが、目ぼしい依頼は無かったようだ。その代わり、気になる貼り紙が一枚。


「山賊注意!……?」


  その貼り紙は、ここから少し行った先にある山の中に山賊の一味が住み着いている事を注意喚起していた。これは退治の依頼書ではなく、純粋な警告である。


『メィムちゃん達はこういうのは討伐しないの?』

「ん?別に、あたしらは正義の味方やってるわけじゃないから、討伐する理由が無いわ。懸賞金が出たり、あたしらを襲ってきたら別だけど」


  メィムは、肩をすくめて答えた。まあ、彼女らは慈善事業をやってるわけじゃなく、仕事でやっているからな。そういうのは警察の出番だが、この辺には無いらしいってのがなんともだ。


『まあ、それもそうだね。わたしも、女の子が襲われてるんでもない限り、助けないか』

「ん……?」


  あ、マホがポロッと言ったぞ。バレなきゃいいけど、あいつの生態。


「山に入らなきゃ、多分大丈夫だよ」

「わざわざ山の中を通る必要性はありませんしね。街道を真っ直ぐ行きましょう」


  君子危うきに近寄らず。リゥムもヒナギも、その辺はちゃんと心得ているようだ。懸賞金稼ぎなんだから、危険の匂いには敏感にならないとな。


  役所を出て、とりあえず村で食事をしてから、また移動を再開した。


「ねえ、カナタ?」


  歩いている最中、メィムがわざわざ俺の隣まで下がってきて声をかけてきた。


「ん?なんだ?」

「あんたって、マホと十年来の友人なんでしょ?」


  メィムは、なぜか小声で変な事を聞いてきた。これは、前を歩いているマホに聞こえないようにしているのかな?


  つか、十年来の友人かと言われると、それは違うんだがな。カードとして出会ったのは十年前だが、今のように実体化して現実の存在として会ったのは、俺の部屋に来た数週間前が最初だからな。真穂に似ているから気兼ね無く話せているけど、実は友達かどうかも微妙な存在だ。


「……マホが何か?」


  なんとなく、俺も小声で返した。


「……あの子、さ。もしかしてなんだけど……、女の子が好きだったりしない?」


  うわ、ズバリと切り込んできた。やっぱり、さっきの言葉聞こえてたか。まあ、男は切り捨てる発言だから、そう思うわな。


  ただ、それでもメィムは少し察しが良過ぎるような気がするな。


「女の子は好きだと思うぞ?ただ、それがどこまで好きなのかは本人に聞いてくれ」


  俺は、曖昧に答えた。実際、ハーレムを築いていたらしい事は聞いたが、それがどこまでの範囲なのかは知らないし。それに、男は完全NGなのか、男も恋愛対象に入るのか、そういう事もわからない。


  まあ、俺の為に常に実体化して側にいる事を選んでくれたみたいだし、完全に男NO!というわけでもないだろうけど。


「……巨乳が好きだったりしない?」


  やけに具体的な所を聞いてくるな。


「それこそ、本人に聞いてくれよ」

「ん……。そうなんだけど」


  メィムは、視線を前に向けた。その視線の先は……、リゥム?


  ああ、妹が手を出されないか心配してるのか?


「とりあえず、女の子を悲しませるような事はしないと思うぞ?」

「!!」


  俺が言うと、メィムは顔を赤くした。あ、心配事当てちゃったからか。


「べ、別にあんたがなに考えてるか知らないけど、それは多分外れよ」


  プイッと、メィムがそっぽを向く。


  ツ、ツンデレかこいつ?やべ、「あんたの為じゃないんだからね!」とか言ってほしい。


(『それこそ、テンプレ過ぎないかね?』)

(おぅ、ナイスツッコミ)


  テンプレはつまり王道だから、それでいいんだよ!


「ん?誰か人が倒れているよ?」


  リゥムが、最初にそれに気付いた。


  街道を外れた森の入り口に、男性と思われる人間が倒れていた。見た所剣を持っていて、軽装備らしい胸当てのような鎧を着けている。


「大変!」


  咄嗟にヒナギが、続いてマホとリゥムがその男の所へと走っていった。


  すっげえ、嫌な予感がするんだけどなぁ……。


  隣のメィムを見ると、彼女も同じように顔をしかめていた。きっと、俺と同じような嫌な予感がしてるんだろう。


  とは言え、三人が行ってしまった以上、放っておくわけにもいかない。俺とメィムも、その後を追った。


「だ、大丈夫ですか!?」


  ヒナギが声をかけると、男性は顔を上げた。見ると、鎧の無い腹を裂いているらしく、かなりの出血が地面に溜まっている。


  多分、これは長くないな。森の奥に血痕が続いているようだから、ここまで移動してきたという事か。自殺、切腹ではないな。


「た、頼む……、ゴホッ!お、王子を助け……ガフッ!」


  男性は、しゃべる度に血を吐いていた。


「だ、駄目です!しゃべらないで!」

「……今、王子って言った?」

「ああ。そう言っていたな。……この国に王子っているのか?」

「?いるわよ?知らないの?」


  俺が聞くと、メィムとリゥムが驚いた顔をしていた(ヒナギは男性を仰向けに寝かせている)。


  だから、まだこの国の政治形態とかは勉強してないんだから、知らないっての。それに、知る必要も無いだろう。


「とりあえず、この先に王子の一行がいる事と、何か……多分フラグ建ててた山賊だろうな。それに襲われているんだろう事はわかった」

「……フラグ?」


  メィムが首を傾げていたが、俺は無視してデッキケースから、ダブル・ジョーカーのカードを取り出した。


「サモンドスレイヴサモン!来い、ダブル・ジョーカー!」


  俺は、口上を省略してダブル・ジョーカーを呼び出した。それに合わせて魔法陣が発生し、ダブル・ジョーカーが姿を現す。


  ん、実験は成功だ。予想通り、口上が無くても名前を読み上げるだけで召喚はできそうだな。まあ、余裕があれば口上をフルヴァージョンで叫ぶがな。なぜって?当然、カッコいいからだ!


「メィムとリゥムとヒナギは、その人を見てやってくれ」

「え?でも、それじゃあカナタは……」

「とりあえず、遭遇してしまった以上、このまま見て見ぬ振りは気分良くないしな。ちょっと森の奥を見てくるよ。俺には、ダブル・ジョーカーがいるから大丈夫。マホ」


  俺は、ダブル・ジョーカーの背中に駆け上がると、マホに顔を向けた。


「お前の専用カード渡しとくから、なんか来たら三人を守ってくれ」

『う、うん。わかった!』


  俺が投げたカードを受け取ったマホは、買ったばかりの鞭を取り出して戦闘準備をした。


  マホに渡したカードは、『ハーレム・クイーン・マホ』専用の召し物カードで、攻撃力を上げる効果を持つカードだ。魔力レベルも高いらしいから、それを持っていればそうそう負けないだろう。


  ただ、カード名が『マイ・スイート・ハニー』なのはどうにかしてほしかった。発動宣言するの恥ずかしかったんだよ……。


「行くぞ、ダブル・ジョーカー!」

『了解だ、我がマスター!』


  ダブル・ジョーカーは、翼を広げて飛び上がった。


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