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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第61話

 やっと、辛い話が終わったよ……。


『裸で美少女に迫られた事か?人間の男子ならば、むしろ喜ぶべき事ではないのか?』


  手を出せないのにそんな迫られ方するなんて、むしろ蛇の生殺しだよ!


『なら、手を出せばよかったであろうに。彼女は、喜んで受け入れただろうよ』


  こっちの世界では合法なのかも知れないけど、俺の中の常識は向こうの世界のままなんだよ!確かにトモヨちゃんはかわいいけど、だからこそあんな子に手を出せるわけないだろうが。


『郷に入りては郷に従えと言うぞ?』


  ひろみさんだか秀樹さんだか知らないが、そんなんに従うつもりは無い!


『帰ってきたゴールドフィンガーか』


  アチチアチー!


『……さて、新章突入かな?』


  素に戻んないで?

  まあ、実際前哨戦は終わったから、これからどうするかだな。王都は、戦いの爪痕の片付けからだけど。


『君は、どうするね?』


  んー、まあどうとでもなるだろう。何しろ、俺は天の道を行って全てを司ってしまうほどの男だからなぁ。


『それもそうだな。君が動けば、事態も動くだろう』


  あ、冗談だったんで、そこはツッコミ入れて?


『ん?……君は、女だったか?』


  ツッコミ所は、そこじゃねえ!


 ──・──・──・──・──・──・──


「トモヨちゃん」


  ようやく、風呂から解放されたよ。ただまあ、少しやりたい事があるので、トモヨちゃんに声を掛ける。


「はい。何でしょうか?」

「君の秘密……と言うか俺と君との間の経緯を、第三者にも話してもいいかな?」

「?どなたに、ですか?ダブル・ジョーカーさんは、カナタさんの中にいるのでわざわざ話す必要は無いですよね?」

「ダブル・ジョーカーはね。……パーナさんと一体化してるって言ってたけど、やっぱり心の中で会話したりできるの?」

「はい。パーナさんとは、日々色々な事を話しています」


  俺の問いに、トモヨちゃんがうなずく。

  彼女とパーナさんの関係も、俺とダブル・ジョーカーの関係と全く同じようだ。


「……あはは。パーナさんに、ほとんどわたしがカナタさんの事をしゃべってばっかりだってツッコミ入れられました」


  あ、これってパーナさんが苦労してるパターンかな?


(『日々、のろけていそうだな?』)

「パーナさんには、どんな事を話してるの……?」

「どんな事と言われましても、今日のカナタさんはどれだけかわいかったかとか、今日は本当にカッコよかったですとか話していただけですよ?」


  うへぇ……。あれ、絶対誇張されてそう。


「ちなみに、さっきのお風呂はどうでしたか?……ノーコメント、だそうです」

「だろうね」


  俺も、記憶を消して無かった事にしたい。


(『この屋敷にいる限り、記憶は更新されて行きそうだが?』)

(それな)

「それで、カナタさん?どなたに?」


  改めて、トモヨちゃんが尋ねてきた。


「ああ、マホ。あいつはまあ、俺のパートナーだしさ」


  一方的と言えば一方的だけど、十年来のパートナーだからな。あいつには、話しておいた方がいい気がする。


「ああ、十年一緒ですもんね。……わたしも、十年一緒にいるんですが?」


  トモヨちゃんが、ジト目で睨んでくる。

  確かに君も、マホと同じ条件で一緒にいたんだろう。違いは、カードとしてとはいえ側にいたか、本体自体は遠く離れていたかくらいか。


「君は、婚約者だろ?」


  俺が言うと、トモヨちゃんは満面の笑みを浮かべた。


  マホはパートナー、ダブル・ジョーカーは相棒、トモヨちゃんは婚約者。そんな分類で、今はいいだろう。


「いいえ。わたしは妻です♪」


  笑顔のままで、訂正を入れてくるトモヨちゃん。


  だから、それはまだ早いって!


「そういうわけだから、ちょっとマホの所に行ってくるよ。トモヨちゃんは、もう遅いから寝ちゃって……」

「わたしも行きますよ?」

「え?でも……」

「わたしの事ですから、自分に説明させて下さい」

「トモヨちゃん……」


  という事で、俺とトモヨちゃんは一階に降りてマホの部屋に行った。部屋は四人が決めるのを見てから二階に上がったので、どこかはわかっている。


『は~い。あれ、彼方くんとトモヨちゃん?』


  ドアをノックすると、マホはすぐに出た。まだ、寝てはいなかったようだ。


「ちょっと、話があるんだ。いいかな?」

『うん』


  俺とトモヨちゃんは、マホの部屋に入る。


  マホの部屋も、俺が選んだ部屋とほとんど変わらなかった。生活用の部屋は、どこも変わらない作りになっているんだろう。


『トモヨちゃん、パジャマかわいい~。しかも、ちょっとセクシー』

「ありがとうございます、マホさん。でも、カナタさんはわたしを見ても、かわいいもセクシーも言ってくれないんですよ?ね、カナタさん?」


  トモヨちゃんが、パジャマの裾をチラチラとめくって、見えるか見えないかのパンチラを仕掛けてくる。


  あのー。そのパンツを君に着せたの俺なんで、今更そんな事をされても特に何も感じないんですが……。


『彼方くんってば、酷い~』

「カナタさんってば、酷いですよね~」


  なんか、攻めてくるのが二倍になった。似てるなぁ、この二人。


『ところで、話って何?わざわざ、トモヨちゃんまで連れて』


  トモヨちゃんを膝の上に乗せてベッドに座ったマホが、俺に聞いてきた。

  うーん、微笑ましい。


「ああ。その事なんだけどな。実は、トモヨちゃんがさ……」


  俺とトモヨちゃんが、マホに事の経緯を説明した。

  トモヨちゃんが、夢で俺の人生をずっと見ていた事。だから、俺に対する好感度が異様に高い事。その過程で、マホの正体も知ったという事を。


『トモヨちゃんも、彼方くんの人生を見守っていたの?』

「はい。夢の中で」

『驚いた~。わたしと一緒だね♪』


  マホが、トモヨちゃんを抱いて頬をすりすりしていた。

  どうも、マホも風呂上がりっぽいし、風呂上がりの女の子が二人抱き合って頬を擦り付けあっている。なんというか、いい匂いがしそう。つか、既に部屋がいい匂いで充満している感じ。


  俺、邪魔じゃね?


「はい。わたし達は、二人でカナタさんのあらゆる姿を見てきましたよね?」

『……!ふふふ、あらゆる姿を、ね?』

「はい、あらゆる姿を、です」


  なんか、二人して妖しげな視線をこっちに向けてくる。

  ああ、トモヨちゃんに見られてたって事は、マホにも見られていたって事か。


「俺の人生は、二人の女子にストーキングされていたという事か……」

『ストーキングは酷いなぁ。わたし達、愛情もって彼方くんを見守っていただけなのに』

「ですよね~。わたし達のは、愛ですよ愛!」

「ストーカーは、みんなそう言うんだよ」

『万が一ストーカーだとしても、こんな美少女二人にストーキングされていたんだよ?こんなの、むしろご褒美じゃない?』

「わたし達のような美少女が相手なら、普通の男性は土下座してストーカーになって下さいとお願いすると思いますよ?」


  美少女ストーカー二人が、自らの行いを正当化し始めたぞ。

  普通の男がどうなのかは知らないけど、俺はストーキングを頼んでいないんですけど?さすがに、ご褒美にはならないなぁ。


  あと、自分で自称するのか美少女……。二人とも、美少女だと思うけど。


「慎んで、辞退させていただきます」

『え~』

「そう言われても、わたしのストーキングはわたしの意思では終われない全自動更新ですからねぇ。辞退したいのでしたら、その原因を突き止めてそちらを止めていただかないと駄目ですね」


  トモヨちゃんが、にっこりと笑った。


  原因を突き止めろたって、それに関しては雲を掴むような話だしな。


「うーむ。トモヨちゃんの事はどうしようもないな。何が原因なのか……。やっぱり神だろうか?この世界の神って、どんな存在なんだ?マホ達の聖天族は、神に仕えている存在なんだろう?お前らの神って?」


  俺は、マホに尋ねてみた。


  魔フォーの設定では、聖天族は神に仕える種族という設定になっていた。ただ、その神は魔フォーのカード化はされていないし、そもそも名前さえ明かされていない。


『わたし達が信仰していたのは、このエクディウムを創造したと言われている『創造の女神 マヒュー・コウシ』様だよ』


  この世界を作ったのは、女神だったのか。


「『創造の女神 マヒュー・コウシ』か」

『全ての生物を慈しむ、慈愛の女神だとも言われているわね。と言っても、当たり前だけど今のこの世界に存在はしていないし、サモンドスレイヴとしているとも聞かないから、神話の存在なんだけどね』


  マホが、肩をすくめた。

  聖天族の女王だったマホが言うなら、つまりはそういう事なんだろう。あくまで、信仰の対象でしかないという事。


「魔フォーのカードにも設定にもいないしな」

「神を名乗る邪悪なら、現実に存在していますけど」


  ダークネスは、神の中の神を自称していたな。


「……とりあえず、ダークネスに原因を押し付けてあいつを倒すとしよう」

『それ、トモヨちゃん関係無く倒すでしょ?』

「ダークネスを倒して、カナタさんが神になっちゃいましょう」

「戦いの結果だけで神になるのは、どうなんだろう……」


  まあ、「戦いの神」なんて呼ばれる存在はいるんだろうけども。そういう存在は、戦い以外はからっきしなイメージがあるから、そう呼ばれるのはなんとなく遠慮したい。


「王都では、既に救世主ですよカナタさんは」

「トモヨちゃんのでっち上げだったのに……」

「そのでっち上げを真実にしてしまった、カナタさんが凄いんですよ」


  トモヨちゃんの言葉に、俺は視線を外す。

  いやまあ、俺も調子に乗って救世主って名乗りまくったからなぁ。王都に広まるのは、まあ仕方ないわ。ただ、ダークネスのせいで世界中に拡散したんだよ。このままじゃ、下手すりゃどこへ行っても救世主と呼ばれるようになるわけで……。


  幸いなのは、画像は出されなかったのと、フルネームをダークネスが呼ばなかった事。最悪、別の「カナタ」ですで押し通そう。センテンススプリング!



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