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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第59話その2

 トモヨちゃんが見ていたのは、俺の日常!?世界の違う、俺を!?


「え!?トモヨちゃんが、俺の事を夢で見ていたって言うのかい!?知り合いでもない、そもそも住んでいる世界すら違う俺の事を!?」

「はい。……最初は、変な夢だなぁと幼いながらも感じていました。まあ、夢だしと。ただ、成長して世界の事、夢を見る仕組みを知るに従って、疑問に思うようになりました。夢の中の世界は、エクディウムとはまるで違う世界。この世界では見た事も聞いた事も無い物が、たくさん溢れている。いくら夢でも、わたしが知る事も認知する事もできない物をこんなに正確に見る事ができるなんておかしい、と」


  夢って、荒唐無稽なものが多いけど、あくまで自分が知りうる範囲の事がでてくるだけだからな。全く、欠片も知らない事を夢でみるのは、普通はありえない。


  そして、この世界出身のトモヨちゃんが向こうの世界の事を知れば驚くわな。車や電車や飛行機の発達した機械文明に、テレビネットなどの氾濫する情報。その代わり、存在していない魔法。


「ですので、しばらくしてわたしは結論付けました。これは、この世界ではない、どこかの誰かの人生を夢という形で一緒に体験しているのだと」

「人生を体験……」

「そう考えると、夢を見るのが俄然楽しみになりました。この人は、どこかでこうやって楽しく過ごしているんだろうなぁと。わたしの人生は、半分はトモヨ・リードギルフとして、半分は夢の中で遠野彼方さんとして過ごして来ました」

「……それで、俺の事を何でも知っていると」

「はい。だって、一番近くでずっと一緒に人生を生きてきましたから」


 俺の隣には、ずっとトモヨちゃんがいたのか……。俺には、一切わからなかったし実感は無いけれど。


「それじゃあ、君が俺を好きなのって……」

「わたしが生きてきた十年の半分は、カナタさんと一緒に過ごしてきた時間です。カナタさんには見えない聞こえない事だったでしょうけど、わたしにはかけがえのない大切な記憶です。……そうやって生きてきたわたしにとって、もはやあなたはわたしの半身です」


  長い年月を、一緒に過ごしてきた仲か。俺にとっては、寝耳に水だけどね。

  なんか、マホに似ているな。


「だからわたしは、あなたが欲しいんです。……まあ、マホさんと同じですね。あ、これは聖天族のマホさんの方です」


  あ、マホの事情も知っているのか。


「君の見ていた俺の日常って、どんな形に展開していたの?俺、別に向こうの世界では特にドラマになるような生活してなかったけど?」

「本当に、生活しているのを見ているだけだったですよ?朝起きる所から、夜寝るまで。夜中寝ているだけの時も、見れました。ほらあれですよ、おはようからおやすみまで全てを見つめるトモヨ・リードギルフです」


  ライ○ンか!


「まさか、時間の流れ一緒なの?それじゃあ、退屈なんじゃ?」

「それが、そうでもないんですよ?その夢、なぜか時間の早送り・巻き戻し・一時停止が可能だったので」

「は?いや、ビデオじゃないんだから……」

「そうは思うのですが、できたものは仕方ありません」


  トモヨちゃんは、肩をすくめた。まあ、トモヨちゃん自身がその夢の設定をしたわけでもないだろうから、それは仕方ないな。


「そういう事なので、カナタさんが本当にただ寝ているだけの時とかは、早送りしていました。ただ、歩いているだけの時とか」

「そもそも、何をそんなに見る事があった?」

「カナタさんが、楽しく遊んでいる時などは、こちらも楽しく見させていただきました。あと、学校の授業とかは興味深かったです。カナタさんが居眠りしていても、わたしは熱心に聞いていましたから」


  俺より真面目に授業受けてたのか、トモヨちゃん。


「まあ、早送りはともかくとして、巻き戻しと一時停止なんかは使うタイミングある?」


  俺が聞くと、なぜか突然トモヨちゃんが顔を真っ赤にした。


「そ、それを聞いちゃいますか……」


  両手の指をパタパタ合わせながら、そんな事をゴニョゴニョ言っているトモヨちゃん。


  え?そんな、変な事を聞いた?


「いやまあ、使わない機能なのなら別に構わないけど……」

「使わないどころか、一番使う機能ではありますが……」

「巻き戻しと一時停止を?何に?」


  トモヨちゃんが、珍しく顔を逸らした。なんか、言うべきか言わざるべきか迷っているような、そんな感じ?


「えっと……。怒らないで下さいね?」

「?何に?」

「その……、わたしが一番カナタさんの生活で巻き戻したり一時停止したりして観察していたのは……。お風呂と、おトイレです」


  恥ずかしそうに、トモヨちゃんが言った。


  ……。

  は?風呂と、トイレ!?それって、つまり……!


「簡単に言えば、カナタさんの裸です」


  意を決したのか、トモヨちゃんが俺の方を見て愛想笑いをした。


  うげぇ!まさか、風呂入ってる所とか、トイレしてる所とかを重点的に見ていたと!?それ、どっちも裸がある場面じゃん!


「あと……。申し訳ないのですが、一週間に一度の夜にお一人でその……、されている姿は毎回興奮させていただきました」


  耳まで真っ赤にして、それでもメチャクチャ嬉しそうにトモヨちゃんは言った。


  一週間に一度の夜って……!マジで最悪な場面を見られてるじゃん!!


「……マジで?」

「はい。おかげでその……、色々と深い性教育を受けさせていただきました」


  トモヨちゃんは、真っ赤になりながら微笑む。いや、赤くなるのは俺の方だよ!


  最悪だ……。俺は知らなかった事だとはいえ、そんな恥ずかしい姿を年端もいかない女の子に見られて来ていたなんて!穴があったら、入りたい!


「そんな風に見られていたなんて……!なんて、情けない!うぅ……、もういっそ殺してくれ」


  俺は、ガックリと肩を落とした。そんなどうしようもない姿を見られて、これから先まともにトモヨちゃんの顔を見れる気がしない。


「情けなくなんかないですよ。だから、死ぬとか殺してとか言わないで下さい」


  トモヨちゃんが、落ち込む俺の頭を胸に抱き抱えるようにして囁いた。


 て言うか、何も着てない裸の胸!ガッツリ、目の前目の前!


「ト、トモヨちゃん!?」

「男の人なのですから、恥ずかしがる事はないですよ。人として、生理的に当然の行動じゃないですか?」

「……き、気持ち悪く無いの?」

「何がですか?えっちな事がですか?でも、男の人がその気になってくれないと、子孫の繁栄ができないのですから重要事項ですよ?見境無いのは、ちょっと困りますけど」

「まあ……」


  確かに、トモヨちゃんの言う事は正しいけど。


「はぁ……」


  なんだか、トモヨちゃんが大きく息を吐いていた。


「?どうしたの、トモヨちゃん?」

「はい……。カナタさんの息が胸に当たって……、興奮します……」


  !?トモヨちゃん、もしかして喘いでる!?


「ちょ、ちょ、ちょっと!?」


  俺は、慌ててトモヨちゃんを引き剥がした。

  トモヨちゃんは、顔と言わず耳、いや首肩と全身を赤くして上気していた。くっ……、十歳なのに色っぽい!


「あん……。いい所なのにぃ」

「トモヨちゃん、君ねぇ……」

「なんですか?子供なのに駄目だよ、ですか?でも、わたしをこんな風に教育したのはカナタさんですよ?カナタさんの人生にシンクロしたから、わたしはこうなったんですから」


  そこで、俺のせいにされても……。


「いや、俺は君の存在を知らなかったし……」

「まあ、そうなんですけどね。わたしが歪んだのはカナタさんが手を下したわけではありませんが、カナタさんのせいではあります」

「自分で歪んでいる自覚はあるのね……」

「それはまあ……。ただ、わたしがこうなったのはカナタさんのせいではありますけど、それと同時にわたしだけがカナタさんの裸を拝めるという恩恵にあずからせていただいていたわけじゃないですか?それはまあ、対等とは言えませんのでそれを埋めようかなぁ、と考えた次第でありまして……」


  少し視線を外して、トモヨちゃんが愛想笑いを浮かべる。


  ああ、裸を見せ付けてきた事情ってこれか。自分の方は散々俺の裸を見てきたから、俺にも見ろってわけか。


「別に、そこで対等になりたいからって、こんな事をしなくてもいいんだよ?」

「でも……」

「その夢の主人公に俺を選んだのも、俺の人生を見続ける事を選んだのも、トモヨちゃん自身が決めた事じゃないんだろ?」

「え、まあ……。誰が決めたのかは、どうしてカナタさんなのかは、わたしにはわかりません。わたしはただ、流れるカナタさんの人生を共に歩んだだけです」

「だったら、君が責任を感じる事じゃない。だから、こんな裸を見せ付けるなんて事はしなくていいんだよ。君は、女の子なんだから」

「カナタさん……」


  俺が言うと、トモヨちゃんは小さく微笑んだ。


  まあこれで、これからはこんな事をする事が無くなるなら、それでいいかな。俺の方が見られるのは、彼女にはどうにもできなさそうだし、そこは仕方ない。俺が、品行方正に生きるとしよう。


「ありがとうございます、カナタさん。……まあ、確かに対等になりたい事も理由の一つではあるのですが」


  トモヨちゃんが、ふっと言葉を切った。なので、少し彼女の顔を見つめる。


  と思ったら、突然トモヨちゃんが立ち上がった。トモヨちゃんが立ち上がったのに視点がそのままだから、必然的に彼女の裸の体が視界に飛び込んでくる事になる。


「!?な、何いきなり立ち上がってるの!?」


  俺は、慌てて顔を背けた。いくらなんでも、いきなりのそれは避けられない。


「ふふ。そうやって、わたしの裸を見ないように頑張っちゃうカナタさんは、凄くかわいいです♡。そんなカナタさんを見る為ならば、わたしはいつでも肌を晒しますよ?」


  楽しそうに、トモヨちゃんがつぶやく。


  というか、そっちが目的か?


「……やっぱり、小悪魔……」

「褒め言葉と、受け取っておきます♪」




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