表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
116/944

第58話その2

「そうか……。確かに、そこだけを見ればダブル・ジョーカーがダークネスに感謝するのは必然のような気がするな」

(『そこだけを見れば、な』)


  でも、実際はダークネスを滅ぼしたい程憎んでいる。つまり、見えている形だけが真実ではないという事か。


(『うむ。……我は、サモンドスレイヴになって一つの能力を得た。『ノレッジブックシェルフ』。それが、我の能力の一つだ』)

「ノレッジブックシェルフ?ええっと……?」


  どういう意味だろう?


(『わかりやすく言えば、『知識の本棚』だ。そこは、過去に存在した知識全てが記録されている世界のデータベースとも言うべき場所だ。我は、そこにアクセスする能力をサモンドスレイヴとなって得たのだよ』)

「そんな物が存在するのか……?」

(『あくまで、目に見える場所では無いからな。そこが物理的に存在しているかはわからぬ。どこか、高次元のような気もする。……そして、我はそこで知ったのだ。龍帝族を使いショウを殺させたのが、ダークネスだという事をな』)


  !?ダークネスが、ダブル・ジョーカーの奥さんを龍帝族を使って殺させた?


「何の為にそんな事を?」

(『我を、自らの手駒にする為よ。今回のラビッツのようにな』)


  ダブル・ジョーカーを、ダークネス八武衆みたいな組織に入れる為か。確かに、ダブル・ジョーカーがいれば相手する方は大変な事になるな。


「サモンドスレイヴになってからその事を知ったなら、よく生前はダークネスの誘いに乗らなかったな?」

(『我は龍帝族を滅ぼした後は、王を退いて隠居生活に入ったからな。……ショウがいなくなって、心に穴が空いたようになってしまったのだ』)

「そうか……。それは、仕方ないな」


  ダブル・ジョーカーの気持ちは、わかる気がする。俺だって、真穂がいなくなって心の中の何かが欠けてしまった気がしたからな。


(『うむ。だから、真穂嬢を失っている君は昔の我を見ているようで耐えられなかった』)

「だから、俺を誘いに来たんだな。この世界に」

(『ああ。……まあ、そもそも我はサモンドスレイヴだからな。マスターがいないと、ろくに移動する事すらできないからな。真穂嬢を探す為の役目には、君は適任だったのだ』)

「利用するには、好都合な存在だったってわけだ?」

(『……最初は、そうだった』)


  少し沈黙した後、ダブル・ジョーカーが答えた。


  まあ、あのままだったら真穂を探すどころか、下手したら捨てられてしまう可能性もあったからな。頼れそうなのは、俺だけだったか。


「まあ、俺もダブル・ジョーカーの力を利用させてもらってるし、そこはおあいこだな」

(『ふ……。だが、君を選んでよかったと今は思っているぞ?君は、最高の相棒だ』)

「お前もな」


  俺達は、心の中で改めて手を握り合った。きっかけはどうであれ、今は信頼する大事な相棒だ!


「俺の好奇心に答えてくれてありがとうな?」

(『構わぬよ。気になる事があれば、何でも聞くがいい。我は、知識の番人だからな』)

「頼むぜ、オタク知識の番人」

(『そっちの知識は君の方が詳しいだろうがな』)

「全ての知識を知っているんじゃないのか?」

(『数が膨大だからな。どんどん更新されていくし、我が全ての知識を検索するには時間が全く足りていない』)

「向こうの世界とか、何億年分の知識だもんな。納得」


  俺は、頭をシャワーで流した。


(『……ん?マスター』)


  何か、ダブル・ジョーカーが話しかけてきた。


「?どうした、ダブル……」

「カナタさん♪お背中を流しに来ました~♪」


  いきなり、後ろからトモヨちゃんの声がした。


「ふぁっ!?トモヨちゃん!?」


  振り向くと、後ろにはバスタオルを一枚巻いただけのトモヨちゃんが、物凄い笑顔で立っていた。長い髪を、ポニーテールにまとめている。


「うわっ!?」


  幸い、タオルを腰の所に掛けて頭を洗っていたので、そのまま腰に巻く。


「惜しい……」


  すっごい小声で、そんな事をつぶやいていたトモヨちゃん。


  やっぱり、君はこうだよね?さっき改めた認識は、元に戻しておこう。


「ト、トモヨちゃん!?な、なんで!?」

「さっき言いました通り、お背中を流しに来ました」

「い、いや!?そんな事、トモヨちゃんがする必要は無いよ!?」


  一国の王女様に背中を流させるとか、どんなご身分だよ俺は?俺は、上級国民じゃねえ!


「まあまあ。今日は、カナタさんはずっと戦いっぱなしで疲れているでしょうから、これくらい労わせて下さいな。それに、わたしはカナタさんの妻ですし♪」


  まだ言ってる……。


  トモヨちゃんは、本当にバスタオルを一枚巻いているようにしか見えない。い、いや!多分、あの下には水着を着ているに違いない!


(『まあ、水着で風呂で背中を流しっこ、は定番中の定番イベントだしな。その時に着る水着は、やはりスクール水着がお約束だろう。王女は、肩紐は見えぬが』)

(そんな余計な知識まで披露しなくてもいいぞ、知識の番人?)

(『ちなみに、この人間領国の学校は、オーソドックスな純スクール水着だぞ?』)

(そんな知識は捨ててしまえ!)


  俺は、視線をトモヨちゃんから外した。あんまり見ているのも、失礼な気もするし。

  トモヨちゃんは、逆に喜びそうな気はするけど。


「ちょっと失礼します」


  トモヨちゃんは、腕を前に伸ばして置いてあったボディソープを手に取った。その際、体を前に傾けているので、少し胸が強調されてドキッとする。


  ……いや、ドキッとはしてないか。だって、正直真っ平らだし。哀れなほど薄っぺらな、という奴だな。


  ただ、ボディソープを取る時に俺に顔を向けてにっこり笑うのは、めっちゃかわいい。


「ふんふふ~ん♪」


  トモヨちゃんは、鼻歌混じりにタオルを揉んでいるようで、楽しそうだった。


「今日は、本当にお疲れ様でした」


  トモヨちゃんが、本当に椅子に座った俺の背中を洗い出した。


「あ、ありがとう。でも、本当にトモヨちゃんがこんな事をする必要は無いんだよ?」

「カナタさんは、王都の為にいっぱい戦ってくれたのですから、これくらいはさせて下さいよ」

「言っても、君だって戦ってただろ?」

「戦ってくれたのは、パーナさんですから。わたし自身は、特に何もしていませんよ」


  確かに実際に攻撃をしたのはパーナさんだろうけど、トモヨちゃんが召喚しない事には彼女は出てくる事すらできないわけで。


「それに、旦那様の背中を流すのは妻の役目です!」


  ドヤァとした、トモヨちゃんの声が聞こえる。見てないけど、多分胸を反らしているんだろうな。

  完全に、妻に成りきってるよ。


「でも、君は王女様なんだよ?王女様がこういう事をするのはだね……」

「わたしは、王女である前にトモヨ・リードギルフという一人の人間です。カナタさんが、救世主である前に、カナタ・トオノさんであるように」

「……そうだけど」

「それでも、背中を流させるのは心苦しいですか?……う~ん。それでしたら、わたしの体を見ますか?」


  いきなり、意味不明な提案をしてくるトモヨちゃん。


「は!?なんで、そんな事になるの!?」

「やっぱり、男性は女の子の裸を見ると元気が出ると言うじゃないですか?」


  誰だ、そんなわけわからん知識をトモヨちゃんに教えたのは!?


「お母様が、そう言っていました」


  ミチヨさーん!!


「それなら、わたしがバスタオルを取るだけですから、カナタさんも心苦しくないですよね?お風呂ですから、裸なんて当たり前の姿ですし」

「いや、男と一緒の時点で当たり前ではないんだけど……。ま、まあ。ちゃんとお約束の水着は着てると思うから問題無いとは思うけど、こういう小悪魔なイタズラはあんまりやっちゃ駄目だよ?」


  この子の相手は、なかなかしんどい所があるんだよな。


  今なら、ロキヒノが関わるなと言った理由がわかる。まあ、今更遅いんだけどさ!


「……?」


  しばらく、トモヨちゃんが静かになった。ちょっと、言い過ぎた?


  スッと、トモヨちゃんが後ろから手を伸ばしてきた。そして、手に持っていた物を俺の前に落とす。

  それは、彼女の巻いていたバスタオルだった。


「?トモヨちゃん?」

「わたしが水着を着ていると思っているのでしたら、どうぞ振り返って下さい」


  トモヨちゃんが、冷ややかな声で言った。


  え、なんか拒否し続けたから怒っちゃった?


「ト、トモヨちゃん?」

「わたしは、水着を着ているんですよね?だったら、わたしを見ても平気じゃないですか?水着は、見られても大丈夫な代物ですし?」


  なんか、トモヨちゃんの声色は煽っているかのようだった。

  正直、今のトモヨちゃんは怖くて振り向けなかった。


「はぁ~」


  ややあって、物凄い大きなため息が聞こえてきた。


「優しいのは美徳ですけど、女の方がここまでしているのに据え膳に手もつけようとしないのはさすがにヘタレと言われても仕方ないですよ、カナタさん」


  呆れたように、トモヨちゃんが言った。いや、実際呆れているんだろう。


  マホにも、同じ事を言われた。ただ、今の中途半端な状態で手を出すのは、やっぱり女の子にも失礼だろうと……。


「そんなだから、「まほ」さんとも何もできないまま、お別れになっちゃったんですよ?」


  ため息混じりの、トモヨちゃんの言葉。


  お別れになった「まほ」って、それは今一緒にいるマホじゃない。永遠の別れになってしまったまほは、一人だけ。


「トモヨちゃん!それって……!?」


  俺は、弾かれるように振り返った。


  そのトモヨちゃんは、なぜかキラキラした目で嬉しそうにどこかを見ていた。


「はうぅ~♡はにゃ~ん♡」


  さっきまでの冷ややかな様子はどこへやら、歓喜のため息までついている。


  その彼女の視線は……、俺の下半身?


「どわぁ!」


  振り返った拍子に、巻いていたタオルが落ちていた。


  見られた!見られた!?トモヨちゃんに、アレを見られた!


「あわわわ!」


  俺は、慌ててタオルを拾って巻き直した。あんな小さい子に見られるなんて、罪悪感と羞恥心が一緒に襲ってきて、辛すぎる!

  罪悪感を感じなくなった設定はどうした、ダブル・ジョーカー!?


(『いや、我が操作したのは命を奪う事に対する事だけであってだな……』)


  は、恥ずかしい。


「あん。隠さなくてもいいじゃないですか?せっかくの生お宝ですのに♡」


  いや、生お宝って!


「あのね、トモヨちゃん!?そういう事は……え」


  トモヨちゃんに言おうとした言葉が、途中で止まった。


  膝立ちで目の前にいたトモヨちゃんは、全裸だった。本当に、一糸もまとっていない。水着もタオルも無い、正真正銘の裸だ。


「な、なんで水着とか着てないの!?」


  俺は、また背中を向けた。まさか、ガチで裸とは……!


「ああ。わたしは、水着を着ているなんて一度も言っていませんよ?」


  しれっと、トモヨちゃんが答える。


  いやまあ、確かに君自身は着てるなんて一言も言っていないけどさ。


(『それより、マスター』)


  わかってる!今問題なのは、それじゃない!


「わたしの裸はどうですか?」

「そんな事より!……今、君が言った「まほ」って……?」

「え?ああ、そうですね」


  トモヨちゃんが、一度言葉を切った。見えていないけど、多分今の彼女はいつもの何でもお見通しな柔らかい微笑みを浮かべているんだろうな。


「……はい。桜咲真穂さん、です」


  トモヨちゃんが、しっかりと言った。


  彼女、真穂の事まで知っていたのか!?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ