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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第58話

「ああ。ついに、わたしとカナタさんのスイートホーム編の開幕ですね!」


  メタ発言……は今更か。

  とりあえず、そんな章は開幕しません。


「ええ~?これから、わたしとカナタさんの甘くて爛れた生活を延々と描写していくのではないのですか?」


  しません!爛れたってなんだ……。


「それはもちろん、朝から晩までベッドで……」


  説明せんでいい!ホント何なん、君?


「わたしは、カナタさんと結婚して添い遂げる女だ!」


  宇宙キター!!……わかりづらいわ!


  そもそも、俺は真穂を探しに行かなきゃならないし。


「トロフィー集めに行くんですよね?わたしも行きますよ?」


  は?トロフィーって……。


「ハーレム参加のヒロインは、トロフィー扱いされてるじゃないですか」


  それを、ヒロイン自身が言うの?


「カナタさんを飾れて、カナタさんに愛されれば他からどう呼ばれようとわたしは一向に構いませんよ。トロフィー呼ばわり、ドンと来い!です」


  割りきってるね、君……。


「もちろん、カナタさんの愛が条件ですよ?たくさん、愛して下さいね?」


  君の愛、重そうだよね……。


 ──・──・──・──・──・──・──


  夜の闇に紛れて、俺達は王城から離れた王家別宅へとやって来た。二階建ての洋風建築の屋敷で、しかも新築。屋敷自体も大きく、立派な門のある入り口には屋敷とは別の家が左右に一軒ずつ建っている。


「この家々は、片方が警備や管理人の住んでいる、もう片方がメイドさん達世話人の住む家になっているそうです」


  トモヨちゃんが、教えてくれた。


「屋敷自体には、誰もいないのかい?」

「はい。屋敷に住むのはわたし達だけですよ」


  六人いるとはいえ、あの屋敷外から見るだけでかなり広いよ?贅沢すぎない?


「この辺は、不思議と静かで戦いの跡が無いわね?」

「この敷地全体にバリア魔法を掛けていたそうですし、この辺りへの攻撃も少ない方だったそうですよ?ただ、ここは家自体もそんなに多くないエリアで、住んでいる人が少ないせいでターゲットとして狙われなかったのかもしれません」


  この辺りは、敷地の広い家が多くて住人の数が少なかったので優先して狙われなかったらしい。


「確かに、連中町の破壊よりは人間を殺す事を作戦の優先事項に置いていた感じはあったかもしれないな」


  魔物も八武衆も、家屋の破壊は積極的にやってはなかったな。人間を襲う拍子に、破壊していた奴らばかりだった気がする。ラビッツとかダブル・ジョーカーは、ガンガンなぎ倒していたけど。


(『別に、我はわざとやっていたわけではないぞ?ほとんどはラビッツが我を吹き飛ばしたのが原因なのだから、苦情はラビッツに入れてくれ』)

(わかってるって。今度会ったら、今回の分の借りをまとめて叩き付けておいてくれ)

(『うむ、任せるといい』)


  そういう事で、俺達は屋敷に到着した。


「そういう事で、わたし達のお家に到着しました~」


  トモヨちゃんが、玄関前で俺達の方を向いて両手を左右に広げて宣言した。


「「「「『おお~』」」」」


  俺達は、つい拍手をしてしまう。


「では、早速入りましょう」


  トモヨちゃんは、ドレスの胸元に手を突っ込んで中から鍵を取り出して、玄関の鍵を解錠した。

  この子、何でもかんでも胸元から取り出すな……。


  中に入ると、大きな玄関ホールが出迎えてくれた。既にランプの灯りが煌々と点いていて、二階へ上がる階段、奥へ続く通路、部屋へ続く扉があちこちに見える。


  正直、いつまでもここにいるわけじゃない俺には、過ぎた仮宿だと思う。いやまあ、トモヨちゃんが住む事になるんだろうけど。


「ひっろ!」

「立派なお屋敷~」

「凄いです……」

『新築のいい匂いがする~』

「とりあえずは、部屋を決めないとな。屋敷の構造なんかは、明日になってから改めて調べるとしよう」

「はい。それでは、みなさんすみません。集まっていただけますか?」


  トモヨちゃんが、マホ達に集合をかけた。マホ達は、興味津々な様子でホールの調度品とか飾られている絵画などを眺めにバラけていたのだ。

  おのぼりさんか!


『あ、ごめん』

「何だった?」

「ごめん、トモヨちゃん」

「どうされましたか?」

「はい。お部屋の方なのですが、マホさんとメィムさんとリゥムさんとヒナギさんは一階のお部屋を使っていただけますか?部屋自体は、どこも空いていますので好きな部屋を使っていただければ」


  トモヨちゃんが言うと、場に「?」という雰囲気が流れた。かく言う俺も、首を捻ったんだけど。


「俺と……、トモヨちゃんは?」


  トモヨちゃんの言葉には、俺と彼女自身の名前が無かったからな。


「わたし達は二階です」


  ああ、そういう事。この子、本気で夜這いでもして来かねないな……。


「なんで?別に、全員一階でいいんじゃ?」


  俺が尋ねると、トモヨちゃんは少しだけ真面目な表情になった。


「すみません。これは、王族としてのマニュアルにある事なのです」

「?どういう事?」

「……こういう事はあまり想定したくは無いのですが。もし、ここに敵が踏み込んで来た場合などは、一階のマホさん達に迎撃をお願いしたいのです。そして、その間にわたし達は、二階から脱出する。その為に、マホさん達には一階で、わたし達は二階でという位置関係になるのです」


  トモヨちゃんが、申し訳なさそうに説明した。


  つまり、もしこの屋敷が敵に踏み込まれた時には、一階の人間が応戦してその間に二階の王族を逃がせ、という事か。非常時には、マホ達を盾にしろという事なのだろう。


  正直、俺個人としては承服しかねる考え方だけど、王族を守る事を最優先にすると仕方がない事なのかもしれない。


  そして、案外妥当な理由付けで、俺は恥ずかしい。それしか考えてないの、俺じゃん!


「なるほど、確かに」

「私達、トオノくんとトモヨちゃんの護衛だもんね」

「納得です」

『任せて!わたし達が、しっかり二人を守るから!』


  理由も理解できたので、俺達はその部屋割りに納得する事にした。


「まあ、もし仮にそんな事態になったら、その時は俺も戦うけどな?」

「わたしもです。逃げる時は、みなさんで逃げましょう」


  それが、俺達のジャスティス。


  そういうわけで、俺とトモヨちゃんは二階へ、マホ達は一階へと別れた。


「まあ、ここでいいか」


  俺が選んだ部屋は、何の変鉄もない普通の八畳くらいの広さの部屋だった。クローゼットやタンスが置いてあって、ふかふかのベッドが用意されている。あと、机と本棚があって中に何かの本が並んでいる。これは、デフォルトの家具アイテム?


  俺は、机にリュックを置いた。まあ、俺の荷物はこれだけだし。


「カナタさん」


  ドアをノックして、トモヨちゃんが顔を出してきた。


「とりあえず、わたしはここのお部屋にしました」


  トモヨちゃんが選んだ部屋は、俺の隣の部屋だった。

  まあ、あんまり離れていても何かあった時に困る事になるかもしれないし、それは仕方ないか。


「こちらがおトイレ、こちらがお風呂場です。あちらには食堂もありますが、食堂は一階のを使いましょう」


  トモヨちゃんが、館内を案内してくれた。


「よく知ってるね?」

「見取り図は見せていただきましたから」

「でも、実際に地図も見ないでよく案内できるね?」


「うふ。自分で言うのもなんですが、わたしは十歳で高校を卒業した天才少女ですよ?」


  トモヨちゃんは、そう言ってウィンクした。


  そうだ、何だかんだでトモヨちゃんは十歳で飛び級して高校を卒業したんだよな。実際、天才少女ってのは伊達ではないのだろう。


「……」


  あ、トモヨちゃん顔を赤くして背中を向けちゃった。自分で言って、恥ずかしくなったかな?その姿は、かわいいな。


「お風呂の用意はできているはずですので、一番風呂をどうぞ」


  夕食は王城を出る前に済ませていたので、風呂に入る事にした。トモヨちゃんが勧めてくれたので、先に入る事にする。


(『彼女なら、一緒に入ろうと誘ってくるかと思ったが、意外だな』)

(実は俺もそう思ったけど、さすがにそこまでは暴走しないみたいだ)


  トモヨちゃんへの認識を、ちょっと改めないと。


  風呂場は、どこかの温泉旅館のような広い温泉になっていた。これで大きな窓があって景色が綺麗だったら最高だったんだけど、さすがにここは二階だしそんな窓は存在していなかった。

  その代わりか、壁にはどこかの赤い山が描かれていた。山が赤いから、富士山ではないなこの山。


(『人間領国最高峰と言われる、レストフ山だな』)

「ふーん。場所はどこにあるの?」

(『もっと北だな。この世界は常春の地域が多いが、そこは珍しく常時雪が降っている寒い地域だ』)

「へー。そんな地域があるんだ?……今更、寒い所には行きたくないな」

(『正直、我も寒いのは苦手だ』)


  珍しく、弱気なダブル・ジョーカー。


「ドラゴンって、寒さに弱そうなイメージがあるな。ダブル・ジョーカーもなのか?」

(『我らの場合、あまりにも低温に晒されると自己防衛本能が働いて身体機能の低下が起こるのだ』)

「身体機能の低下?」

(『簡単に言えば、冬眠状態になってしまうという事だ。それはもう本能なのでな、個人でどうこうできる事ではない』)

「なるほど。魔竜と戦う事がもしあったら、トーリ辺りに任せるか」


  トーリは、氷タイプだからな。魔竜にも、弱点ありか。


  ここにはシャワーも設置されていたので、まずは体を洗うとしよう。なんか、ボディソープやシャンプーが用意されているので、これを使えばいいや。


「ところで、ダブル・ジョーカー?一つ聞いていいか?」


  頭を洗いながら、ダブル・ジョーカーに質問する。


(『ん?何だね?』)

「答えにくい事なら答えなくてもいいんだけど、俺お前の戦いを見ていたと言ったろう?その中で、少し気になる事があってさ」

(『どういった事だ?』)

「うん。……ラビッツが、ダブル・ジョーカーこそがダークネスに感謝するべきだと言っていた事があったろ?龍帝族を滅ぼしたダークネスにって。……何があった?」


  その時、ラビッツが愛する女がどうこう言ってたからな。


(『別に言葉を濁さなくとも、考えはダイレクトに伝わっているから大丈夫だぞ?』)


  ダブル・ジョーカーが、笑いながら言った。


  あ、口に出さなくても伝わるから、裏で言うのは意味無かったな。


(『まあ、ラビッツの言う通りではある。あの頃、我は魔竜族の王として龍帝族との折衝を行っていた。まあ、王ではあるからな。我にも、一応愛し合い、子供を授かった妻がいたのだよ』)

「まあ、一国の王をやってりゃ当然か。あれ、それが話の中に出ていた「カスミ」って名前の存在?」

(『ん?いや、カスミは違うぞ?カスミは、魔竜四天王の一員で「力」の称号を持つドラゴンだ』)

「あ、そっちか」

(『うむ。我の妻は……。まあ、覚える必要は無いがショウという。そのショウが、龍帝族との争いの中で龍帝族に殺されたのだよ』)


  ダブル・ジョーカーが、淡々と何の感情も出さずに話した。


  本当は、何も感じないわけじゃないだろうに。



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