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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第57話その2

「ふぅ。お、全員揃っているか」


  食堂に、ユギカザさんがやって来た。


「おかえりなさい、あなた。指示は、済みましたか?」

「まあ、一応の事はな。町の片付けと遺体の回収、身元の確認。物資の補充に人員の手配。評議会のメンバーにも、それぞれの領域に戻って応援を回してもらうように頼んできた」


  そう言いながら、ユギカザさんは椅子に座る。すると、すぐにメイドさんがやって来てまずはお茶を用意していく。


「ただ、問題は死んだトランドとチャックの領域でな。二人は死んでいる上に、どうも手を組んでいた反逆者らしいしな」


  ノオトくんの残していたオッサンの陰謀会話の相手は、コシギーンだったな。あいつらが、陰謀の主犯か。


「!ハークロさん、亡くなられたのですか!?」

「ああ。八武衆とかいうダークネスのサモンドスレイヴに殺されるのを、カナタが見ていたらしい。だな、カナタ?」

「あ、はい」

「そうだったのですか……」

「ハークロさん、死んだのか?かわいそうに。て、反逆者って何の事なんだ父上?」


  ロキヒノが、首を傾げてユギカザさんに聞いていた。陰謀に巻き込まれた当事者なのに、呑気なものだ。


「トランドの息のかかった者が、俺を殺そうと襲ってきたんだよ。まあ、カナタがサモンドスレイヴを護衛につけていてくれたおかげで、事なきを得たがな」


  ユギカザさんが説明すると、ロキヒノはまた仰天していた。


「ハークロさんが!?あ、戦いの最中に母上達が叫んでいたのは、その時か!?」

「ええ、そうよ」

「あれは、心臓止まるかと思った」

「あれは、わたしも知らされていませんでした。カナタさんってば、わたしにまで秘密にするんですから……」


  なんか、恨みがましい視線を送ってくるトモヨちゃん。


「ま、まあその。敵を欺くには、まず味方からって言うし……」

「もう……。それもわからないではないですけど、わたしにだけは教えておいてほしかったです。わたしは、妻なんですから」


  完全に妻気取りだよ、トモヨちゃんってば。


(『彼女、結婚したら束縛が強そうだな?手紙とかメールとか、全開封するタイプだろう』)

(怖いな……)

(『まあ、その割にハーレム容認派だったな。自分が認めた者以外には、容赦しない感じであろうか?』)

(女性って、浮気した男よりその相手を憎むってよく聞くしな)

(『精々、刃傷沙汰にならないよう気を付けるのだな?』)

(やっぱり、怖い……)


  とりあえず、トモヨちゃんの視線からは逃げよう。


「そう言えば、例の暗殺者はどうしたんですか?」

「ん?ああ、あいつなら地下の牢屋に入れてある。後で、聴取をしないといけないんだが、なにぶん他に優先しなければならない事が多くてな。今は、後回しだ」


  オッサンが死んだ以上、そこは優先順位低くなるわな。今は、死傷者の確認と、王都の復興。こっちを優先すべきだ。

  あと、戦力の増強。


「できれば、しばらくウチが選ばれない事を祈るしかないが……」


  それだけは、こっちではどうにもできないからなぁ。どうせダークネスの事だから、前哨戦のインターバルも適当だろうし。準備が整うまで、時間が稼げればいいんだけど。


「そうだ、トモヨ。お前、後でカナタと一緒に例の別宅へと移動しろ」


  突然、ユギカザさんがトモヨちゃんを指差して言った。

  別宅って?


(『ああ!それってハネ?』)

(そのネタはもういいから……)

「別宅?というと、スイートホームですか?」


  トモヨちゃんが、恥ずかしげもなくそう聞き返した。


  やめよう、スイートホーム呼び。


「ああ」


  そして、真面目にうなずくユギカザさん。スイートホームに反応無し!


「でも、昨日はまだできていないって言っていませんでしたか?」

「実は、もう完成はしていた」

「それじゃあ、どうして完成していないなんて嘘を?」


  トモヨちゃんが質問すると、ユギカザさんはバツが悪そうな顔をした。


「まあ、まだ疑っていたというか、疑心暗鬼が残っていたというかだな……」


  何だか、ボソボソと言い訳をするユギカザさん。


  まあ、昨日は会ったばかりだし俺の事はまだまだ何もわからない状態だったからな。そんな男に、大事な娘を預けるのはどうしても躊躇してしまったんだろう。それを、今回の件で認識を改めたという所か。


「……もう。お父様ったら」


  トモヨちゃんは、息を吐いて苦笑した。さすがの彼女も、ユギカザさんの親心に対しては怒れなかったようだ。


「でも、急にどうしたんです?」

「記者達が、号外を出したいと言ってきてな?」


  ?記者?この世界にも、もしかしてマスコミがいるのか?


(『この国にテレビは無いが、新聞雑誌はあるからな。当然、それの記事を書く記者は存在するさ』)

(ああ……。それなら、やっぱある事無い事書くマスゴミも存在するのか)

(『この国では確か、出版物は全て政府の検閲を受けるからおかしな内容の物は出てこないはずだ。もちろん、非合法で出回っている物はその限りではないが』)

(ふーん。その辺は、どこの世界も変わらないな)

(『まさに、だな』)


 やだやだ、そういうのとは関わりたくないぜ。


「号外、ですか?今回のバトル・ファイオー前哨戦の事に関してですか?」

「いや。お前とカナタの結婚についてだ」


  そっちかよ!


「あら。そうなんですか?」


  それを聞いて、嬉しそうなトモヨちゃん。


「俺が言ったカナタが息子だという言葉が、マイクを通して王都中に広まったらしくてな。記者連中も気付いたらしい」

「そう言えば、聞こえたわね」

「うん。私も聞こえた」

「はい、わたしもです」

『それどころじゃなかったからなぁ……』

(『うむ。我らは、そちらに気を割いている場合ではなかったな』)

「そういや、言ってたな」


  聞こえた者、聞こえなかった者、様々だったみたいだ。


「王都は破壊され、大勢の死傷者も出た。あまりいい話題ではないから、お前とカナタの結婚という明るい話題を提供したいという話でな。まあ、確かに今はこういう状況なので、少しでも市民を笑顔にできれば、と許可は出したのだ」

「そ、そうですね。ちょ、ちょっと照れますけど……」


  恥ずかしそうに、トモヨちゃんは両手で頬を押さえていた。


  でも、あんな可憐な仕草の裏で、きっと「外堀埋まった!計画通り!」とかほくそ笑んでるんだぜ。


(『なかなか、酷い言い草だな。さすがの王女でも、精々は「よっしゃあ!カナタさんゲットォ!」とガッツポーズを取る程度だろう』)

(お前も大概じゃん……)

「だが、そうなると取材と称して余計な突撃をかましてくる輩がいないとも限らない。それを避ける為に、一時避難するべきだと思ってな」

「ああ、それで……。まあ、わたしは大丈夫だと思いますけど、そうですね。その方がいいかもです」


  トモヨちゃんが、俺を見ながらうなずいていた。


  あれ、俺が気を使われてる?


(『幼いとは言え、彼女は王族だからな。言っていい事悪い事の区別くらいはついているだろう。君はそういう世界に関わりをもって来なかったし、この世界の常識すら精通しているとは言いがたい。マスコミの変な誘導にも引っ掛かりだそうだしな』)

(むぅ……。反論できん……)


 誘導尋問に引っ掛かる自信、めっちゃあるぜ!恐れ入ったか!


「別宅の方は極秘にしてあるからな。日が落ちたら馬車で移動するといい」

「わかりました」


  ユギカザさんは、マホ達四人の方に顔を向けた。


  あ、俺には確認は求めないのね?行って当然、って感じか。


「すまないが、君達も同行してもらえるかな?カナタは強いが、警護の人間は多いほどいいのでな。もちろん、給金は出そう」


  懸賞金稼ぎの三人には、仕事として依頼するのか。まあ、マホにも払うんだろうけど。


『お金は、別にいいですよ』

「カナタもトモヨちゃんも友達ですから」

「はい、わかりました」

「はい。同行させていただきます」


  四人も、快諾した。まあ、四人の内の三人はトモヨちゃんのハーレム要員だしな。


(『君のハーレムではないのか?』)

(いや、どう見たって今の状況はトモヨちゃんとマホが作ってるハーレムだろ?俺なんて、ただの寄せ餌だよ)

(『ふむ……。新宿の種馬という所か』)

(ここ、リードギルフ!モッコリしない!)


 あの人、初期と後半じゃ微妙に別人だよな。


(『ノーコメントだ』)

「うむ」


  マホ達の答えに、ユギカザさんは満足そうだった。


「それでは、今回の諸々の話を始めるか。まずは、トモヨ。お前の話からだ」

「はい」


  その後、ユギカザさんの昼食も来たので、食事をしながら改めて話をした。トモヨちゃんのサモンドスレイヴパーナさんの話。ダークネス八武衆の話。それぞれの場での、戦いの話。


  それを、ユギカザさんは熱心に聞いていた。



  日が落ちて暗くなった頃、俺達六人は黒塗りの隠密馬車(?)に乗って王城を出発した。




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