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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第55話

『ねえ、彼方くん?わたしをストーカーしてたって本当?』


  なんだ、いきなり?

  いや、ストーカーはしてないぞ?あくまで、監視衛星で上空から見ていただけだぞ?生暖かい目でな。


『なんで生暖かい目?ていうか、どこまで見てたの?あれ?わたしのお風呂とかも覗いてたわけ?』


  覗いてないわ!


『そんな必死になって否定しなくても~。見たいんなら、言ってくれればいつだって見せてあげるよ?いっそ、一緒にお風呂入っちゃう?』


  お前……。昔の知り合いの天使とシリアスやってたのは、どこに行ったんだよ?


『ミイナはミイナ、彼方くんは彼方くん!ミイナは今はちょっとあれだけど、基本的に誘えば乗ってくれるはずだしね。だから、今押すべきは彼方くんの方!』


  なんだかなぁ……。


  まあ、さっきのもボロボロにされてたし、ちょっとは気を付けろよ?昔の恋仲だって言っても、何をしてくるかわからないからな?


『ミイナなら、大丈夫だよ。もし、やられたとしても……コンティニューしてでも、クリアする!』


  連コイン連コイン!


『連コインは、駄目!ルールを守って楽しくゲーム!』


  お兄さんとの、約束だぞ?


 ──・──・──・──・──・──・──


『おう、戻ったかフィリップ。あと、なかなか見せ場を作ったみたいだな、カナタ?』


  王城に行くと、その前でアクセル・スピーダーに出迎えられた。


「あはは、色々あってね。……王城を守ってくれて、ありがとうアクセル・スピーダー」

『ん?おいおい、いつまでそんな呼び方してるんだ?……と思ったが、そう言えばちゃんと名乗ってなかったか?俺は、『アクセル・スピーダー・ドラゴン』のストッパー・テラというんだ。これからは、ストッパーと呼べ?』


  アクセル・スピーダーが、改めて名乗ってきた。今までフルネームは知らなかったけど、ストッパー・テラって言うんだ。


「うん。改めて、人間を守る為に戦ってくれてありがとうな、ストッパー」

『はは、お安いご用だ』


  ストッパーが、ニヤリと笑った。

  うん、こいつは気持ちのいいドラゴンだよな。


「あ!カナタだわ!」

「ダブル・ジョーカーさんに乗ってる~。お~い、トオノく~ん」


  城の方から、俺を呼ぶ声がした。見ると王城の前、跳ね橋が降りてくる場所の前に、メィムとリゥム、ヒナギ、ブラックの四人がいた。リゥムが、大きく手を振りながら合図してくれている。


『あ、みんな無事だったみたいだね。お~い!』


  横で、マホが手を振り返していた。


  ダブル・ジョーカーが、王城の前に降下した。ストッパーも、一緒に降りる。


「うわ!マホちゃんもダブル・ジョーカーさんも大丈夫ですか!?」


  血まみれのマホやダブル・ジョーカーを見て、ヒナギやリゥムが心配そうに駆け寄ってきた。


『うん。ちょっと痛いけど、まあ大丈夫』

『我にとっては、かすり傷だ』

「治療してあげたいけど、翼の治療ってどうすればいいのかな?包帯とか巻いても、邪魔だよね?」


  リゥムは、どうしたものかとマホの翼を見つめていた。血を拭ったり薬を塗ったりはできるけど、確かにそれ以上の治療はやりにくい感じだ。精々、ガーゼを当てたり絆創膏を張るくらいだろうか?包帯は、難しそう。


『まあ、大丈夫だから。見た目ほどは、酷くないから』

「本当に?」

『大丈夫大丈夫。でも、心配してくれて嬉しい』

「ダブル・ジョーカーさんは大丈夫でしょうか?」


  ヒナギは、ダブル・ジョーカーに声をかけていた。正直、二十歳にしては全体的に体が小さいヒナギがダブル・ジョーカーの前に立つと、もはや大人と人形レベル程の大きさの違いが見受けられる。


『うむ。心配してくれて、感謝するぞ。だが、我はカードに戻れば完治するので心配はいらぬ。心配ならば、そういう事ができぬクイ……マホを心配してやるといい』


  意外に、マホの呼び名は気を使うんだよな、ダブル・ジョーカー。そして、なんとなくヒナギに対してはダブル・ジョーカーも丁寧な対応をしてる気がする。


「そうなんですね?なら、よかったです」


  ダブル・ジョーカーがすぐに完治する事を知って、ヒナギは心底安心したように安堵の息を吐いていた。


  誰に対しても丁寧で、優しい様子のヒナギ。本当に、いい子だよ。

  そんな子が俺を……、なんてやっぱりおかしいよな?俺かヒナギか、とにかくどっちかが勘違いしているに違いない!多分、俺が聞いたのが幻聴だったんだ。


「カナタは、特に怪我はしてないわね?」


  メィムが、俺に話しかけてきた。


  まあ、俺はほとんどダメージを受けなかったからな。何度も言うが、俺は逃げ回らせたら天下一品なのだ!


「俺はまあ。ただ、あちこち走り回ったからちょっと疲れたけどな?」


  今日一日で、一体何キロ走ったんだろうな?体育の授業で、マラソンが大嫌いだったこの俺が、たいしたものだわ。と、自画自賛。


「勇者との力比べから、ずっと戦ってたものね。ま、お疲れさん」

「ああ。つーか、そう言うお前だって無傷じゃん?」

「あたしはほら、ブラックと一緒だったしさ。リゥムとヒナギは……、あ!あ、あの子達は王城から出てきたばかりで……」


  いきなり、メィムが焦ったように下手な言い訳を始めた。まだ、俺が二人を叱ると考えているのか、こいつは?

  でも、跳ね橋はまだ降りて来てないから意味無いぞ、その言い訳。


「大丈夫だ。……俺は、ちゃんと知ってるから。二人が立派に戦ってきた事も。お前達が、何と戦ってきたのかも、な?」

「え、それって……」


  少しだけ笑って、俺はメィムから離れた。父親の事を軽々しく口にするのはアレだったので、そこをごまかす為だ。

  そうしてやって来たのが、ブラックの前。


「三人を助けて、よく戦ってくれたブラック。ありがとう。最後、逃げられたのだけは惜しかったな」

『僕達の戦いも、お見通しですか。さすがは、マスター』


  ブラックは感心したように言うけど、こっちはただV2ホッパーで覗いてただけなんだけどさ!


「ただ、あの竜巻野郎に対するいい対処方法とかは何かあるか?あいつ、結構無敵の人っぽいからさ」

『無敵の人だと、別の意味になりませんかね?……正直、なかなか難しいですね。唯一弱点だと言えそうなのは直上から突撃する事ですけど、それもピンポイントですしまず空を飛べないといけませんし……』


  ブラックは、返答に困っているようだった。やっぱり、ブラックですらまだ有効な対抗手段は思い付かないらしい。


「お前のカオス・ホール?も、初見だから通用したって所あるしな」

『ええ。……本当に見ていたんですね?あいつはバカだとは思いますが、さすがに次は対応してくると思います。仮にも八武衆とか名乗っておいて、同じ手に引っかかると考えるのはいくらなんでも楽観的すぎるので』

「だよな。……どうしたものか」


  俺は、ため息をついた。


「お!救世主様だ!」

「救世主様のドラゴンもいるぞ!」

「勇者様のサモンドスレイヴも!」

「でけえ……」


  ふと見ると、王城の前に手の空いた兵士達や市民達が集まってきつつあった。さすがに、デカいダブル・ジョーカーやストッパーがいるからか、遠巻きにして見守っている感じだけど。

  芸能人って、こんな感じなのだろうか?


「おー、カナタ!戻ってきてたか!」

『大活躍だったみたいじゃねえか、マスター!』


  ロキヒノと桃浦も、王城前に戻ってきて合流した。


「いきなりラスボスに突撃するとか、やっぱお前はすげえなカナタ!」


  大笑いをしながら、バンバン背中を叩いてくるロキヒノ。だから、お前のそれは結構痛いんだってばよ。


『おう、ハネ公。お前も出てきていたのか?』


  桃浦が、ブラックになぜかガンを飛ばしていた。まあ、ブラックは桃浦が突撃した後に召喚したから、知らなくて当然か。

  でも、なんでガンを飛ばす?


『あはは。センパイも、大活躍だったみたいですね?』

『あ?おうよ!後でたっぷり、俺様の武勇伝を聞かせてやるよ!』


  今回はたくさん戦えたからか、桃浦はご機嫌だった。


「ああ!救世主様と王子様、なんて尊い……」

「救世主様と王子様の間に挟まれたい!」

「萌え~!」


  そして、そこかしこで崩れ落ちている女子が見受けられた。腐媚び、する?


『戻りました、主様』


  俺の後ろに、どこからともなくフウマが現れた。さすが、忍者。気配が、全くと言っていいほど無かったよ。


「ああ、お疲れフウマ。よくやってくれた。お前の働きは、ちゃんと見ていたぞ?」

『ありがたきお言葉』


  フウマが、頭を下げた。


  突然のフウマの登場に、ダブル・ジョーカー以外の全員が驚いていた。


『あら?フウマじゃない。あなた、出てたんだ?』

「うわ、誰!?」

「知らない人だ」

「もしかして、トオノさんの新しいサモンドスレイヴさんですか?」

「お?また、別のカナタのサモンドスレイヴか!?」

『おぅ、カゲトラじゃねえか!お前も出張って来てたのか!』

『フウマ君か……。なるほど、善後策も忘れていなかったというわけだね?さすがは、マスターだ』


  フウマの召喚は、誰にも知らせていなかったからな。知っていたのは、ユギカザさんとダブル・ジョーカーだけ。

  ふふ、サプライズ成功ー♪


『あれも、カナタのサモンドスレイヴか?という事は、カナタはお前を含めて四体召喚しているのか、フィリップ?』

『そうだ。どうだ?我がマスターは意識高いだろう?』


  驚くストッパーに、ドヤ顔で自慢げなダブル・ジョーカー。


『ああ。こいつは、極上の意識の高さだ……』


  ストッパーも、呆然とした様子だ。

  と言うか、「意識高い」って褒め言葉なのか?


  その時、王城の跳ね橋が下がってきた。どうやら、王都の戦闘態勢は解除されたみたいだ。まあ、それでフウマもユギカザさんの護衛を解いて俺の所に戻ってきたんだろう。


「カナタさ~ん!」


  とびっきりの笑顔で、最初にトモヨちゃんが飛び出してきた。彼女は、まだ下りきっていなかった跳ね橋を駆け抜けて、橋からジャンプしてくる。


「うわっ!」


  俺は、慌てて受け止めに行った。何とか、道と橋の境で堀に落ちる前に抱き止める。


「カナタさん♡」

「ちょ、危ないよ!」

「カナタさんが受け止めてくれると信じてました!」


  無邪気にそう言ってくる笑顔はかわいいんだけど、無茶は程々にしてくれないかなトモヨちゃん。正直、いきなりはビビる。



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