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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第54話

 バトル・ファイオー前哨戦、第一回戦の戦いが終了した。


  王都は甚大な被害を受けていたが、ユギカザさんを守り抜く事は成功。人間族は、前哨戦を勝利で終える事ができた。


  んだけど、ちょっとダークネスに喧嘩を売ってみたらなぜか俺が世界の命運を背負わされる事になってしまったぜ!なんで、こんな事になってしまったんだ、俺ー!?


『ほら、そこはヒーローの定めだし』


  お、マホか。お前がここに出てくるのは、なんか珍しいな。


『だって、なんかすっかりトモヨちゃんにヒロインの座を奪われてるし……。そりゃもう、予定に無くても出て来てアピールするしかないでしょ!何だかんだで、わたしが一番彼方くんとの付き合い長いんだよ?』


  お前の場合、だいぶ特殊じゃね?俺にしてみれば、数週間前に会ったばかりだし。


『こっちに来てから会った子達よりはよっぽど長いでしょ!?って言うか、十年一緒なの!もう、幼なじみだよ!わ・た・しが、正ヒロインなの!』


  お、おお……。


  つーか、お前別の女の天使とキャッキャウフフしてたじゃん?


『いや、結構殺し合いみたいになってたんですけど……。キャッキャウフフは、さすがにしてないよ?』


  まあ、そうだけど。お前、まずはあの天使をどうにかした方がいいんじゃないか?


『わかってる。わたしは、どんな事をしてもミイナを取り戻すし、全てを懸けても彼方くんを物にしてみせる!その為に、命燃やすよ!』


  マホル殿ー!


 ──・──・──・──・──・──・──


『ミイナ……。あなた、わたしを助けて……』


  光の柱に包まれたミイナに、マホが声をかける。

  戦いの終盤、ミイナはマホに「逃げて」と言っていた。それは、マホが光の柱に巻き込まれて消されてしまう事を危惧しての事だったらしい。


『……別に。お姉さまとは勝負の最中でしたから、それとは無関係にお姉さまに消えられるのは、私が困っただけなので……』


  顔を背けて、ミイナが答える。何だかんだ言った所で、彼女もマホを消したくは無いのだろう。だからこそ、マホを自軍に引き入れる為に勝負を持ち掛けたのだ。


『ミイナ、あなた……』

 “「人間世界の救世主、カナタ君か」”


  その時、ダークネスが俺の名前を呼んでいた。


『カナタ……。この、人間世界の救世主というのが、お姉さまがご執心の人間カナタとやらですか?』

『あ……、うん。なんか、ダークネスに直接喧嘩売ってるみたいだね?やるなぁ』


  マホが、苦笑していた。


  いきなりダークネスに喧嘩を売っている俺を、マホはどう思ったんだろう?俺、向こうでは自分から喧嘩を売るなんてしない人間だったんだけどな。


『お姉さまを惑わせた挙げ句、ダークネスさまにまで喧嘩を売るとは……。どれだけ、私を不愉快にさせれば気が済むのかしら、この人間は……!』

『別にわたしは惑わされていないし、ダークネスに喧嘩を売るのはわたし達の総意でもあるわ?ダークネスこそ、わたし達をどれだけ不快にさせれば気が済むのよ?』


  マホが、ミイナに反論する。

  ダークネスを否定と肯定。二人の天使は、そこが決定的にすれ違っていた。


『お姉さま……』

『どちらにしても、勝負はお預けね。もし、この先戦いの中で出会う事があれば、勝負の続きをしましょう?次こそ、あなたをわたしの所に戻させるから』


  マホが、ミイナを見据えて宣言した。この二人も、決着が着いていない以上、勝負が次に持ち越しになるわけだ。


『こちらこそ、お姉さまを組み倒して、今度こそ私だけのお姉さまに……』


  ミイナが、ふわりと浮き始めた。これは、彼女の意思とは関係無く、強制送還する為に浮き上がっているようだ。

  二人は、しばらく睨み合っていた。


『……ミイナ。またね?』


  ややあって、マホはにっこりと笑った。


『……!』


  そのマホの笑顔に、ミイナは顔を真っ赤にした。


  結局、ミイナは今でもマホの事を愛しているんだな。でも、ダークネスの事、俺の事、色々あってどうしようもなくなって戦ったのだろう。


『お姉さま、私……!』


  光の柱が消えて、ミイナの最後の言葉は聞こえなかった。


『ミイナ……。ダークネス!』


  ミイナと戦わされる事になって、マホはその怒りをダークネスに向けた。



『……フン。命拾いしましたな、人間族』


  ラビッツが、王城の方を見ながらつぶやいた。王城の方への攻撃に切り替えようとした矢先に光の柱に捕捉されたので、結局ラビッツは攻撃できなかったのだ。


『いや、どう考えても命拾いしたのはお前だろ、ラビッツ?』


  アクセル・スピーダーが、ラビッツにツッコミを入れる。


  実際、光の柱が来なければダブル・ジョーカー&アクセル・スピーダーとの戦いが継続していて、四色の力を使い果たしていたラビッツは倒されていただろう。いくら昔の仲間とはいえ、ダークネスの尖兵になって敵対したんだから、ダブル・ジョーカーだったらあっさり殺してたんじゃないか?


  ちなみに、ダブル・ジョーカーは既に俺の所に向かったのでここには姿は無い。


『く……』

『お前、どうしてダークネスなんかの手下になっているんだ?お前だって、その昔はあいつを嫌っていたじゃないか』


  アクセル・スピーダーが、ラビッツに尋ねる。


  おや、ラビッツも生前はダークネスを嫌っていたのか?それが、サモンドスレイヴになったらなぜか反ダークネス派から親ダークネス派に鞍替えしたわけか。


『……ダークネスは、我らの宿敵龍帝族を滅ぼした恩ありし者。これをもって味方につくのは、不自然ではなかろう?』


  ラビッツは、答えた。確かに、ダブル・ジョーカーに対しても同じ事を言っていたな。それが、ラビッツがダークネス側についた理由なんだな。


『恩ねぇ……。お前、昔はそんな事思ってなかったじゃないか』


  アクセル・スピーダーが、ラビッツの言葉を切って捨ててしまった。

  ダークネスを恩人だと思うのは、生前のラビッツには無い行動なのか?そうなると、何か心境の変化があった理由が?


『……お前、もしかしてカスミの……』

『フン!我らはもはや敵同士!これ以上、交わす言葉など無い!』


  ラビッツも、上空へと移動を始めた。強制送還が開始されたので、会話を打ち切ったのだろう。

  とは、思えなかったな。まるで、「カスミ」って名前に反応したかのよう。


『……言っておくが、次はフィリップも見逃さないぞ?』

『次に会った時こそ、元王もストッパー、あなたも!我が倒してみせましょう!』


  ほぼ捨て台詞を吐いて、ラビッツも消えていった。どこかはわからないけど、ダークネスの本拠地に帰ったのだろう。


『……やれやれ』


  アクセル・スピーダーは、ため息をついた。



「ああ、もう!あと数秒あれば、吹き飛ばせていたのに!」


  すんでの所でラントボルに逃げられたメィム達は、悔しがっていた。


『危なかったギュル!けど、オイラは生き残ったギュルー!』


  逆に、ラントボルは喜んでいた。


『でも、所詮は運が良かっただけ。君と僕の直接対決は、完全に動きを止められた君の負けだね?そしてそれは、僕のマスターの方が優秀だって事でもある』

『ギュルー!そんな事は無いギュル!』

『いやー、尻尾巻いて逃げ帰る時点で、君の負けでしょ?』

『ギュルググ……』


  ラントボルは、ブラックに反論できなくて歯ぎしりをしていた。


『つ、次はオイラが勝つギュル!』

「こっちの台詞よ!次は、絶対に倒してみせる!」

「お父さんの仇は、絶対に取る!」


  逃げ帰ろうとするラントボルに、メィムとリゥムが叫ぶ。


『ヘン!やれるもんならやってみろーギュル!逆に返り討ちにするギュルー!』


  姉妹に舌を見せながら、ラントボルは強制送還されていった。


「なんなのよ、あいつは!」

「すっごいムカつく~!」

「次こそ、みんなで倒しましょう!」


  憤慨する三人を横目に見ながら、ブラックは眉をひそめていた。


『実際、あいつはかなり手強いな……。あいつにもう少し知能があったら、竜巻の方向を逆転されてカオス・ホールも瓦解させられてただろうし。ダークネス八武衆とか言っていたから、あんなのが残り七匹いるわけだ……』


  ブラックは、ハットを目深に被り直した。


『まあ、ウチのマスターはそんなダークネスに思いっきり喧嘩を売る豪気な男みたいだしね。ふふ、それでこそ僕のマスターだ』


  ブラックは、楽しそうに笑った。


  全員に確認を取らずに喧嘩売ったのは悪いと思うけど、結局戦う事に変わりはなかっただろうから、そこは大目に見てくれよな!これからも、頼りにしているぜ!


『さて、君達?王城に戻ろうか?もう、さすがに敵もいなくなっただろうし』


  ブラックが声をかけると、リゥムとヒナギがうなずいた。


「あ、はい!戻りましょう、城に」

「お城の人達は大丈夫でしたでしょうか?とにかく、お城に帰りましょう」

「……何?あんたら城に帰るの?」


  そんな中、なぜかメィムが不思議そうにそんな事を言っていた。それを聞いて、ブラック・リゥム・ヒナギの三人も不思議そうな顔をする。


『いや、そりゃ帰るでしょう城に』

「私達、帰る先は王城しか無いよ?」

「どういう事ですか、メィムちゃん?」


  三人が尋ね返すと、メィムはため息をついて両手を腰に置いた。


「帰る所は、「カナタのいる所」でしょ?」


  苦笑しながら言ったメィムの言葉に、三人があっとなった。


  ああ、あくまで俺が王城にいるから、三人も王城に帰るって事なのな。主体は、王城じゃなくて俺ってわけだ。……それは、多分言葉遊びの類いだぞ?


『確かにそうだ。じゃあ、マスターの所へと帰還しよう』

「うん!トオノくんの所に帰らなきゃ!」

「トオノさんが、待ってくれているでしょうからね」

「そういう事。……まさか、ダークネスに堂々と喧嘩売ってるとは思わなかったけどね」


  ため息混じりに、メィムは笑った。

  いや、ほとんどノリだったんだけどな。まさか、ラスボスにいきなり名前を覚えられる事になるなんて、思ってもなかったよ。


「さすがは、トオノさんです」

「頼もしいよね~」


  お二人さんは、そういう認識ですか。なんか、この二人既に俺が何をやっても全肯定しそうな勢いだな。ただ、駄目な時は駄目って言ってくれな?


「そうかしら……?まあ、『カゼタチイヌ』がダークネスの関係者だってわかった以上、あたしらもあいつについていくしかないんだけどね。ダークネスに喧嘩売った以上、あっちもカナタを狙うでしょうし」


  確かに、ラントボルはダークネスを尊敬というか信奉していそうだったから、喧嘩を売った俺を敵視するかもな。


  あいつには、どう対処すればいいんだろうな……。


「うん。今度こそ、仇を取らなきゃ」

「頑張りましょう」


  三人は、改めて決意したみたいだ。次こそ、親の仇のラントボルを倒すと。


「ブラックにも、期待してるわよ?」

『え?まあ、またその時に召喚されたら頑張るよ?』


  ブラックは、俺が召喚しないと出てこれないからなぁ。まあ、その時の巡りに期待するしかないな!




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