第1章:夜明けⅣ
「あの。ストラウドさん」
「ゼロでいいです。シェイルさん」
「あっ、はい。ゼロさん、どうして私を選んだのですか」
「気が合いそうな人だなあ、と思ったのと直感ですかね」
その答えにシェイルは、首をかしげる。納得できないようなのでゼロは慌てて付け加えた。
「あと、以前どこかで会っていた気がしたので。……俺何言ってんだ」
シェイルはたまらず笑う。
「何となく聞きたくなっただけなので気にしないでください」
その後も二人は、自分の故郷について話したりして少しずつであったがお互いのことを知っていった。
「じゃあ、ゼロさんは両親のことをあまり覚えていないんですね」
ゼロはうなずく。シェイルは辺りを見回し今どこの駅なのか確認する。
「私は次の駅ですが、ゼロさんはどこまで乗るんですか?」
ゼロも今の駅を見て、あと三つ先です、と答える。シェイルは、シュンブル駅で列車を降りた。一人になったゼロは一息つき、何も考えずにぼけっとしていた。するとそこに一番会いたくない者が現れた。
「やあ、ゼロ!」
その声にゼロはすぐさま頭を抱える。
「何でお前がここに居るんだ」
「なんだよ~。そんな言い方はないだろ。なぁ、なぁ、なぁゼロ! 今さっきまで一緒にいた美人とどういう関係なんだよ」
となりの席に座ったアレンがゼロを肘でつく。
「どういう関係って俺のパートナーたが」
アレンは大きく目を見開いた。
「今日、初めて会ったんだろ。あの人は、お前のことを知っていたのか?」
「いいや、初対面だ」
「ならなんで了承してもらったんだぁ。あ~オレも、あんなにカワイイ娘がパートナーになるなら、単独機のパイロット候補生には志願なんてしなかったのに!」
ゼロは急に声を上げる。
「そういうことか、だからお前は別の講義室だったのか」
「ああ、そうとも。オレは一生一人で戦う。お前はいいよなあ。あの娘と、あんなことやこんなことができるなんて」
「なっ。お前何か勘違いしてないか? 人生のパートナーじゃないぞ。アシスタントとしてだ」
アレンは目に涙を浮かべている。
「お前のようなかっこいい男を逃がす女なんていね~よぉ」
「ほら、着いたぞアレン。しっかりしろ、いつものお前はどこに行った」
アレンは下を向いたままであったが、ゼロと一緒に列車から降りた。列車がいなくなっても、
アレンはホームから動こうとしなかった。
「おい、アレン何か他に嫌なことでもあったのか」
アレンはゆっくりと顔を上げた。
「ゼロ、もしかして心配してくれたのか。なぁ、心配してくれたのか」
いつのまにかアレンは悪巧みがうまくいったといわんばかりの顔をしている。
「ハッハッハッハッア」
アレンは腹を抱えて笑い始めた。
「オレがあんなことで悲しむと思ったのかゼ~ロ~」
「お前!」
「そうさゼロ、お前はオレにまんまとだまされたのさ。いい女見つけたからって調子に乗るなよ」
あーばいよ、と手を上げアレンはさっそうと帰っていった。ゼロは二度とアレンを心配しないことを
心に刻み込んだ。家に帰り着いたゼロはシェイルからメールが来ていたのですぐに再生させた。
「えっとゼロさん。明日、もし時間があれば一緒にお買い物にでもいきませんか? お互いをもっと知る機会にもなると思うので。連絡待ってます。……以上です」
特に予定もなかったのでゼロはシェイルにどこで待ち合わせするかを話した後、明日どんな話をしようかと考えながら夕食を口にしていた。ゼロは食べ終わっても考えがまとまらず、悩んでいた。手元の端末で時間を見るとすでに日付が変わっている。渋々ゼロは考えるの止め、一日の疲れを洗い流すと、すぐに眠りに着いた。