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第1章:夜明けⅢ

「あら、ゼロちゃんじゃない。どうしたのそんなに頭を抱えて」



 そう言いながら現れた女性はゼロに注文されてないショートケーキを差し出した。



「ケーキなど頼んだ覚えはないのですが、それにちゃん付けは止めてください。ミングさん」



 ゼロはケーキを押し返す。



「もちろんサービスよ。サービス。まあ、合格祝いだと思って食べなさい。それでさぁ、何を悩んでるのよ」


「べつに大したことではありません」



 ミングは手を叩き、あっ分かったと声を上げる。



「さては、ゼロちゃん恋煩い? 大人になったわねぇ。姉さん、うれしいわ」


「弟になったつもりはありませんし、第一知り合ったのも数日前です」


「もう、そんなことはどうでもいいの。悩み事は何に?」


「アシスタントをどうやって見つけようかと」



 ゼロの応えに悩み始めたミングだったが、急に何かひらめいたかのように顔を上げた。



「あっと、いけない、お客様の御出ましだわ。ということでゼロちゃんごめんね~」



 ミングはスタスタと客の下へと駆けて行ってしまった。おいおいと思いながらゼロは、合格祝いのケーキを口へ運ぶ。


 ふと、カウンター席に座った二人組の若い女性に目を遣る。そのうちの一人と目が合った。気まずく感じたゼロは何となく軽く頭を下げた。するとその女性も軽く頭を下げてきた。


 何になさいますか、という呼び掛けに女性は慌てて顔を声の方向へとやる。ゼロも視線をコーヒーに戻した。どこかで合った気がするのだが、と思いながらもケーキをせっせと口にする。そして、食べ終えるとコーヒーを一気に飲み、テーブルにある受信機に携帯端末を近付け、ピッという音と共に会計をすませた。


 その勢いのまま、ゼロは店を出た。店の出口で何も考えずに突っ立っていたゼロだったが、アレンからお使いを頼まれていたことを思い出し、ショッピングセンターへ足を進めた。


 カフェで女性と目が合ってからのモヤモヤとした気持ちは買い物がすんでも消えることなくゼロの頭の中を漂っている。ゼロはその気持ちに構うことなく、駅に向かい帰りの列車を待っていた。いつもならば混雑する時間帯なのに、駅のホームには数え切れるほどの人数しかいない。珍しいなあ、と辺りを見回す。ふとゼロの目にカフェで会った女性の姿が目に飛び込んできた。


 気がつけばとその女性に声を掛けていた。



「すみません」



 その女性は振り向きセロに気がつく。



「カフェでお会いした方ですよね。どうかしましたか?」



 女性が着ている軍服の肩にアシスタント候補生であることを示す白と黄色のラインが入っていることにゼロは気がつき、質問を投げかけた。



「アシスタント候補生だったのですね。パートナーは、もうお決まりですか?」


「いいえまだ、明日から探そうと思っていたので」


「もしよろしければ、私のパートナーになってくれませんか?」


「私は構いませんが、本当にいいのですか? 今日初めてお会いしたのに」



 少し戸惑いながらも、その女性はゼロのアシスタントになることを了承した。



「そう考えるのが普通ですよね。そういえば、お互いの名前も知らない者同士でしたね。ストラウド・ゼロです。よろしく」



 ゼロは右手を差し出した。女性は微笑み、ゼロと握手をする。



「バイロス・シェイルです。こちらこそよろしくお願いします」



 あっ、といって腕に括り付けてある端末を操作し始める。



「連絡先を教えてもらえますか」



 二人が連絡先を交換した後、列車の訪れを告げるアナウンスが入る。



「まもなく、三番ホームにルメギ行き列車がまいります。危険ですのでシールドパイプ及びホームドアには、手を触れないようお願いします」



 乗車すると、空いている二人掛けの席に座った。







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