第3章:新たな一日の始まりⅦ
「では次に、中量パワードスーツだ。中量はパワードスーツ自体に大きな特徴はないが、幅広い種類の武器が使える。基本武装はシリンダー式ハンドガン、シリンダー式ブレード、リニアレール式大型銃などだ。
最後は、重量パワードスーツ。重量と名づけられているが最高速度は一番速い。主装甲を強化した分だけ、スラスターを強力にしている。エネルギー出力も大きいがとても扱いにくいパワードスーツだ。基本武装はシリンダー式ハンドガン、シリンダー式高出力ブレード、シリンダー式重量銃剣となっている。それでは次は……」
今日、全ての講義が終わりゼロとシェイルは一緒に夕食をレストランで取ることにした。そこは若者に人気のレストランであったが、シェイルが予約をしていたので待たされることなかった。テーブルに並べられた彩り豊かな料理にゼロは早速、口にした。
「ねえ、ゼロ」
「何だ?」
「ゼロって人と話すのが苦手?」
思ってもみなかった質問で、ゼロはステーキを口に運ぶのを止める。テーブルの下で聞き耳を立てていたユオンは、ゼロがどう答えるのかワクワクしていた。因みにユオンはかってに家から出てきて、いつの間にかついて来ていた。
「上手ではない」
「昔からそうだったの?」
食べ物を口にすることが出来ないユオンが、ここぞとばかりに口を開く。
『ああ、その通り。ゼロは友達も少なくて私がいつも話し相手になっていた。子供のころは今よりもっとひどかったぞ。それとゼロ、お前は誰が見ても下手だ』
「ゼロ、一切れあげようか?」
「いいのか」
ありがとう、とゼロはシェイルからステーキをもらう。どうやら二人の心にユオンの声は響かなかったようだ。
『おい! 私の話しを聞け』
二人は笑顔で見つめ合っている。
『無視か? 無視なのか、二人して。どうせ私は、召使いロボットだ』
やっと心にとどいたのか、ゼロが反応した。
「ユオンそれは間違っている」
『ゼロ!』
「お前は軍用犬だ」
ゼロの言葉が何度もユオンの頭の中で繰り返される。ユオンは項垂れ、返す言葉も浮かばない。
「かわいそう」
その言葉にユオンはシェイルのもとに寄る。
「犬なのに吠えれないなんて。だから、ゼロが話し相手になってたんだね」
急に震えだしたユオンをシェイルがやさしく撫でた。