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第3章:新たな一日の始まりⅤ

 再び先程と同じことをして、機体の中央部に触れた。映像が変わり、部屋のようなものに変わる。



「最後に居住区まあ、居住スペースとも呼ばれますが、これについてです。戦闘は一日、二日で一度帰還する時もあれば、1か月、一年も長期に亘って一度も帰還せずに戦い続けたり、単独で長距離を移動することがあります。

そのような場合には、食事をしたり、睡眠が必要になってきます。そこで、戦闘機には居住区が設けられています。居住区には、キッチンやベット、シャワールームなど日常生活において必要なもの全てが備わっています。お世辞にも広いとはいえないスペースですが、不自由は何一つありません」 



 ルミリオンが、はぁ?と思わず声を上げた。そして、そのまま胡散臭そうにライマットを見る。


 ディオネがその光景に堪らず声を潜めた笑った。ユミルが慌てて嗜める。



「おやおや、もうこんな時間ですか。一度休憩を入れます。どうぞ自由にしてください。次もこの場所で時間は予定通りです」


 解散の指示を出した後もルミリオンとライマットは退室せずに睨み合っている。一方、候補生たちは上官が出て行くまで座っていなければならないので誰一人として動こうとしている者はいない。異様な静けさの中、ルミリオンは鼻で笑うと講義室を後にした。


 しばらくして、ライマットも退室し、やっと平穏な空気が戻ってきた。講義室を出る者がぽつぽつ現れたのでゼロとシェイルも出ることにした。


 特に部屋から出た理由は無かったので二人は、廊下の窓から外の様子を窺う。ウォールリンクからは、軍専用の滑走路を戦闘機が行き交いしているのが見え、中にはふらふらしながら、垂直離陸を試みる機体もある。



「やれやれ。あいつは、進歩が無いな」



 いつの間にか、二人の後ろで男性の上官が同じように訓練の様子を見つめていた。二人は慌てて急に現れた上官に敬礼をする。上官は敬礼を返すと講義室に入っていった。





「みな、揃っているようだな」



 先程、敬礼を交わした上官が今日最後の講義を始める。今にしては珍しく白髪頭で顔には深いシワがあった。



「よし。まずは、自己紹介といこうか。私は携行装備について君たちに教える。フェ-バだ。」



 フェーバは教壇ゆっくりと歩きながら講義を進める。



「何か気になることがあればすぐに手を上げてくれ」



ディオネが早速手を上げようとするが、ユミルの太股を抓る攻撃で上げる気が無くなった。フェーバは足を止め、候補生たちを不思議そうな顔で見つめる。



「うん? 毎年、私の容貌を見て質問をする者が一人か二人いるのだが……。まあ、少なからず疑問を抱いている者はいるだろう。私は好きで老化を進めたのではない。薬が利かない体になってしまってな。君達も聞いたことがあるだろう。延命治療の薬に対して抵抗する細胞が出てくる人間が増えてきていることを。見ての通り私はその一人だ」


フェーバは話し終えると再び歩きだした。

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