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少女SS  作者: 野良ノア
1/1

少女+冬とココアと帰り道

初めて公開用で書いてみました。

処女作です。

一応練習の意味も込めて執筆しているので、コメントにて指摘や指南などいただければ幸いです。

真冬の夜闇は足早にやってくる。

委員会の活動で長居していた校舎を後にすると、野外はすっかり夜の色に染まっていた。

だが、星空は見えない。頭上を見上げれば、もくもくと立ち込めた暗雲に月明かりも翳る。

そういえば今朝の天気予報で「今シーズン一番の寒気」だと、アナウンサーが言っていた。

空から舞い落ちるまるで綿毛のような雪の結晶に気がついて、ふと思い出す。

よく見れば、いつもは茶色い学校のグランドも、土肌が染まるぐらいの雪化粧がされていた。

いつもより一層に深い夜闇の中、立ち並ぶ街灯の明かりを渡り歩くように僕らは帰路をゆく。


傍らには美少女がひとり。

美少女――。とは、あまりにも過大評価に思われるかもしれないが、呼び名に負けないぐらいに彼女は可憐だった。

明るすぎない暖色の髪。それは肩ほどまである髪の先まで手入れが行き届いていて、ふんわりとしたボリュームを感じられる。

肌もまた、年頃の女の子にしては一切の荒れ模様を知らない。

雪の白にも負けじと透き通った乳白色の素体に、形の良い鼻梁。優しい曲線を描いた長い睫毛に瑠璃色の大きな瞳が印象強く。綺麗というよりは、愛らしげな童顔だった。


「今日は冷えるね」


歩道側をあるく彼女の小さな歩幅に合わせ、僕らは肩を並べていた。

寒空の下で、誰もいない二人きりの帰り道。今にも指先が触れそうな距離感のなかで、会話を広げようかと声をかけてみる。

――が、


「そうですね……」


素っ気のない少女の返答に会話が続くことはなかった。

こんな状態がしばらく続いている。距離は近いのに、心の距離はやたらと遠い。

冷えきった空気の中でこの静寂は鋭く凍てついて、じりじりと胸のあたりを突っつくようだった。


気まずい――。

思わず引きつった笑い顔を浮かべたまま、流し目で視線だけを少女へ向ける。

視線をおろしたところ、僕の肩よりもすこし下のあたりに人形のような小さな顔はあった。

凍てついた寒さの中、ふっくらとした彼女の頬はほんのりと紅色を帯びて、桜色の唇に縁取られた小さな口元からは白く濁った吐息が漏れる。


彼女の小柄な身体に、この寒さは良く響くようだった。

赤いマフラーで首元を、

ブラウンのコートで身を包む。

その袂から太ももの辺りまである制服のスカートは若干薄生地ではあるけれど、スッと伸びた彼女の足は黒のタイツで覆われていた。

防寒対策はバッチリと言った所だが、小さな肩は小刻みに震えているようだ。

まるで寒気を耐える小動物のようで、憂いを帯びた姿に心情を駆り立てられた僕は駆け出していた。

突然走り出したその姿を見つめ、少し驚いたような素振りを見せる。

そんな少女を背にして少し距離を離し、立ち止まった僕はそそくさと財布を取り出した。


目の前には一台の自動販売機。

財布から取り出したコインを立て続けに入れて、点灯したボタンのライトを指先で右往左往となぞりながら、迷った末に【ココア】を選んだ。


ガコン――。

商品が取り出し口に放り出される頃、後を歩いていた少女が追いついていた。 


「はい」


少女は差し出された缶とこちらの顔を交互に何度か見合わせながら、すこし戸惑った様子を見せていたが、しばらくしてこちらの意図を汲んでくれたようだ。

程よく温まったココアの缶をおずおずと受け取ってくれた彼女は、照れくさそうに視線を伏せる。


「ありがとう……」


軽やかな音を立て、ステイオンタブの封が切れる。

裾先から半分だけ覗かせた両手のひらで包むようにして、手にした缶のフチが少女の口先へと運ばれていく。

柔らかな唇の弾力を伝いながら喉の奥へ、ひとくち。


「あったかい...です」


優しげに目を細めながら、胸を撫で下ろすように深い一息をついた。

彼女のそんな姿を見ていると、こちらもどこか和ませられるようだ。

僕は少女が二口目を口に運ぶのを見届けてから、缶の温もりが離れた掌を口元に当てて、はーっと吐息を吹きかけながら温める。


「……あ、あの」


すこし間を置いてから、声の主の方へ再び視線を向ける。

そこには少女がいた。

冷え切った空気に透き通った視界。

どこまでも見通せそうなものだが、この目が捉えていたのは彼女だけだった。

すぐ横でチカチカと光る自動販売機のネオンさえ霞んでいる。

まるであたりをモザイクで加工して、照らされた少女だけを切り取ったように。

狭く、鮮明な視野の中。

彼女は手にしていたココアの缶をそっと、僕の目の前に差し出していた。


「よ、よろしければ……。いかがですか?」


小首をかしげながら、そう告げる。

ぐっと絞り出した彼女の透き通るような声は若干の動揺を孕んでいて、微かに震えているようで。

頬は先程よりもずっと、淡い紅色に染まっていた。

もっとうまく書きたい。

そして、冬服の女の子って……いいですよね。

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