31お昼休み
「お昼は4人で食べようよ」
昼休みの時間になり、トトがそう提案した。
「……とてもいいと思います」
なれない授業でいっぱいいっぱいで、午前中カルト君とまともに会話ができてなかったリリカは、当然大賛成だ。
「私も……」
そんなリリカをみてると、こちらも負けてはいられないと思う。
私はリリカと見つめ合う。
昨日リリカに言われたことを私はずっと徹夜で考えていた。
確かにリリカの言い分に反論の余地はないと思う。
だって私は本当にカルト君のことをすっかり忘れていたんだから。
だけど今は違う。
今のこの私の好きだという気持ちも、本物なのだ。
だからリリカに遠慮することなく私たちは対等に戦うべきなのだと思ったのだ。
私とカルト君が両想いであろうとリリカが遠慮しないのと、また同様に。
まぁ、結局今まで通り行こうというわけである。
「よ!カルトくん。あっちの屋上でお弁当食べよー」
「あ、うん……」
3人でカルト君のところへ行くとカルト君は何人かの男子たちと一緒に喋っていた。
私たちが近くに寄ると「なんだよー」とかブーイングが聞こえてくる。
「もしかして男の子たちと食べる約束とかしてた?」
「いや、平気だよ」
「そう……」
「よかったです」
リリカも安心したように胸をなでおろした。
考えてみれば別に約束なんてしてなくても、リリカやトトにお昼を誘われるわけだし、きっとそういう意味でのブーイングだったのかな。
「綺麗どころに囲まれてっこのー」
「うわっやめろよ!」
かなりフランクに小突くトトに、内心ちょっぴり驚く。
カルト君も不思議と親しげだ。
「じゃあうちのメイドさんが作ったお弁当あるからみんなで分けて食べよう」
「えぇ」「はい」
私達は屋上に向かった。
「お願いがあります。どうかリリカとお呼びくださいませ」
「へ……?」
唐突にリリカがカルト君に懇願する。 懇願って言うと大げさみたいに思われるかもしれないけど、 祈るように両手を組んでカルト君の方にみをよりだしてる様はまさに懇願だ。
「リリカが嫌ならりっちゃんでもいいですから」
気に入っていたのね。りっちゃん……。
おにぎりのパクつきながら、私はとりあえず様子見することにする。
「確かに同じ学年なのに君呼びかリリカさんなんておかしいよなー」
「そ……、そうかな?」
「そうだよトリーちゃんトトさんリリカさんってさ!」
卵焼きを口にくわえたトトが文句を言う。
……っていうかトトも不満だったの?
「わ、わかったよ。じゃあ……」
カルト君がリリカを見つめる。
「リリカ……」
「はい……」
うっとりしながら返事をするリリカ。
「これからは、そう呼んでくださいましね」
「う、うん。あ、あとトト」
「なんで私だけついでみたいなんだよっ!」
カルト君てば、トトと話しやすそうだなぁ……。
「……あ」
私はそういえばと口にする。
「カルト君って今どこのホテルに住んでるの?ほら、ここってたくさんホテルあるから……」
「おっ、夜這いでもすんの?」
「トトは黙ってなさい!」
「ははっ」と笑うカルト君。
「そういえば聞き忘れてたんだけど、今夜あたりからトリーちゃんちに下宿させてもらってもいいかな?」
「え?」「まぁ?」
「ほら、宿代とかもったいないから……」
「カルト君……」
きっと、本当はそういう理由ではないんだろうと思う。
おそらく夜中に敵が来た時のことを心配して……。
「おぉ!カルト君大胆だね」
「……」
確かに理由がわからなければかなりの大胆発言ということになるな。カルト君は少し赤くなって困っていた。
「……私は構わないわ」
「私もです」
けど理由を知っている私たちはもちろん2つ返事だ。最もリリカなら知らなくてもそうだろうけど。
そういうわけで今日からカルト君は家に泊まることになったのだった。
「いいなー私も泊まりに来ようかなー」
「……今度ね」




