28トト宅へ泊まろう
あれからカルト君は自宅に帰り、私は約束通りリリカとトトの家に泊まることにした。
「いやー、びっくりしたよ。急にトリィのとこに行くーとか言うもんだからさ」
ご機嫌で酒瓶をもってケタケタ笑うトト。
トトってば私とリリカを待っている間にすっかり出来上がってしまった様だ。もぅ。もともと時々夜中に晩酌するとは知っていたけど……。
「トト。お酒は校則で禁止されてるでしょ」
「なんだよー良いじゃん別にぃ! 村的にはオーケーな年齢だしぃ! それにこれ果実酒だし! 」
「お酒の種類は関係ないでしょ……」
「──はい、リリカちゃん。風船だよぉ」
その声を聞きつけるやいなやトトのうちのメイドさんが次々と部屋に入ってきて、(トトの家にはあたりあえのようにメイドさんが何人もいるのだ)無言でリリカに風船を渡す。なんだかもう凄い量になってきている。
「トト、酔うと手近に有るものを何でもあげちゃう癖は、良くないと思うわよ」
「だーってこの間家でパーティーしたから、風船たくさん余ってるしぃ、リリカちゃんとっても可愛いんだもん。──って言うかさっきね、リリカちゃんがすっごいキラキラした目で欲しそうにしてたからさぁ」
「だからってこれ以上あげたら、リリカが浮いてしまいかねないわよ」
……まったく、あの風船はリリカの魔法とかではなく、トトのせいだったのね。
「…………っ」
トトの家に戻ってからのリリカは一言もしゃべらずに、さっきから借りてきた猫のように縮こまっている。
……やっぱり、本当に人見知りが激しいみたいだ。……単にリリカにとってトトが苦手なタイプなだけかもしれないけども。
……何だか今のリリカを見てると、小さい頃の自分を思い出してしまう。私達に付いてきたのも、ひょっとしたらトトと二人きりなのが気まずかったからなのかもしれない。
「──そうだ! トト。実は、折り入ってお願いがあるんだけど……」
私はあることを思い出し、ぽんと両手を叩き合わせる。
「んぅ? 」
トトは冷蔵庫に向かう歩みを止め、こちらの方に向いた。
「実はね──
明日から、リリカを私達の学校に転入させて欲しいの! 」
と、私は縮こまっているリリカの両肩を掴み、ずいっとトトの方に突きだした。
「…………へぇ……」
トトは何故か感心したような声をあげた。
リリカは、口をぱかぱかさせながら黙っている。多分本当はちょっと尻込みしているのだろうけど、カルト君との約束したのもあって、断るのを我慢しているみたいだ。
「ん、わかった」
トトは幸いにも二つ返事で承諾してくれた。
「──んじゃちょっと父さんに電話してみるね。
まぁ間違いなくオッケーだよ。父さんトリィのこと可愛いっていつも言ってるし、何より私に頭上がらないから」
……可愛いなんて言われてたんだ。……ちょっと照れる。
「じゃ、ちょっと待ってて」
そう言ってトトは隣の部屋に移った。
「──オッケーだって」
で、一分もしないうちにブイサインをして戻ってくる──どうやらトトのお父さんも、二つ返事の様だった。
「──有難う! トト! 」
「いいってことよ! 」
胸を張るトト。本当、トトは酔っ払っててもいざという時頼りになるんだから……。
「まぁ、私もリリカちゃんと学校通いたかったしね。ほら、私って美人好きだし」
「トトだって相当な美人じゃないの……」
トトはけらけらと笑う。冗談と受けとってるみたいだけど、私は本気なのになぁ……。
「そういうわけで、明日っからクラスメイトとして宜しく、リリカちゃん。さっきも言ったけど、私はトト。──改めて、握手しよ! 」
「……えぇ、リリカです。リリカで良いですわ」
そして2人は握手を交わした。




