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彼女の歌は今宵も響く
ねぇ、歌って。
ねぇ、笑って。
ねぇ、本当に覚えてないの?
♪
夜なのに明るい この街が
ぼやけて見える
今夜で僕の明日が変わる
選ぶことなんて望んでなかった
この僕になんて重いものを持たせたんだ
心が霞んでく 周りが輝いて見えて
きっとって いつかって
自分を責め続けて
大丈夫なんて 嘘をついて
ずっと生きてきたんだ
僕は
きっと輝けるって
意味のなかったことなんて
きっとないはずなのに
どこへ どこへ 明日はどこへ
もうすぐ夜中の1時。
駅前の小さな噴水に腰をかけて彼女は今日もギターと歌っていた。
僕は勝手に彼女を歌姫だと思っている。
ただの通りすがりな僕のことを、彼女は知らない。
彼女は毎日ここで歌を響かせ、僕は毎日遠くで耳を傾けている。
どんなに眠くても疲れていても、何故かこの声を求めてしまうんだ。