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魔王が勇者〜勇者育成所始めました〜 作者:早坂器乃
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05勇者vsカーニャ

キサラギとの対決?!無力なカーニャに勝ち目は?!
『逃げよう!!』


(うん、できるだけ、逃げよう。ここから逃げよう)


 広い庭園、目の前には勇者が1人。
 そしてここは魔界ではなく、人界の…それも王都。
 王都には、それこそ勇者と呼ばれる人間がたくさんいる。
 ここはそういう場所。


(もし、万一の事態になっても、マオ様のことだ、きっと何事も無く逃げる。
 それなら、せめて、私がおとりになってマオ様が安全に逃げられるだけの時間を稼がなくちゃ!!)


(あんなんでも、私の主だし、父様母様の仕える魔王様だし)

 カーニャは目的を整理した。
 一番は、マオを安全に逃がすこと。
 それには、カーニャがおとりになって逃げること。
 ここで勇者を倒すのではなく、逃げることを最優先に考えた結果の作戦。


(…それに、下手に立ち向かって、私がここで捕まって、足手まといになっちゃたらそれこそ大変だしね)




(それよりも―――、
 まずは、魔族調査かどうか、それとな〜く、それとな〜く 聞いてみて…)


「え〜と、それで、調査って何の…、」
(どうせ、相手は劣る人間だし。勇者っていっても、所詮は人間だし。)
 どうやらカーニャの中では、魔族>人間 の絶対的優勢論が確立されているらしい。

 それにいざとなったら、『姿に戻って、飛んで逃げればいいや』などと考えながら、平静を装い、キサラギに聞き返そうと顔を合わせた時、





「―――――!!」





 冷たい、痛い、肌を刺すような痛みの風。
 日中の日差しを浴びていたはずの外気は冷たさを増し、ひょぉーとキサラギから凍るような風がカーニャに向かう。

(―――――えっ!!)


 キサラギの表情が変わった。獲物をとらえた、勇者のその表情に豹変する。先程までうららかな春を湛えていたはずの空色の瞳は、極寒の氷のように冷たさを帯び、そして、今まで見せていた、無害な笑顔は…、そこには無かった。


(―――――は!!
 違った、違ったんだ!!
 …目的はマオ様じゃないのかもしれない。私!…この勇者は私を初めから狙っていた?!)


 チャリ―――
 腰に携えていた剣に手を添え、居合いの構えに入る。



(わーわーわー… 、剣でグサっ! その腰の剣で?!…魔族調査とおりこして、戦闘開始?!)


 キサラギは、注意深く様子を伺っている。低く構え、すうーっと腰の剣をゆっくりと抜いていく。キサラギの愛用の白金しろがねの剣。きらびやかな装飾など無い質素な造りの剣。けれど、その飾りの無さがその剣自体の美しさを際出させているように見えた。


 カチャリ―――


 抜き終えた剣をまっすぐに構え。さらに獲物を確実に捉えようと剣先をわずかに動かす。太陽の光がキラリと反射し、その光の反射は確実にカーニャを追い詰めていく。そのキサラギの無言の構えは、

『完全に、お前の正体は判っている!お前を退治する!!』

と語っているのだとカーニャは思った。


(……あれだよね、これは、あれだよね?!もとの姿に戻って、飛んで逃げちゃっていいパターンだよね?)


 ―――カーニャには自信があった。この勇者から逃げ切るだけの自信があった。それは、人間のちゃっちい体力に魔族が負けるはずは無いという、魔族特有の優越意識。それに加えカーニャには一族特有の、回復能力も備わっている。傷がすぐに治るように、体力回復も並の魔族をしのぐ程である。だから、何時間でも、何日でも逃げ続けるだけの自信が有る。


 「…………」
 カーニャはいよいよ覚悟を決め、逃げる準備をしようと、左足を少し後ろに下げた。




「動くな!!」

 しかし、その動きはキサラギの言葉で制止された。強く言い放つ言葉に殺気が乗る。



 剣で切られても、傷なら治る。けど、切られればきっと痛い。
(…痛いのは嫌だよ。普通に考えて嫌だよ。それに、痛みで動けなくなっちゃって、捕虜って感じになっちゃうと、マオ様の足手まといの可能性大だし)

 それに、あの剣には対魔族用の何かしらの仕掛けが施されているかもしれないと、カーニャは心配していた。勇者の使う剣だ、用心に越した事はなかった。


(…このまま魔族の姿に戻っても、逃げる前にグサって、可能性もあるよね。…少しの間でもいいから、この勇者の注意をそらせなくっちゃ)



「………」
 キサラギは未だ、動く気配は無いようだ。カーニャの動向を測るかのように停止してる。
 丁度、眼鏡に太陽の光が反射し、表情を伺うことはできないが、きっと鋭くこちらを見据えているに違いない。


(そうだ、昔母様が言っていた…。
 ―――獣は火を怖がるって。火を目の前にすると、すべての獣が逃げるって。だから火を操る父様はとっても偉いんだって。―――

 …だったら、人間も同じ動物、人間も火を怖がる…。本能が怖がる、だから一瞬怯ひるむ。だったら、そのひるんだすきを突いて、逃げるのが一番安全だよね。)
 と、多少の恐怖は感じながらも、それでも考えるだけの余裕まだ持っていた。

 
(…魔法は得意じゃないんだけど…)
 カーニャには魔力は確かにある、けれどその魔力を上手に制御できない。だから、魔法は得意ではなかった。


(…父様みたいに、街1つ簡単に燃やす火炎は吐けないけど…、
 それでも、それでも、私は父様の子、
 父様みたいに大きな炎は無理でも、小さな炎ぐらいなら!)


「………」


(思い出せ、父様に習った、火を吐く方法、
 ええっと、う〜んと。え〜と…。)


 カーニャは大きく息を吸い込み、体中の魔力を腹に集中させる、

 その口から入れた空気を体内すべてに回し、魔力をその空気に絡め、お腹で丸く丸く玉のように集めるイメージ、そしてそれをさらに小さく小さく飴玉のように小さくさせ、それを高熱をイメージして
 一気に吐き出す―――!


(きっと私が使う技だ、大した威力も無いと思う。小さな炎がでる程度。でも、それでもいい、それでだって、この勇者は一瞬ひるむはず…。)


 父様と同じように、炎を吐き出せ!
 火を吐く、火を吐く、火を吐け! 私の口、火を吐け―――!!!!!




「――――はっ!!」



 しかし、先に動いたのはキサラギだった。疾風しっぷうの如く、キサラギはカーニャとの間合いをつめ、

「ふんっ!!」
 カーニャの頭上で空を切る。空中に舞う風の刃。


 一瞬、白いマントが目の前を横切ったが、既にカーニャの視界からキサラギは消えていた。
 キサラギは右足に力を込め勢い良く跳躍し、カーニャの後ろに飛び込み剣を振るう。


「きゃっ…」
痛い、痛い!!切られた!!とカーニャは感じた。それど、そう感じただけで、実際に痛みは本当は無かった。


『ぼたぼた、ぼた…』
 と、何かが地面に落ちた――――。


(あれ?切られていない?あれ―――?)
 何が起こったのか瞬時に理解できずにいた。けれど、後ろを振り返るろうと思うには遅すぎた、
 お腹がぐるぐるする―――



「ふう〜…、危なかった…。魔蜂だよ。最近、王都にも入ってきたみたいだね。これに刺されると、」
 と言って、白いマントをひらりとなびかせ、キサラギが安堵あんどの声を漏らした時、


『ぼぅ、ごごごごごーーー!!!!』


キサラギの後方で音がした、
(ごごごご?…何の音だろう?魔蜂は今倒したし)と、キサラギは思いながら、カーニャを案じ振り返る。




「ええ?!何で燃えてるの?!」
 後方の木々には、炎。今までそこには、確かに立派な庭園があった。

 緑の芝生に
 青々と生い茂る木々
 沿道には、低く刈り取られた垣根。

 …だが、それらはすべて炎に包まれ…



 そして、もっと驚くべきことに、その炎を噴出させているのは、今さっき魔物から守ったはずの少女。
 それも、少女の口から、出ていたようだ。大きな口を開けて、その口の中から炎の帯が消えていくのが、見えた。

「何でこの子、口から火炎吹いてるの?!」
 と、驚くキサラギ以上に、驚いているのは、カーニャ自身。


「ええええええ?!(あれ?何これ?何これ?)」
「――――――――えええっ!!!!!」


 思った以上の火炎の量。というよりも、地獄の業火ごうかのような光景に唖然あぜんとするカーニャ。
 燃えるウサギ(の形に刈り取られた木)やキリン達…。もはや、それらは原型をとどめておらず、猛火に覆われていた。


「あわわわわわ…」

■カーニャの魔法 火炎
初期設定では、キサラギとの対決も無く、魔法も使えない設定でしたが、使えた方が魔っぽいかな?ということで、火炎設定追加。
+カーニャのできる事は、浮遊(飛ぶ)ぐらいです。
そのうち、魔法のスティック(おもちゃ)マオに買ってもらって、装備でしょうか(笑)

狐の森
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「魔王が勇者育てました(仮)」経営ゲーム作成中です

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