第三話~ステータスは最低で固定らしいです~
僕は何も考えずにそのミカンみたいな物体に近づいていった。
そして、それを丁度拾ったとき、前から木の枝が襲ってくるのに気づいた。
ウサギさんの攻撃より遅いはずの攻撃に対して、ろくな抵抗もできず吹き飛ばされる。だが結果として、それが僕を助けた。
木の化け物は追撃をしかけていた。
あのまま、あそこにいたら、捕まって動けなくなっていただろう。
木の化け物が怪訝そうな顔で僕を見てる。
吹き飛ばされた僕は結界の中でうずくまった。
大丈夫、今朝ウサギさんに蹴られたときに比べたら大したたことはない。
hpだって20くらいしか減っていない。とりあえずは安心だ。
木の化け物が結界の中に入ってこないのを確認して、落ち着いた僕はやっと余裕を取り戻した。
化け物はウオー、オーと声をあげている。
〈マスター、大丈夫ですか?落ち着きましたか?〉
うん、大丈夫。ウサギさんがあれだけ蹴って壊れなかったんだから、それより弱いあれがこっちに来ることはない。
〈鑑定してみました。あれはトレントという魔物です。植物に擬態していますが、れっきとした生き物です。〉
それがどうかしたの?
〈いえ、マスターが持ち込んだそれがトレントの幼体だということなのですが。〉
はぁ!?
慌てる僕にセカさんは鑑定結果を見せてきた。
レッサートレント lv1
魔物のレベルが見えるようになってる。
lv1ってことは生まれたてってことだよね。木の実にしか見えないけど・・・。
これなら簡単に倒せるんじゃない?
これが僕の初戦闘かと思いつつ(ウサギさん?あれを戦闘とは言わない。)そこら辺に落ちている石を拾って木の実に叩きつけた。
見事、木の実はグチャっとつぶれ……ないですね。
あれおかしいな。何でだろ。
〈今は、そんなこと考えてる場合じゃないですよ!
反撃がきます!〉
木の実がパカッと開くと中から木の枝が伸びてくる。
親トレントのそれより遅い攻撃をよけ、枝を折ろうとしてみる。
うぐっ、案外堅い。日本の木とは全然違うね。
それでも余裕は崩れない。相手の攻撃手段は枝一本。
それを抑えている以上、こいつに勝ち目はない!
トレントが僕の手を振り払おうと暴れまわる。
僕はそれをさせないように全力で抑える。
いつまでも続くかと思った膠着はあっさりと破られた。
〈マスター!まずいです!レッサートレントがレベルアップしました!〉
焦ったようなセカさんの声が響き、トレントから二本目の枝が伸びてきた。
不意を打たれた僕は反応できず、その攻撃を思いっきりくらった。
さっきよりも力が増しているような気がする。吹き飛ばされることはなかったが、一瞬力が緩んだ。その隙に抑えていた枝が離れる。
やばいね、一本でもきつかったのに、二本に増えて、おまけとばかりにパワーアップだなんて。
いや、待てよ。レベルアップがあったとはいえ、まだ力では上回っているんだ。枝が二本あるっていったって、こっちも二本の腕がある。
条件ではこっちが有利なんだ。
今までやってきたのは素人が相手の腕を力任せに折ろうとしていたようなもの。
ちゃんと急所に攻撃をいれないとダメージにはならないのは当然じゃないか。
戦闘中にレベルが上がった理由は分からないけど、これ以上あがる前にやるしかない!
僕はこれまでのように攻めを待つのではなく、こちらから打って出た。目指すのは本体、あの木の実だ!
こちらの意図に気づいたのか近寄らせないように二本の枝を振るレッサートレント。
回避はしない。
「人間を、なめんなぁ!」
両側から、近づいてくる二つの枝をそれぞれの腕で受け止め、レッサートレントに近づく。
相手は枝が二本、こちらも腕が二本。
だけど、こっちにはもう一つの攻撃手段、足が残っている!
木の実の部分を思いっきり踏みつけると、ピギャー!!!という悲鳴を上げ枝から力が抜けた。
「やったか!?」
〈それはフラグですよ。〉
セカさんはちょっと黙ってて。今、真面目なところだから。
ピコンッ
【レベルが上がりました。】
【種族スキル『木のふり』を獲得しました。】
どうやら勝ったぽいな。
〈過程はともかく、お疲れさまです。ぶっちゃけ、枝が一本のうちに柔らかい本体狙えば楽勝だったんですけどね。〉
いいんだよ。勝った、という結果があれば。
ところで…あれ、食べられるかな?
〈えっ、あんなグチャグチャに踏み潰したやつを食べるんですか!?
やめましょうよー。もっとおいしいもの食べましょうよ。〉
そんなものある?ないから苦労してるんだけど?
〈そうでしたねー。なら、何も食べなければいいんですよ!〉
それは無理。お腹減ってて限界。
というかセカさんには関係なくない?
〈いえ、マスターとは感覚が繋がってますから痛い物は痛いですし、まずい物はまずいのです。〉
一応鑑定してっと。
〈無視ですか!?〉
ピコンッ
【鑑定のレベルがあがりました。】
おっラッキー。どれどれ。
トレントの実 食用可 品質は劣悪
効果不明
食用可って鑑定も言ってるし大丈夫でしょ。
いただきまーす。
ふむふむ、これは・・・なんか苦いけど普通のみかんだ。期待はずれだなー。もぐもぐっ!?
〈マスター!マスター!どうしたんですか!?〉
意識が遠のいてい……。
ドサリ、と音を立てて僕は倒れた。
◆ ◆ ◆
目を覚ますと真っ暗だった。
ナニコレ!?どういうこと!?
〈やっと起きましたか。変なもん食べたりするからですよ。これに懲りたら反省してください。〉
確かトレントの実(グチャグチャ状態)を食べたら気を失ったんだっけ。
何でこんなことになったんだろう。理由がさっぱりわからないや。
〈何でもなにも一つしかないと思いますが……。〉
いや、食べるだけで気絶するなんてそんなファンタジーなこと起こるわけ……ファンタジーな世界でしたね、ココ。
なかなか地球の感覚が抜けないなぁ。
〈一応原因を言っておきますと、トレントの実を食べることによるmpの枯渇による気絶ですね。
トレントの実にはmpを散らす効果があるみたいです。
毒とかじゃないから後遺症とかもないですよ。〉
食べるだけでmpを減らす果物か・・・武器とかに利用できないかね。
〈あなたは、戦闘中に敵から差し出されたものを食べるんですか?
毒を盛るにしてももっとばれにくくて即効性のあるものの方がいいですよ。
mpが減るといっても大した量じゃないですから。〉
そんなこと知ってたっけ?妙に知識が増えてる気がする。
〈あなたのレベルが上がった際に、スキルのロックが外れて世界知識がlv2になりましたが、関係ないです。
少し考えれば分かるでしょう!〉
あー、そういえば、レベルアップしたんだっけ。
でてこい、ステータス!
ショータ アカサキ lv2
hp100 mp100
sp100
atk10 def10
int10 min10
dex10 agi10
残りポイント 2p
種族 不明
性別 不明
種族スキル 不明 木の振り
有効スキル
鑑定lv8
少し対象のことが分かるようになった
スキル奪取lv1
対象を殺した際、対象が保有するスキルを
ランダムに一つ、熟練度を無効にして奪う。
セカンドブレインlv2(通称 セカさん)
スキルの処理を補佐する。
非実体系統のスキルをまとめることができる
▽世界知識lv2
・・・。
「・・・。」
何でステータスが変わってないの!?
〈思うに、種族スキル『不明』のせいでは。〉
えっそれスキルだったの!?鑑定っと。
種族スキル『不明』
種族『不明』へと与えられるスキル。
効果は個体ごとに違う。
この場合は、ステータス固定、スキル能動
獲得不可、スキルロック、全魔物要素 の
4つ
・ステータス固定
初期ステータスから変動しない。
・スキル能動獲得不可
行動によってスキルを獲得することが
できない。
・スキルロック
ユニークスキルを除いたスキルの熟練度を
得ることができない。
・全魔物要素
この世に存在する全ての生き物の要素を持つ。
これはひどい・・・。レベルアップの恩恵が皆無だ。
神様の言ってたデメリットってことか。
そんなぶっ壊れスキルもらったっけ?
いや、残りポイントって書かれた部分が増えてる。
これはRPGでよくあるポイント割り振り制って奴でしょ。
これがあれば、全くステータスが上がらないなんてことはないはず。
〈ポイントはレベルアップごとに1ポイント。
atk、intは1ポイントごとに3、
def、min、dexは1ポイントごとに2
agiは1ポイントごとに1、上昇します。
ですが・・・〉
とりあえずatkに振ってみるか
〈マスターの場合ステータス固定によって振ることができないかと思われます。〉
ピコンッ
【ステータス固定により、ステータスの上昇は禁止されています。】
コンチクショウー!!
いくらスキルがあってもそこら辺のベイビーと同じくらいのステータスでどうやって生きていけと。
それともあれかな、人間ってのはそんなに弱いのかな?
〈世界知識曰わく、平均的な人族のステータスは成人時で100ということです。
・・・さらに加えるとこの世界ではステータスは能力と比例します。〉
するとどういうこと?
〈agiが100の生物はマスターの十倍早く動けます。〉
おぅふ。
〈つまりマスターのステータスだとlv2~3くらいの相手しかステータスでは勝てません。〉
神様、どうやって僕は生きていけばよいのでしょう。
スキルチートが最強とか言ってた頃の僕を殴りたい。
そう言えば、種族とか性別とかの不明もなんかあるのかね。
種族『不明』
過去現在未来含めても存在するはずのない、
神の悪ふざけによって生まれた種族。
種族スキル『不明』を獲得する。
性別『不明』
男でも女でもなく、男でも女でもある。
どうとらえるかはあなた次第。
そこまで重要そうなことは書いてないね。良かった良かった。
〈さて、マスター。そろそろ現実逃避から帰ってきてください。こればどうにかしないとまずいですよ。
なんで朝の七時なのにこんなに暗いと思ってるんですか。〉
そんなこと言わなくても異常だって分かってるよ。
というか見れば分かる。
結界のおかげで中には入ってこないけど、四方全て、ついでに空まで、昨日戦った幼体とは比べものにならないくらい大きなトレントがびっしりと張り付いていることなんて。
右を見る。なんか結界に枝を叩きつけている。
左を見る。じっとこちらを見つめている。
前を見る。空中に魔法陣っぽいものが描かれて、葉っぱが飛んできている。
どうしてこうなったんだろう。
〈マスターがトレントの子供を殺したからでは?〉
それだけでこんな一族郎党総出で殴りに来るかね?
〈さあ、としか。子供を大切にするタイプなんじゃないですかね?〉
のんびりと暮らしたいだけなんだけどなぁ。
それにしても、魔法って初めて見るね。話には聞いてたけど、本当にあるんだね。
ちなみに全部結界で弾かれてるよ。
結界は万能だね。
セカさん、こう見るだけで解析とかできないの?
そうすれば魔法使ってこの状況もなんとかなるかも。
〈解析自体はできてますよ。ただ、再現は不可能です。〉
なんで?
〈魔法は魔法陣に魔力を通すことで発動するらしいです。マスターは『魔力操作』や『~魔法』といったスキルをもっておらず、獲得もできないため、魔法が発動できないのです。〉
この世界は僕に厳しいなぁ!
取得はできない、レベルも上げれないって、デメリットきつすぎない!?
うん?なんで鑑定はレベルあがってるの?
〈『鑑定』はユニークスキル扱いですよ?
世界で二人目とか言ってたじゃないですか。〉
なら今日は鑑定のレベル上げかなぁ。目指せ、鑑定チート!
現在スキル上げ中……
ピコンッ
【鑑定のレベルがあがりました。】
やっとこさ上がったか。これで、レベルは11だ。
10以降、上がりづらくなったなぁ。
そうそう、レベルも3に上がったよ。どうやら魔物を狩るだけじゃなくてスキルを使うことでも経験値を獲得できるようだね。
トレントのレベルがあがったのもこれのせいっぽい。
あと、鑑定が10になったときに、ステータスが見えるようになったよ。
トレント(激おこ) lv20
hp 1350
トレント(激おこ) lv18
hp 1230
・
・
・
大したことは分からないね。鑑定無双までは遠い。
一つ分かったのはあいつらは僕の十倍以上のステータスを持っていること。
うん、勝ち目がないね。
どうしようかなぁ、と途方にくれていた僕はステータスあがってないかな~、みたいなことを思いながら自分のステータスを確認していた。
ああ、そうだ。一応細かいところを確認しておこう。
ねえ、セカさん、非実体系統のスキルをまとめるってどういうこと?
〈ちっ、気づきやがった〉
セカさん!?
〈はい、なんでしょう?〉
いや、なんでしょう?じゃないよ!今舌打ちしたよね!?
〈何のことか分かりませんね。ああ、非実体系統のスキルとは世界知識みたいに実体には影響しないスキルですね。おそらく魔法系のスキルも含まれるかと。〉
まとめると何かいいことあるの?
〈スキルの効率化かまできますね。それに伴いsp、mpの消費を抑えることができます。〉
・・・それだけ?ホントに?
〈・・・ホ、ホントですよ?〉
正直に話してみよう?別に何もしないから。(怒)
〈(ガクブルガクブル)はっ、はいっ。私が管理するスキルは私の方からも使用できるようになりますです!はいっ!〉
ふーん、まあ、大した問題ではなさそうだな。
〈ほっ。〉
ところでさぁ、非実体系統ってことはさぁ、鑑定もだよね?
〈(ビクッ)〉
・・・O・H・A・N・A・S・Iしようか?
時間はたっぷりあるもんねぇ。
〈マスター、これだけは言わせてください。〉
聞いてやろう。
〈正直、働いたら負けd何でもないです申し訳ありません!〉
◆ ◆ ◆
恐ろしい夜が明け、朝がやってきました。本日の犠牲者は・・・
〈いやっ、死んでませんから!ピンピンしてますから!〉
〈というかマスターには余裕があるんですか?絶賛人生詰みゲー真っ只中ですよね?〉
うん、むしろ一周回って余裕だね。(目を逸らしつつ)
〈マスター、現実を見ましょう。〉
いやよっ。だって増えてるんですもの!もう、どうしようもありませんわっ!
〈気持ち悪いです。やめてください。〉
バッサリ切られた!?いや、自分でもないとは思うけどさぁ。
少しはのってくれても、いいんだよ?だよ?
〈一晩たって減るどころかむしろ増えてるあいつらをなんとかしてからなら考えます。〉
結界の外を見る。
そこにはさらに十体ほど増えて二十体を超える数のトレントが。
・・・僕の人生はここまでのようだ。もし、次があるなら今度はちゃんとしたチートをもらうんだ・・・。
完
〈いやいやいやっ、終わりませんからね!?〉
うるさいなぁ。この状況がどうなるかとしたら、実力はあるけど女ってせいで認められない美少女な冒険者が、たまたま見かけた僕を放っておけなくて助けてくれて、「別に、お前の為じゃないからなっ。」とか言いつつも街についたあとも色々と助けてくれて、最終的にはラブコメになる、位のことがないと無理だよ。
〈色々盛りすぎですっ!しかも別にラブコメする必要も、ツンデレする必要も、そもそも女じゃなくたっていいじゃないですかっ!〉
いいんだよ、そもそもこんなタイミングで助けがくるようなご都合主義が起こるワケな「GYAAAAA!!!」何だっ?フラグ回収か?美少女カモンッ!
そいつは十を超えるトレントを切り捨て、トレントの攻撃を華麗なステップで回避し、戦場を縦横無尽に駆け巡る!
その正体は・・・うさぎさんだっ!
目の前で何が起こってるのか理解できない。
信じられるか?うさぎさんが何もないところを蹴るとそこから鎌鼬が発生してるんだよ。あれはS○9の嵐脚か!?
この世界のうさぎさんは六式をマスターしてるらしい。
「悪いが四刀(耳も含めて)だぴょん」とか言ってくれないかな。
哀れトレント達は木材となっていくのだ・・・。
三分くらいで殲滅は終わった。
一度言っておこう。奴らは僕の十倍くらい強い。そして20体くらいいた。
つまりうさぎさんは僕の二百倍は強い。
かないっこ無いわけですよ。
何が言いたいのかって?要するにこうして地面に頭を擦り付けているのは間違ってないってことだよ。
ふと顔を上げてみた。うさぎさんと目があった。
おっと、土下座土下座。
・・・。
・・・・・・。
フンッ。
おおう、うさぎさんに鼻で笑われたよ。
そのままくるりと後ろを向いてどこかへと去っていった。
「お前みたいな雑魚は求めてねぇんだ。さっさと帰んな。」というヤクザの親分みたいな感じだ。
めっちゃかっこいい。
アニキ!アニキと呼んでもいいですか!
それはともかく・・・お腹減った。
・・・この森でお肉に出会うのは無理っぽそうだから木の実でも採ってこよう。
1日たった。
この森も案外普通だということが分かった。
運良くクルミとドングリを見つけられたのは良かったね。さすがに草じゃお腹が膨れないし。
鑑定が大活躍だった。食べれるかどうかが分かるだけでも十分ありがたい。
それに、ここら辺にはあんまり魔物はいないようだった。うん、なんであんなにトレントはいたんだろうって、不思議になるくらい何もいなかった。
小さい虫とかならいたんだけどね。
セカさんは今、忙しそうにしている。
昨日食べた食事に愕然とし、必死においしそうなものを探してる。どうやら気に入ったようだ。
〈マスター、ふざけたこと言ってると○○しますよ。
さっさと動いてください。せめて調理できるようなスキルをとらないと・・・。ブツブツ・・・。〉
栄養はあるよ?餓死する事が無くなっただけマシじゃない?
火すら扱えない中にしては頑張ったと思うけどね。
森の中を30分くらい行ったところに幅5メートルくらいの川があって飲み水には困らない。
この世界の魚ってどれくらい強いんだろ。どれもピラニアみたいな感じになってるのかな?
今の僕では勝てそうにないというのは分かる。
〈魚とか肉とか贅沢は言いません。せめて果物、そう果物です!それだったらおいしいはずです!〉
分かってる?今下手に結界から出ると死ぬんだよ?
誇張でも何でもなく生きてるのが奇跡なんだよ?
〈でも、ここは神殿(仮)なんですよね。絶対安全とは言い切れませんよ。
自分の体くらい守れるようになっとかないと困るのはマスターなんですからね?〉
・・・分かったよ。今日も探索をするってことで。
食材を集め始めて一時間たった。
ただ、あまりおいしそうなものはなさそうだ。昨日ドングリとか見つけれて本当によかった。野いちごなんかがあると思ったけど全然見つかんない。
セカさんの機嫌がどんどん悪くなっていく。
僕も、雑草(食べれる)とか言われてもなかなか食べる気が起きない。
一応持ってくけど。
昨日とかそのまま食べたけど。
一度に持てる量は多くない。神殿と何往復もしなくちゃ。
あ、でも今の服装は転生されたときのままなんだよね。
服って口を縛ればいい感じの袋になるかな。
・・・。
裸で森の中をさまようことになってしまった。
ちゃんとズボンは死守してるからセーフ!かな?
少し不安だ。
にしても、こうして見ると日本と大差ないね。
・・・うん、日本なら木が襲いかかってきたりめっちゃ強いうさぎさんはいないね。あくまでもファンタジー世界か。
あっ。蜘蛛の巣だ。でっかいなぁ。だいたい3メートルくらい?
また一気にファンタジー感が増したなぁ。
あれだよ、巨大蜘蛛はまあ王道だよね。だいたいの話でキモイって扱いになるけど。
ここで慌ててはいけない。
こうゆうのは「ぎゃーーー」とか大声上げて騒ぎたてるのがいけないんだ。静かに回れ右して、拠点に帰ろう。
ガサガサッ
「ぎゃーーー!!!なんかキターーー!!!」
静かに回れ右?できるわけ無いじゃないですか、ヤダー。THE・命の危機ですよ。
えーい、くらえっ!木の葉隠れの術!
そう言って僕は手に持ってた袋をひっくり返した。
〈何してるんですか!?せっかく集めた食料が!〉
命あっての物種です。緊急事態なんです。
〈だったらもっと派手にまかないと!袋ひっくり返すだけでは隠せないですよね!バカなんですか?〉
・・・。
・・・・・・。
あー、聞こえない聞こえない。
ナニヲイッテルカワカラナイヨ?