第十話~魂の受け皿~
ぴょん吉との間に繋がっていた光の線が薄くなっていく。
また、無くすのか。
いつもそうだ。
もし。
もしも僕に力があるのなら。
オリジナルスキルが眠っているというのなら。
この繋がりを失わない、そんなスキルがほしいと願った。
【スキル『魂の受け皿』を手に入れました。
他のユニークスキルへと統合されます。
スキル『鑑定』に「魂見」が加わりました。
スキル『スキル奪取』に「魂喰らい」が加わりました。
スキル『セカンドブレイン』に「魂の軌跡」が加わりました。
個体名 ぴょん吉と「魂の軌跡」を確認。
魂の接続を実行しますか?
許可を取得。
ただいま実行中。
接続終了。
現在の状況は(1/1)です。】
繋がった。
うしがめが『心』と言っていた意味が分かった気がする。
これは自分の望みを叶えるものだ。
さっきまでは薄れていた光の線が今ははっきりとしている。
だが、ぴょん吉と子うさぎちゃんの間の光は薄くなっているままだ。
依然としてぴょん吉は危険な状況にある。
誰かを癒やす力だったらもっと良かったのにと思うが贅沢は言ってられない。
ぴょん吉を助けなきゃ。
〈マスター、待ってください!勝てるわけ無いですって。さっさと逃げましょうよ!〉
ぴょん吉を見捨てろと?
〈鑑定してみて下さい!あのキングのステータスが全部4000以上上昇してるんですよ!〉
はぁ!?
鑑定してみる。本当だ。多少のばらつきはあるけど、平均して4500くらいにはとどいてそうだ。
それにしても・・・これが原因か?
王の力・・・一分間配下の儀式をしたものからス
テータスを徴収する。使用後一分間
上昇した分だけステータスが下降。
足りない場合は下降する時間が増加
する。
これがたぶんキングのユニークスキルなんだろう。
そしてぴょん吉のユニークスキルも見えた。
守護する者・・・最も愛するものを守るために戦
うとき、全能力値二倍。
魂見って言ってたな・・・。
相手のユニークスキルも見れるならだいぶ有利になるんじゃなかろうか。
〈分かったなら早く逃げないと!なんでのんびりしてるんですか!?〉
いやぁ、多分逃げても無駄でしょ?
それに・・・そろそろ一分経つからね。
そのとき、キングの体が崩れる。
時間切れだ。
まわりの連中もステータスは戻ってきていないようだ。
この隙にやってしまおう。
ぴょん吉がだいぶ片付けてはいたけど10匹くらい残っていたゴブリン達を石の斧(笑)でつぶしていく。
ピコンピコン音がうるさい。
後でまとめて確認しよう。
今はぴょん吉のところへ急ぐ。
ぴょん吉のすぐ側にはキングがいる。
でも今のこいつにはなにもする事ができない。
こいつのせいで、という思いもあるがこいつはただ襲ってきただけ。
自然の中ではよくあることだ。
だから、僕がこいつを殺してもなんの問題もないんだ。
◆ ◆ ◆
少し無駄な時間もあったが、ぴょん吉のところへたどり着いた。
ぴょん吉はすでに満身創痍だ。
どこから見ても生きる見込みはないように思える。
でも、この世界はファンタジーだ。
さっき杖を持ったゴブリンを殺したとき、回復魔法を手に入れてる。
それを扱うための魔力操作というスキルもある。
今なら、魔法が使える。
セカさんによって質を上げて僕の持っているmpの全てを注いで回復魔法をかける。
でも、ダメだった。
くそっ!くそっ!くそっ!
なんで、なんでだよ!?
分かってはいる。
僕の貧弱なステータスじゃこのレベルの怪我は治せない。
なら、何のために!何のためにユニークスキルなんてあるんだよ!
〈落ち着いて。〉
ふと聞こえたのはいつものとは違う声。でもなんとなく、聞き覚えのある声。
どっかのうさぎが人の声を出したらこんな感じなんだろうなと思えるようなそんな声。
なんだかとても安心できる声。
〈わたしのためにそこまでしてくれるのは嬉しいんだけど……。大丈夫だから。
あなたたちが無事で良かった。
わたしは家族が欲しかったの。
お母さんになりたかった。
わたしは優しいお母さんになるんだって思ってた。
丁度あなたと会った日に娘は生まれたの。
でもうまくできなくて。
そんなときあなたがいろいろとしてくれた。
笑っちゃうよね。わたしなんてまともにご飯も取ってこれなくて。
でも、そんなあなたも信じられないくらい弱っちくて。
少し守ってもらうってことにあこがれてたんだけどね。
そのかわりとても優しかった。
守りたいなあって心の底から思ったの。
だって、わたしには2人を守ることくらいしかできなかったから。
・・・ああ、そうなの。
娘のところまで連れて行って。
最後までいいお母さんでいたいから。〉
うう、ぴょん吉……。
僕はぴょん吉を抱っこして子うさぎちゃんのところまで連れて行く。ぴょん吉はもうグッタリとしていて、前のような元気さはもうない。
目から何かがこぼれてくる。
〈泣かないでよ。離れたくなくなっちゃうよ。
わたしだって、もっと一緒にいたかったよ。
あなたと一緒に出かけたり、
娘と3人でピクニックに行ってみたり。
ああ、起こさなくてもいいよ。
ふふ、可愛い寝顔。
ずっとこうしていたいなぁ。
あっ、そうだ。最後のお願い。
ちゃんとした名前をつけてくれないかな?
ずっと言いたかったけどぴょん吉って男の名前でしょう。
むう、女の子だと思ってなかっただって!
ぷんぷん。
ちゃんと生まれて三年目の女の子だよ。
最近、ぴょん吉でもいいかなぁ、って思ってきちゃったけど!女の子らしい名前がいいんだよ。
あなた、ってああ!
あなたの名前も聞いてなかったね。
ふーん、ショータっていうのね。
じゃあショータ。かわいい名前よろしくね。〉
やっべえ、なんかすごい責任重大な気がする。
〈なんかではなく、完全に重要案件ですよ。〉
セカさん、追い詰めないで。
ぴょん吉・・・いやぴょん吉呼びはもう違うか。
イメージとしては蹴ってたり飛び跳ねたりとかなんだけと・・・。
あ、でも食べてるときとかすっごくかわいいんだよね。あとなんだかんだいって優しくしてくれたし。
トレントに囲まれたときとかはヒーローみたいでかっこいいな、って思ったんだよね。
強くて速くてかっこよくて、それでいて優しくて頼りになる・・・。
風かなぁ。このイメージが一番しっくりくるや。
女の子っぽくというと風子とか?
なんか違うな。ひらがなにしてみよう。ふうこ、いやふーこ、かな?
〈ふーこでどうかな?僕としては頑張ったと思うんだけど。〉
〈・・・。〉
あれ?返事がない。
〈(ショータってば心の中でこんなふうに思ってたのか・・・照れるなぁー。)
う、うん。まあいいわよ。
ぴょん吉に比べたら、だけどねっ。
えへへ、嬉しいなぁ。
けど、もう限界みたい。
ショータ、娘をよろしくね。
あっ、娘も女の子なんだからね。
ちゃんと名前つけてあげてね。
さよなら。大好きだよ。〉
ふーこの体から完全に力が抜ける。
帰らぬものとなったことを残酷に告げる。
〈あれ!?なんでわたしまだ生きてるの!?〉
!?
なんかふーこの声が聞こえてきた!?
ふーこが驚いてる。
僕も驚いてる。
ふーこさんや。死ぬ死ぬ詐欺でしょうか?
案外余裕なんでしょうか。
〈違うからね!?体は動かせないですし。
というか、わたしの体じゃないみたいですし。〉
ん?どういうこと?
あとナチュラルに心の声に答えなかった?
〈さっきからずっと思ってることだだ漏れですよ?
あと、なんか視界が高いですし、わたしの体が見えてますし。
よく分からないのです。〉
〈それではその疑問にお答えしましょう!〉
セカさん!?急に自己主張してきたねっ。
頭の中で二つの声が響いてて酔いそうなんだけど。
〈ショータ、誰ですかこれ?〉
〈これなどと呼ばないでください。私はセカさんと申します。マスターのスキルの一部ですよ。これからよろしくお願いします、ふーこ様。〉
〈むう、まあいいです。ところで・・・わたしって死んだのですよね?〉
〈はい、体の方は生命活動を停止しておりますね。ただマスターのオリジナルスキルによって・・〉
長かったので省略
◆ ◆ ◆
まとめると、僕のユニークスキルは魂と魂を繋げるというスキルらしい。
本来なら、意識とスキルを共有するだけらしいが接続中に対象が死亡した場合魂のみが現世に留まっておくことができるようになるらしい。
〈それならわたしはまだショータと一緒にいられるってことなのですか?〉
〈そうなりますね。ただ子うさぎちゃんの方とは直接やりとりはできませんね。
レベルが上がればなんとかなるかもしれませんが。〉
〈それは残念なのです。だけど、我が子のことを見守ることくらいならできるのですね。〉
ふーこと一緒か・・・。
〈嫌ですか?〉
嫌じゃないよ。むしろ嬉しいかな。
ただ、プライバシーがかけらも無くなるんだけど。
あとさ、さっきと話し方変わってない?
ですます調じゃなかったと思うんだけど。
〈さ、さっきまではその、焦ってたのですっ。だからこっちが素なんですっ。〉
〈はいはい、夫婦喧嘩はいいですからさっさと次行きますよ。
とりあえずゴブリンは全滅させたわけですが、今のマスターがどれくらいになったのかが確認できないと安全圏が分かりません。
それと、どこに逃げるのかというのをちゃんと決めておきましょう。ふーこ様がいなくては伝手を頼ることもできないのですから。〉
そっか、ゴブリンを殺したからスキルが手にはいるのか。
ショータ アカサキ lv19
種族スキル 不明 木のふり 虫の知らせ
蝶鱗粉 多才 聴覚強化
ユニークスキル
スキル奪取lv3
セカンドブレインlv6
絆を守る者
メインスキル
蹴り補正Ⅱ lv49
脚力強化Ⅲ lv11
気配察知 lv70
跳躍 lv93
鑑定 lv50
サブスキル (19個)
鎌鼬 lv23
糸作り lv3
麻痺毒 lv2
吸蜜 lv6
蛍火 lv2
指揮 lv3
言語理解 lv31
高速思考 lv3
頑丈 lv18
料理 lv6
穴掘り lv21
剣補正 lv11
盾補正 lv7
魔力操作 lv15
魔力感知 lv11
結界魔法 lv3
回復魔法 lv5
クリエイトウォーター lv8
砂煙 lv8
増えすぎじゃない!?
この間までスキルがない~って言ってたのが嘘みたいだよ。
明らかに殺した数と得たスキルの数があってないし。
やけにスキルレベル高いスキルがあるんだけどこれって・・・。
どういうことなの?
〈というか、ショータって何者なのよ?なにこのステータス!ユニークスキルなんて4つも持ってるし!〉
そこから!?
さてどう話したものか・・・
〈あ、マスター。私がやっておくので。鑑定使ってスキルの確認しておいてください。〉
スキル確認中・・・
◆ ◆ ◆
やっと全部見終わった。全部はだるいのでだいたいでいくね。
蹴り補正Ⅱ…蹴りの威力にスキルレベル×2+50を
加算
脚力強化Ⅲ…脚力にスキルレベル×3+150を加算
気配察知…まわりの気配を感じる。スキルレベル
×1メートルの範囲を確認
跳躍…跳ぶときにスキルレベル×1を加算
鎌鼬…風の刃を生み出す。攻撃力はスキルレベル×3
指揮…配下を統率する。スキルレベルの人数まで。
言語理解…異国語を理解する。
高速思考…思考速度にスキルレベル×10を加算
頑丈…防御力にスキルレベル×2を加算
穴掘り…穴を掘るのがうまくなる。
剣補正…剣を扱うことに対してスキルレベル×1を
加算
盾補正…盾を扱うことに対してスキルレベル×1を
加算
魔力操作…魔力を操作する
魔力感知…魔力を感知する
結界魔法…防御のための魔法
現在使用可能な魔法は「簡易結界」
回復魔法…怪我を治す魔法
現在使用可能な魔法は「簡易回復」
クリエイトウォーター…水を生み出す魔法
砂煙…砂煙をたてる魔法
魔法の威力はスキルレベル×0.1×int(またはmin)×0.1×使用mp量×mp変換効率×魔法効率
という、複雑な式があるらしい。魔法によって様々な差が生じることになる。
おっと、ちょうどあっちも終わったようだ。
〈ショータ、案外すごい人だったのね・・・弱いけど。〉
ばっさり切られた!
〈まあ、実際普通だったらもっと色々とできるんですけどね。〉
レベルが19になったのにステータス10は変わらず。
やっぱり回復魔法が利かなかったもステータスのせいか。
って、そうだ!見たけどなんでスキルレベルがやけに高いのがあるのさ!レベル90とか何があったんだよ!
〈あー、ショータ。それわたしのスキルだと思うのです。前に見たときよりも少し上がってるのです?〉
え?ふーこのスキルをそのままもらってんの?
〈それが『魂の軌跡』の効果ですね。繋がった相手のスキルを使うことができるという。マスターがもらったスキルよりもチートっぽいですよね。〉
これを使えば何でもかんでも僕のスキルとして使える!?スキル奪取の存在意義は?
〈あ、当然制限があります。まず、繋がりを作るのが非常に大変です。
お互いがお互いを理解してて、相手のために命をはれるくらいの感情が必要です。
そして、繋げる相手の数も限られています。今は一人が限界ですかね。〉
へー。他も大事ってことか。あとスキル奪取とセカさんのレベルもあがってるな。
ん?なにこの『絆を守る者』って。
スキル奪取 lv3
・・・相手のスキルのうち2つを経験値1/10
で取得
レベルアップ条件
lv3 種族スキル『多才』を取得
セカンドブレイン lv6
・・・ユニークスキル『魂の軌跡』獲得
レベルアップ条件
lv5 『魂の軌跡』取得
lv6 種族スキル『多才』取得
絆を守る者 (ユニークスキル)
・・・絆を守るときに全能力値が
1+(『魂の軌跡』を結んだ数×0.1)倍
される。
〈それにしても、わたしのスキルってそんなにすごいのです?大したことないのですよ?〉
〈・・・。(自分のことを客観的に見れない人がここにも・・・。)〉




