表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

1.全力の思いを君に


 晴れ渡った青空の広がる公園に、少年少女が佇む。どちらの表情も笑顔が浮かんでいた。



『ねえ、タカくん。大きくなったら一緒に死のうね』


 ユカちゃんは、『将来、一緒に住もうね』位にあっさりとその言葉を口にした。

 いやね、一緒に住む事よりも死ぬ事の方が何倍も楽で現実的だけどね、と考えを改めてさせる事はせず、笑顔を返す。


『だね。一緒に死のう』

『ヤクソクだよ。あたしと、タカくんの二人だけのヤクソク』


 うん、と返事する代わりにユカちゃんの小さな手を握った。

 未来さえもまだ掴めぬ小さな僕の手の中に収まったユカちゃんの手を見れば、ユカちゃんは満足気に微笑んだ。

 愛しい、暖かい感情が未発達な胸で育った。


 その手をずっと握り締めていれてたらどんなに幸せだったのだろうか、あれから十年経った今でも考える。

 もっと僕が大人だったら、我儘だったら変わっていたのかもしれない。

 もっと僕が行動力のある奴だったら変わっていたのかもしれない。……なんて、今思っても遅いだろう。

 今となってしまえば全て幼き日の淡い思い出だ。

 意味もなく、生産性のないただの過去。


 きっと、ユカちゃんも僕の事なんて覚えていないだろう。

 僕はずっとずっと、彼女の発した全ての言葉に縛られて、生きているのだけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ