1.全力の思いを君に
晴れ渡った青空の広がる公園に、少年少女が佇む。どちらの表情も笑顔が浮かんでいた。
『ねえ、タカくん。大きくなったら一緒に死のうね』
ユカちゃんは、『将来、一緒に住もうね』位にあっさりとその言葉を口にした。
いやね、一緒に住む事よりも死ぬ事の方が何倍も楽で現実的だけどね、と考えを改めてさせる事はせず、笑顔を返す。
『だね。一緒に死のう』
『ヤクソクだよ。あたしと、タカくんの二人だけのヤクソク』
うん、と返事する代わりにユカちゃんの小さな手を握った。
未来さえもまだ掴めぬ小さな僕の手の中に収まったユカちゃんの手を見れば、ユカちゃんは満足気に微笑んだ。
愛しい、暖かい感情が未発達な胸で育った。
その手をずっと握り締めていれてたらどんなに幸せだったのだろうか、あれから十年経った今でも考える。
もっと僕が大人だったら、我儘だったら変わっていたのかもしれない。
もっと僕が行動力のある奴だったら変わっていたのかもしれない。……なんて、今思っても遅いだろう。
今となってしまえば全て幼き日の淡い思い出だ。
意味もなく、生産性のないただの過去。
きっと、ユカちゃんも僕の事なんて覚えていないだろう。
僕はずっとずっと、彼女の発した全ての言葉に縛られて、生きているのだけど。