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自称神という悪魔を滅ぼしてくれるわ!

 就寝に着いた私の隣のベッドで、神様ユーグが泣きながら寝ています。

 頭に来たのと体がなまらないようにと、追いかけ回したのがいけなかったかもしれません。

 先ほどからもっとお淑やかな女の子が良いと、延々とつぶやき続けるユーグを聞いていると、先ほどの私の行為は正しかったように思えましたが。


 そんな私達が気持ちよく眠っている深夜、それはやってきた。

 大きな轟音と共に破壊される壁。

 ユーグのベッドが粉々に吹き飛ばされる。


 そして現れる人影。

 黒い布をかぶった細身の人物だが、目が赤く光っている。

 何かそういえば最後の方のボスの魔王がこんな感じだった気がした私だが、そこで、


「ふ、ふはははは、ようやく、ようやくだっ! あいつを、憎々しいあいつを消し炭にしてやったぞ、あはははははは」


 高らかに笑う声から女性だと分かるが、何故いきなりそんな女性にこの自称神様なユーグを抹殺しようとするのだろうか。

 そもそもこの程度の攻撃でユーグは殺せるのだろうか。

 大体この私の攻撃をよける程度に戦闘能力のある神であるのに、威力はあるが私でさえよけられるようなこの攻撃を素直に喰らうだろうか?

 答えは……否だ。


 何時の間に移動したのか、私を盾にするかのように私の背後からユーグがひょっこりと顔を出して、


「あ、とうとう追いつかれちゃった。ルナ、あの人は魔王ヤード様だよ」


 そう私にのたまう。

 そこでその魔王と呼ばれた女性はじろりとユーグを見て、


「まだ止めを刺せなかったか、昼間から様子を見ていて、奇襲をしかけようと様子を伺っていたが……やはりここで私の真の力を解放しなければならないようだな、ユーグ!」


 そう叫ぶとともに、その女魔王様の体が魔力があふれだそうとしている。

 ちょっと待て、何故にここで戦いに! というか私が巻き込まれる!

 私は思わず叫んだ。


「ちょっと待って下さい! 何で私が巻き込まれているんですか!」

「ん? こんな所に幼女が。そうだな、可愛い子供だし将来は私の花嫁になるかもしれないし、見逃してやるか。おい、今すぐ逃げろ。そうしたらここで私はその自称神という悪魔を滅ぼしてくれるわ!」


 そう告げる魔王様は、壮絶に笑う。

 というかこのユーグ、一体何をしたと思いはする。

 するのだが自分でまいた種は自分でどうにかしろと思ったので私は、


「ほら、ユーグ、何だか知らないけれど恨まれているから、何とかしてよ」

「えー、でも魔王様こわいし」

「私がもっと怖い目に合わせてやりましょうか?」


 指を鳴らすと、ユーグはギクッとしてから魔王を見やり小さく呟く。


「痺れろ」

「ごふっ、体が……うぐっ」


 その魔王様な女性がしびれて動かなくなりました。

 床に倒れ込んだその助成を見ていると同時に魔力も感じないと私は気づく。

 どうやら魔力も封印されたらしい。

 その様子にもう安全だろうと思った私は、そこでユーグに聞く。


「所でこの世界の魔王様って女なの? 確か、ゲーム内では最後の逆ハーレム要員だった気がするんだけれど……男じゃなくて女になったの?」


 私はユーグに聞いたはずだった。

 そこでその魔王様な女性が憎々しげに顔を上げて、


「私は元は男だ! だが、だがある日私は……そこにいるこの世界の新米の神とやらに、女にされてしまったのだ!」


 魔王様は、衝撃的な告白を私にしたのでした。






 それから、もう少しお話を聞かせて頂けませんかというと、お茶とお菓子でもてなしてくれるならいいぞと魔王は答えた。

 そして逃げ出そうとするユーグを縄で椅子に縛り付けてから私は、眠っているところを申し訳ないと彼らに謝り、茶とお菓子を用意してもらう。

 私の部屋が壊れているのは、瞬時にユーグが直したのと、奇襲を仕掛けるために魔力反応や音が周りに漏れないようこの魔王様が結界をはっていたので誰も気づかなかったようだ。

 

 そして魔王様は椅子に座る。

 黒髪に赤い瞳の美しい女で、ゲームの時のキャラグラとその辺りは同じで名前も役職も同じ。

 彼女は不機嫌そうにしているが、菓子と紅茶を出すと少しだけ微笑んだ。


 その紅茶に一口口をつけてから、


「美味しいな。暫く口にしていなかったから、とても美味しい。それに茶葉もいいし」

「? そうなのですか?」

「ああ、部下達が媚薬を仕込み始めたからな」


 私はなんとも言えない顔で魔王様を見ていると、


「まあ全てそこにいる、新米神という邪神ユーグのせいなのだがね」

「あれがまた何かやったのですか?」

「“また”? とは」

「私は勇者としてこの世界に連れてこられるはずだったのですが悪役令嬢に」

「悪役令嬢? 悪役になるのが定められているのか? 難儀だな。でも勇者だと?」

「はい、本来男性のはずなんですが、あのユーグが女の子がいいからと」

「……なるほど、またか」


 またかという魔王様だが、一体何をしたのか。

 だがそれを聞く前に彼女のお茶を持つカップがカタカタ揺れる。

 それを見た私は、


「カップが壊れてしまいます。落ちつてください」

「すまない。思い出すと腹が立って……」

「それで一体あのユーグは貴方に何をされたんですか?」


 その私の問に魔王ヤードは、大きくため息を付いて、


「“女”にされたんだ、この邪神に」

「……何故」

「私が知りたいわ! ああ、確かハーレムを作っているイケメンが気に入らないと叫んでいたが、まさかそんな理由ではないだろうと思うのだが、それで女にされてはたまったものではないわ!」

「……いえ、多分ハーレム作っているイケメンが気に入らない、そのままの意味かと」


 そこで私と魔王ヤードの視線がユーグに向かう。

 ユーグは顔を背けて口笛を吹き始めた。

 その音楽はゲームのオープニング曲だったがそれは置いておいて、


「やっぱり今すぐここで抹殺を……」

「ま、待ってください」

「止めるな! 女になったとたんハーレムだった女には逃げられ、それまでちやほやしてきていた女達からそんな美貌が許せないと睨まれ、男の部下からは逆玉の輿狙いで襲い掛かられるは、実は男の時から愛していたんですと衝撃告白する奴はいるわ、飲み物には媚薬を盛られるわ、こいつらだけは大丈夫かと思った二人の部下には、二人がかりでベッドに押し倒されて……未遂だったが、そんな目に遭う羽目になったんだぞ!」

「待ってください、いまは世界の危機なんです! それが終わったら、私も一緒にこの阿呆神をどうこうするのを手伝いますから!」

「世界の危機?」


 それに頷き私は話し始める。

 どうやら魔王様ヤードはとても理性的な方だったようで、納得して下さり話を聞き、


「なるほど、それまではこの神を生かしておいてやってもいい。ただせめて私を元の男に戻せ」

「……女性にモテモテなのが気に食わないので嫌です」

「おまえ……やはりここでとどめを刺してやる!」

「うわぁああああ」


 悲鳴を上げて、ユーグが逃げていく。

 こういった理由から、魔王様が我々の味方になってくれたのでした。


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