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巨大な怪物

 白い霧の中の巨大な怪物。

 子供を怖がらせるための、ちょっと趣味の悪いツk理bなしの可能性も無きにしも非ず、と私は思ったけれど、その考えはすぐに否定された。

 別のお店で飲み物を数本購入した時にその噂を聞いいた、といった話が得られたのだ。


「“ブロッケン現象”というものかしら。でもあれは自分の影だったりとかそういったものだったような気も。大きくただ単に見えただけだし……本当に巨大生物がいるのかしら」


 この世界に転生そて六年ほどになるが、巨大な怪物等ドラゴンくらいしか思い当たらない。

 何かを見間違えたのか、それとも。


「ユーグ、他に何か思い当る物ってある?」

「話を聞いた範囲で大きい、となると、ドラゴンくらいしか思いつきません。後は巨大な木や、それに準ずるものを見間違えた、といった所でしょうか」

「見間違え、見間違えなら楽でいいけれど、そう簡単に出てこれない場所だもの。妙な怪物がいると考えて警戒だけしておくわ」

「……もしくは世界の崩壊の関係で、何かが変質してしまったといった可能性も」

「ゲーム内ではそんな描写なかったけれど、ありうるの?」

「……色々と僕が変えてしまいましたから。ある意味で望む方向に」

「そうよね、私は女の子だし」


 そう。

 私は勇者、それも男になるはずだったのだ。

 それを女に個にしたユーグは何というかちょっと……な気もする。


 しかも特殊能力持ちの悪役令嬢ってどんな展開だって気がする。

 だから私はそれが何か変に作用しているんじゃないのかなと思ったのだけれど、そこでユーグが、


「……だって、ルナが男になるのが嫌だったし」

「? そうなの? でも今の話だと私、ユーグに私が悪役令嬢になる前に会っているみたいだけれど」

「……さあ、どうでしょうね」


 そこで、少し困ったようにユーグが微笑む。

 そんな風な表情をされてしまうと私もそれ以上聞けなくなってしまう。

 どうして私なのか、何を隠しているのか。


 聞きたい言葉を飲み込む。と、


「それで、それならどうして私は女にされたんだ?」


 ユーグにヤード魔王様が怒ったように詰め寄っている。

 それに対してはユーグが一言。


「ハーレム作っているイケメンが気に入らなかっただけです」

「……やはり俺はお前が気に入らない! 綺麗なお姉さん達に囲まれているのが私は大好きなんだ! 男ならわかるだろう!?」

「綺麗な女性だからと言って、中身も清らかかどうかは別です。自分好みの女性に出会えなければ僕にとっても意味はないですから、そういったものには興味がありません」

「ぐ……だ、だが、綺麗な女性は魅力的だと思ったりしないのか!?」

「綺麗だなとしか思いませんよ。それ以上の感情はありません」

「……やはり邪神だから人間や魔族など、単なるそういった存在としか見ないのか? わからん、この生物の感覚が……」


 そう言って襲い掛かることなく真剣に悩みだしてしまったヤード魔王様。

 そういえば綺麗なお姉さんに弄ばれるだけのハーレムだったような気がしたのですが、


「その中に、恋愛感情というか独占したいとか、そういった“好き”という感情に陥った方はいなかったのですか?」

「……いや、ちやほやしてくれるのが嬉しかっただけだが、それがどうかしたのか?」

「そうですか……そのうち本当の恋愛をして好きな相手が出来るといいですね」

「? そうだな」


 といった話をしつつ私は、ヤード魔王様は恐ろしく初心ではないのかという疑惑を持った。

 だが本人の前ではそれは言えないので黙り、とりあえず一通り情報を集め、必要そうなものも買いそろえたので宿に戻る。

 そして、次の日の朝早く、宿をこっそり出発したのだった。


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