うやむやに
一番弱っている場所、私はそう明言した。
何故そう思ったのかというと、ゲーム内ではここが、イベントの場所であったからだ。
そう、二人ほど仲間になるイベント。
それがこの白い霧のイベントであったのだ。
だから攻略法も全て知っている私は、情報収集などせずにすぐその場所に迎える。
本来ならばそれは邪道ではあるけれど緊急事態だから仕方がない。
すべてが予定よりも早くにそれが引き起こされてしまったのだ。
それに、仲間となる二人があそこにいるのだから、早めに助けに行かねばならない。
世界を救う味方は多ければ多いほどいい。
そう私は思いながらそう告げると、フィフスが苦笑した。
「一番弱っている所が何処か分かる、ですか。それならばもっと早くに手を打っていただけた方が良かったですね」
「仕方がないわ。予定よりも世界の方かいが早いから」
「そうなのですか? ユーグ様」
問いかけるフィフスにユーグは少し黙ってから頷き、
「そう、予定よりも早くなっている」
「なるほど。そうなのですか。それで現在はその早くなっている予定よりも早い段階ですか?」
「……おそらくは」
「……妙に口ごもりますね」
「今は、この世界に降りるために能力を制限している部分もあるから」
「人のふり、をするためですか? ルナと同じようにふるまいたいがために?」
「……ルナの執事でもありますので」
「……なるほど」
そういった会話をしているが、どうやら予定よりも早くに私達は動けてはいるらしい。
しかもユーグは能力を制限しているらしい。となると、
「いざという時は能力を開放して、何とかすれば何とかなる?」
私はそうユーグに聞いてみた。
ならば怖いものは私には何もない気もしたのだけれどそこでユーグが、
「……もしも力を開放したなら、ルナにも影響するので今までの暮らしが出来なくなるかもしれません」
「え? どういう事? 私、変なものに変わってしまうの?」
「変わりますよ。全く違うものに変わってしまうかもしれません。ルナ自身がそう、“認識”してしまうかもしれませんので」
「……分かったわ。最終手段として、他の手も考えておくわ」
私はひとり頷いた。
そんな“変”なものになってしまうなんてお断りだ。
それっていったいどんなものだろうと考えると、とても不安である。
もしかしたなら、ねちょねちょのぐちょぐちょの、粘性のある液体みたいになってしまうのかもしれない。
それだけは絶対嫌だ。
は、もしかして黒くてカサカサするアイツみたいなことに……などと悪い創造が膨らんでいく。
だから私は、これから本気で準備しないとと、思う。と、
「ではこの場所に向かうとなると、次の“ジェレラの町”で一度集まり、徒歩で移動という事になりますね」
「そうね。そして、着いたら急いでそちらに向かうわね。出来るだけ走って」
「それはどうしてですか?」
「護衛の人達が絶対に行くのを止めると思うから、まかないといけないの」
「それは……そうですね、今は貴族のご令嬢ですからね」
頷くフィフスに、今はってどういう意味だろうと聞きたくなったのだが、そこで話は終わったからか出されたお茶菓子を嬉しそうに食べていた、ヤード魔王様に手を出そうとしたりという騒動があり、結局うやむやになってしまったのだった。




