目指す場所は
目の前で下克上の話をされてしまったヤード魔王様は青い顔で凍り付いていました。
もしかしたなら、
「三人がかりだとヤード魔王様でもきついですか?」
「! ふん、三人がかりで来てもこの私の敵ではない。ない、のだが……」
「?」
「……万が一負けたらどうしようという気はする」
ぽつりと弱気な事を呟いたヤード魔王様だけれど、それを聞きながら私は、
「逆ハーレムでいいじゃないですか。モテモテですし」
「! 私は逆ハーレムじゃなくて、ハーレムが欲しいんだ!」
「どっちもハーレムじゃないですか」
「全然違うよ! 私は男を侍らせたいのではなく、女を侍らせたいんだ!」
そう告げた魔王様ですが、私はハーレムの実態を知っていたのでそれ以上何も言えませんでした。
それから部屋に案内されて、この部屋は高級な場所だったのでソファーに向かい合うように座ります。
私が中心で、左が女魔王ヤード様で右がユーグです。
向かい合った反対側にはフィフスを中心に左右にメルトとソルトが座っています。
そこでフィフスがヤード魔王様を見て微笑み、
「何もしないから僕の隣に座る気はないかな?」
「絶対に嫌だ」
即座に答えるヤード魔王様残念そうに笑うフィフス。
すでにそれだけでつかれてしまったようなヤード魔王様は放っておくとして、
「それで、白い霧の件ですが」
「うん、その場所の亀裂をどうにか修正できればと思ったのでね。ただ、情報を集めると予想以上に広い範囲に広がっているみたいなんだ」
困ったという夜に大げさに手を振るフィフス。
だが亀裂と言っても、
「この世界の根幹をなす太古の木がある場所をどうにかしなければ、あの白い霧は収まりませんよ?」
「そうだね。ただその中心となる場所が何処なのか、一つなのか、複数なのか、ただ単にすべてが繋がっていて全てから吹きあがっているのか……それすらも分からない状況でね。何しろ連絡が取れないのだから。そうなると事前に入ってきていた幾つかの、亀裂という“予兆”のあった場所にまず向かうのが賢明かという話だよ」
「……その場所に亀裂があったといった話もすでに手に入れられているのですか? そちらで」
「その程度の情報は、ね。魔族の情報収集能力を侮らないで欲しいな」
肩をすくめたフィフスに私は、人間よりも早いんじゃと思った。
ただ、魔力に強い分魔力の変化に敏感で、異変にもしかしたなら魔族は気づきやすいのかもしれないが。
そこでフィフスが小さく微笑み、
「何事も早めの方がいい。取り返しがつかなくなる前に、手を打てるならば打ってしまった方が、ね」
「でも、動かせる人数がそこまでではないですから」
「それでもこれだけ力あるものが集まればある程度はどうにかなるでしょう」
「……それもそうね。ユーグもここにいるわけだし」
ここにユーグという神様も一緒に居るのだから、私達だけでもなんとかなるだろうと思っているとそこでフィフスが、
「けれど本来はその辺りの修正はそちらにいるユーグといった神様たちの管轄なんですよね」
「神様の世界も人手不足なのかしら」
だから私達が駆り出されているのかなと、特に深く考えもせずに私は口にする。
それにフィフスがちらりとユーグを見て、
「そうかもしれません。もともとこの世界は、二人の神様によって維持されている世界ですからね」
「? そうなの? ユーグ」
初耳な話に私がユーグに問いかけるとユーグがフィフスをじっと見た。
それにフィフスが笑って、
「そのような話を耳にしたことがあると、それだけの話ですよ。さて、それでその亀裂のあった場所ですが……」
そう言ってフィフスは地図を取り出した。
話をはぐらかされた気がしたものの、そこで私は亀裂のある場所を幾つか見て、
「……一番初めは、ここをまず目指した方がいいと思う」
「ほう、それはどうしてですか?」
フィフスが面白がるように聞いてきたので私は、
「ここが確か一番弱っている部分の一つだったからよ」
そう答えたのだった。




