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最初からミステイク!

 さて、私――よく見たら名乗り損ねいていましたが、ルナ・クレールと、できたてホヤホヤ新米神様のユーグは現在ある村に向かっています。


 理由はその村に目的の人物がいるからです。

 盛大な、わけではない家族だけの誕生日を迎えた私は、自分が最大限に可愛く愛らしく見える角度でお父様とお母様におねだりしてある田舎町に旅行を取りつけました。

 

「でも私一人と執事な君だけでの旅行は反対されたわね」

「……いや、親なら当然でしょう」

「仕方がないので、少し離れた場所から護衛の馬車が三台、しかも中には優秀な槍の名手などが沢山いるというので妥協したけれど……」

「でもそろそろ暗殺者に襲われるのは勘弁して欲しいです。昨日だって、ふと気配を感じて目が覚めたら黒ずくめの男がルナの前に立っていたんですよ」

「たかだか暗殺者が一匹いた程度でしょう? まあ、誘拐犯だったかもしれないけれど」


 美少女で高貴な血筋で優れた頭脳のを持つこの私は、誘拐して身代金をとってもよし、秘密兵器の開発に使ってもよし、この美貌を愛でてもよしという、非常に美味しい獲物なのだ。

 だがそれでも抹殺しようとするのはこの優れた頭脳がいかされることで、国柄に強くなるのを恐れた隣国の影響だ。

 そういえばゲーム内では世界の危機を救うためヒロインが活躍する時は、隣国はとても協力的に見せかけて、裏でヒロインたちのいる国……つまり私の国を乗っ取ろうと画策したりしていたような……それを企んでいた悪い?兄王子を倒して、確か攻略キャラの一人になっていた気が……。


「そこは、そのうち手を打ちましょう。今のうちに調教して下僕化しておけば暗殺者も来なくて楽か……」

「……あの、ルナ、なんだか今不穏な言葉が……」

「ああ、私も子供なのも含めて戦っていかないといけないから、使えそうな敵は下僕で、使えない敵は場合によっては排除して、使いものにならない味方は、適当にあしらうことにしているの」

「……貴族の社会ってそんなに恐ろしいのですか?」

「あら、私が天才なだけよ」


 その一言で済ませた私にユーグは絶句していた。

 ちなみに今の話は全て冗談なのだが、本気にされてしまったので訂正できないでいる。

 そこまでできれば気楽なのだが、残念ながら世の中そんな甘くはない。


 いっそのこと上手く操り人形にする魔法でも、手に入れればいいのだろうか。

 確かユーグは恋愛感情では操れないと言っていたのでそれ以外なら出来るのかなと思って、


「ユーグの力で人間支配はで来るかしら」

「うーん、どの程度効果が及ぶか分かりませんが、いざという時は多人数を操って強制的に破滅回避のための行動を取らせるくらいは出来るかと」

「ピンポイントで使えば効果的か。でも結構怖い能力ね」


 現在進行形で味方ならまあいいかと私は思って、そこで、ユーグが、


「何であちらの座席にはサンドバッグが置かれているのでしょうか」

「このサンドバッグがないと眠れないので、持参しているの。ストレスが多いし、身体も鈍るし」


 それ以上ユーグは私に問いかけず、そのまま私達はヒロインの村を目指したのだった。






 やってきたその村は、牧歌的な村だった。

 そんなのどかな農村に我々は潜入捜査を開始する。が、


「お嬢ちゃんどこからきたの?」


 村人のおばちゃんに声をかけられたので私は固まっているユーグの手を引き、


「いま、ふたりでせんにゅうそうさをしているの」

「そうなのかい。でもあまり村の外には行かないようにしなよ、危険な動物もいるからね」

「はーい」


 秘技、何処からどう見ても子供にしか見えない裏ワザ。

 本当の事をそのまま言っても全く相手にされないので、というか潜入捜査するよなものはここにはないからだろう。

 そんなわけで駆け回りもせず、私達は主人公の家にたどり着くが、そこで私は気づいた。


「そういえば勇者って男だった気が」

「僕がサポートしたいのは女の子なんですと、引き継ぎの時に駄々をこねたら女の子にしてくれました」

「……たっぷりこき使ってやるから楽しみにしていなさい」

「ええー、何で!」


 何かを言っているが私は適当に流して更に進む。

 どうやらヒロインはここにはいないようだ。

 となると楽しい遊び場に向かっているはずだが、そこで、


「それでヒロインに会ってどうする気ですか?」

「ヒロインは確か六歳の頃にその特殊能力を開花させていたはず。その力を今のうちに鍛錬しておけば、今後のレベルアップ作業も含めて時短出来るでしょう!」

「な、なるほど。それで今日ここへ」

「ええ、ただ六歳くらいの時と大雑把に説明されていたから性格な時期はわからない。ただ魔物に襲われている時に目覚めたはずよね」

「そういえばそんな設定があった気が……」

「もっとしっかりしてよね」


 私が嘆息しながら告げる。そこで私は見た。

 あのヒロインが幼馴染と一緒に大きな犬のような牙を持つ魔物に追いかけられて、そしてその魔物は私も獲物として認識したらしいことを。


「……どちらが捕食者か教えてあげるわ!」


 私はそれと同時に時間を止めて、短剣をスカートの中から取り出す。

 そして魔力を込めて、その魔物を切り裂いて、


「時間停止解除」


 その時には魔物は細切れとなり地面に落ちる。

 いつもの通り、華麗な技だわと思って私はある事実に気づいた。

 これってヒロインの特殊能力が開花されるイベントなんじゃ……。

 そこで冷や汗が滴り落ちる私に、


「たすけていただいてありがとうございました」


 ヒロインが私の前に現れたのだった。




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