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旅立ちました

 お外に遊びに行こうという話……では誤魔化せなかったので、どうしても私が行かなくちゃいけないのと駄々をこねた。

 初めは両親は渋ったものの、魔王ヤード様のおかげで、彼女? の力があれば大丈夫だろうという話になったのだ。

 それから馬車で移動することに。


 数時間で着く近場……というわけではなかったのが大変だ。


「歩いていどの距離が離れていても通信できるのはいいけれど、移動がもっと楽ならいいのに。……待てよ」


 そこで、馬車の内部で戦い始めたユーグとヤード女魔王様を見ながら私は、


「ユーグ、ちょっといい?」

「いいですよ。このヤード女体化(笑)魔王様の相手は片手でできますから」


 なんだとこの邪神が! お前など消し炭にしてくれるわ! と怒ったようにヤード様が炎の魔法を使うのですが、馬車内だからか炎が生まれても次々と魔法無効化を行い、ユーグはヤード魔王様を適当にあしらいます。

 この神様に勝てるのかなと私は思ったりしたのは置いておくとして。


「それでユーグ、転移魔法は使えるの?」

「使えますよ。でもあまり僕の力を使って干渉しすぎると、世界にどう影響してしまうか分からないんですよね。ただでさえ時空に強い負荷がかかっている状態ですので。……よほど危機的な状況であれば転移魔法で脱出しますが」

「そうなんだ。その時はよろしくね」


 今の会話で、もしも大変な事態に陥った時にはその魔法で逃げ出せると分かる。

 これなら多少無理しても大丈夫そうねと私が思っていると、御者の人が、


「お嬢様、今日はこの村で一泊しましょう」


 といった話になったのだった。











 私達が初日に辿り着いた宿は、そこそこ大きなものだった。

 街道沿いの宿であり、大きな町が二つあり、その両方の特産物が行き来するためか往来が盛んで、おかげでこの宿自体も大きい。

 この前と同様につけられた護衛の馬車の人達も、今日はこの宿に泊まるらしい。


 随分と賑わっているように見えるなと思いながら私達は、一応は高級な部屋を採ったのだけれど……。


「私たちは子供だから男女一緒でもよくて、ヤード魔王様は一人部屋にしますか?」

「せ、折角のお泊りだし、ルナたちと一緒の部屋でも良いだろう」


 どうやら私達の部屋に一緒に泊まりたいらしい。

 後で知ったのだがこの魔王様、俺様? だったので友達がいなかったらしい。

 強いものの宿命、と本人は言っていたが……。


 それは置いておくとして、お泊り会特有の枕投げをしたかったらしい。

 そういった“遊び”が楽しみだったそうだ。

 もちろん負けず嫌いなヤード魔王様なので、妥協の許されない勝負をしようとしていた、のだが。


 それは鍵を貰い、私達は部屋に向かっていく最中だった。

 声をかけられたのだ。


「こんな所にヤード様と腹黒幼女と邪神? がそろって、何をしているのですか?」

「ひぃい!」


 ヤード女魔王様が姫をを上げて私の後ろに隠れました。

 私、六歳の幼女なのですが……と突っ込みたい衝動を抑えつつ、私はその現れた男性に向かって名前を呼んだ。


「魔族の宰相のメルト様、どうしてこのような場所に?」


 そう私は問いかけたのでした。




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