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お前だけは絶対に許さない

 私は、ホクホクでした。

 現在、心地よい満足に満たされながら、コンテスト後のパーティに参加しています。

 見に来ていた観客というか生徒たちに取り囲まれる、魔王様ヤードとユーグ君。

 もちろん巨大な衝撃とともに敗退した私は放置プレイです。

 

 それが静かでいいわ、楽でと思いながらミルクのデザートを器に持って頂く。

 中には透明なゼリのようなものと、果物が浮かんでいる。

 甘くて美味しいわと、私がほのぼのしていると、


「お前、あのクレール家のあの娘なのか?」

「そうよ?」


 男性の姿に戻った……正確には男性の制服に戻ったローゼル君が話しかけてくる。

 だから私は、


「ちょっと大人になってみたの。いずれここの学園に来るだろうし」

「そうなのか。まあ、その頃には僕はここにいないだろうね。コレでコンテストにトップになれるだろう」

「あら、私貴方と直接戦っていませんから、普通に戦えば勝てると思いましてよ?」


 そう答えるとローゼルはむっとしたようでした。

 けれど私だって譲れません。

 先ほど捨てたとしても女のプライドが私には有ります。それに、


「私に楯突いて、許されると思っているの?」

「ふん、生意気な小娘だ」

「というか、こう見えて私結構な美少女なのに、酷いです」

「自分で言うか自分で」

「だって事実ですもの。この前だって男たちをロリコンにした少女って言われたし」

「……でも多分僕のほうが美しい」


 そう張り合うローゼルに私は溜息を口にして、手に持ったばかりのデザートを見て、


「貴方もお一ついかが?」

「別にいらない」

「貴方が食べないと私が食べる機会がなさそうだから、食べて」

「……自分基準か」

「そうよ、私だって色々大変なんだから」

「どんな風に?」

「脱、悪役令嬢計画☆、とか?」


 ローゼルが黙ったので私は彼の分のデザートを器に盛り、


「はい、どうぞ」

「……ありがとう」


 そこでローゼルが少し驚いたように私を見る。

 何だか困惑しているようだ。

 何でだろうなと思って私は、


「嫌いなものでも入っていたのかしら。どれ? 食べてあげるわよ?」

「え、いえ……好きなモノばかりです」


 何故か様子がおかしい。

 もしや彼の目線の先、つなり私の背後で何かが怒っているのだろうかと思ってみてみるが、相変わらずヤード女魔王様とユーグが男女に囲まれているだけだ。

 そういえば親衛隊っぽいのがいたようなと思うとユーグの回りにいる。


「親衛隊取られて、機嫌が悪いの?」

「……別に。明日には貴方も含めていなくなる」

「そうすればいつもどおり、ね」 


 そして私達は次の目的地に向かうのだ。

 現在のローゼルとの接触は良好。

 そして今回のコンテストにて手に入れた副産物。


 そう、女魔王ヤード様とユーグの女装写真だ。

 二人をぶつけて競わせただけあって、どちらも観衆を魅了するために自身の魅力を全開にしてくださったのでもう、非常に美味しい思いをさせていただきました。

 コレであの女魔王ヤード様に傾倒している二人の魔族へのカードが増えた。


 そして私のニヤニヤコレクションも増えた。

 素晴らしい。

 早めにドロップアウトしてよかった……。

 そんな幸せを私が感じているとそこで、


「何だか凄く満ち足りた顔をしているね」

「それはそうよ。先ほどの女装写真、あの二人のものを沢山手に入れたんだし」

「! せひ! せひ譲ってください!」

「あら、交換条件は?」

「……貴方の命令にその枚数分従いましょう」

「じゃあとりあえず三枚。すぐに複製しておいてよかったわ」


 そう言って私はローゼルに写真を渡す。

 魔力で色を付けるタイプの写真で、自分で現像できるのが利点だが、その分発色させるのが難しいと言われている。

 とは言え器用になんでもこなせてしまう私には問題なかった。

 こんな素晴らしい写真が手に入るならそれもよしと私が思っているとそこで、


「ルナは話しに聞いた恐ろしい存在ではないようですね」

「まあ、色々言われているし暗殺者も来るしで、怖い存在なのは確かよ?」

「でも僕の美しさに嫉妬して意地悪はしないんですね。女性なのに」

「……? 男に美しさで嫉妬してどうするの?」

「いえ、彼氏が僕の美しさに夢中になってしまうからで」

「だって私、貴方に美しさで勝てる自信があるし」

「……」

「……」


 そこで沈黙するローゼル。

 それに私はにっこりと微笑みミルクデザートを口にする。

 そこでローゼルが怒ったような顔で、


「そこまで言うならばいいだろう! この僕と勝負だ、ルナ!」

「えー、めんどうくさーい」

「むか、何だその余裕は……いいだろう、僕に勝ったらそのヤード魔王さまの写真をすべていただく」

「私やらないわよ」

「……」

「どんな挑発をされても私に利益がないと動かないわ。だって貴方とどうこうするよりは、ここでデザートが食べたいし」


 そう告げた私にローゼルは少し黙ってから、


「……特別に調合した化粧品、頼まれれば何でも作ってやる。コレでどうだ?」

「……まあ、いいわ。但しかける写真は一枚よ。その代わり、私が勝っても負けてもあげるわ」

「そんな……」

「コレは貴重なカードだもの。代わりに触手に襲われているヤード様写真をあげるから」

「いいでしょう、それで手を打ちます!」


 ローゼルは上手く私の手のひらで踊ってくれました。

 そして私とローゼルとのコンテストがおまけのように行われ……結果は私の大勝利に終わりました。







 次は負かせてやると告げるローゼルにまたねと手を振る。

 そして私とユーグは元の子供の姿に戻ったわけですが、


「ユーグは大人になると随分格好良くなるのね」

「え? 惚れちゃいました?」

「売れるかと思って」

「……ひどい、ルナはひどすぎる……」

「あはは、でも格好いいし可愛いかなって思ったかも」

「そうですか、ならいいです」


 ユーグが微笑んで一瞬私はその笑顔から目を離せなくなってしまう。

 そこでユーグが、


「だからもう、あんな変顔はやめてくださいね?」

「……じゃあもっとまじめに手伝ってね?」

「え? 嫌です」


 よしそのうちまたやってやろうと思うと疲れたようなヤード女魔王様が、


「もう嫌だ。私は男なんだ。女の子に囲まれてちやほやされたい……女の子……」

「でも今は女なのでヤード魔王様は、百合になってしまいますよ?」

「もう百合でもいい、女の子がほしいんだ……」


 そう言って私を抱きしめる女魔王ヤード様。

 随分とお疲れのご様子で、私は黙って抱きしめられていました。

 それにユーグが一言。


「ザマァ」

「……お前だけは絶対に許さない」


 こうしてユーグとヤード様の、仁義無き戦いが始まったのでした。

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