女として生きていくのもいいかも
コンテストに出場した私達。
そして記念すべき第一回戦といえば、
「何で一回目にユーグと私が競い合うのよ」
「いやー、偶然て恐ろしいですね」
そう笑うユーグに私の勘が囁く。
そう、これは全て仕組まれた出来事だったのだ!
「ユーグ、何かやった?」
「何をですか?」
「例えばあのくじの運命を操作したとか」
一番初めにあの紙の箱から番号をそれぞれ引き、私達は対戦する運びになったのだ。
初めの予備審査が十分ほどで終了し、16人が選ばれた。
その内の三人が私とユーグとヤード女魔王様だ。
本当にヤード様のスタイルは抜群だったので、借りる服をどれにしようかと選んでいると、
「どうだ! この黒い服は!」
「……何でタキシード何ですか」
「私が男だからだ!」
先ほどローゼル君に言われて妙にはしゃいでいる女魔王様ヤード。
それを奈落の底に落とすべく私は行動を開始した。
まずは、傍にあったフリルの付いた白いミニスカートを手に取り、
「まずはこれを履きましょうか」
「! な、なんて破廉恥な!」
「……魔王様、一つ聞いてもよろしいですか?」
「な、何をだ?」
「魔王様、ハーレムを作っていたんですよね?」
「もちろんだ、私を褒め称える美しい女性を回りに侍らして……」
「その人達、そういったミニスカートを履いていなかったのですか?」
「彼女達は私によくドレスをねだるので、それをプレゼントして着せていた。確かに短いスカートを望んだこともあったが、『魔王様は、私とスカート、どちらが魅力的なんですの?』と抱きしめられるようにして耳元で囁かれて……それ以上は言えなかった。でも上げたドレスもそろそろ新しいものがほしいと何度もねだられて、すぐに新しいものを作ったのだよな。……しかも街に出たら高く売られているのを見たこともあったよな」
それってまさか……と思ったけれど私は何も言わず、試しに、
「ちなみにその方も女体化したら逃げられたと」
「そうだ! はあ、まだ童貞なのに処女になるなんて。せめて一度くらいキスはしたかった」
悲しげに嘆く魔王ヤード様。
ただ今の話を聞いて思ったのはひとつ。
それってハーレムではなく、たか……。
いやいや、本人がハーレムって思っているんだからそれでいいだろう。
色々と聞いてはいけないようなことが待っている気がする。
これ以上聞いては駄目だ私。
そう、今すべきなのはこの女魔王様を何処に出しても、男共を飛ぶ鳥を落とすがごとく魅了してやまないエロ女にするのだ!
だからさっと私はそのミニスカートを手に持ち、
「やはり私は魔王様のコーディネートをしなければならないようです」
「! や、やめ……わ、私が着たいのはこの服……」
「いいからその魅力的な体で男も女も虜にしてこい!」
「いやぁあああああ」
素敵な悲鳴を聞きながら作り上げた魔王様は涙目でした。
やはり私の制服よりも短いスカートがいけなかったかなとは思ったのはいい思い出です。
さて、それはおいておくとして、目の前のユーグが笑う。
銀髪の長い巻き毛のかつらと白いドレスがとても良く似合っているが、彼はそんな私に、
「それでルナは僕に負けるつもりはあるの?」
ここで女のプライドとして負けてはいけないと、私が頑張っても良かった。けれど、
「……ここで負けておいたほうがあのヤード魔王様とあたった時に、魔王様が本気をだすんじゃないかしら」
「! ま、待ってください! 僕はここで……」
「よし、私頑張って変顔するわ。あれだっけ、アヘ顔ダブルピース?」
「いやぁあああ、止めてやめて、ルナの顔であれはやらないで! こんな美少女なのにぃいいいい」
「ユーグ、マジカワイソス(笑) さーてそれで行きましょうか」
「止めて、ルナ、冗談だよね!」
そして私はありとあらゆる技を持って、第一回戦を敗退したのだった。
第二回戦は、ヤード魔王様とローゼルとの戦いだった。
ローゼルが舞台に上がると同時に湧き上がる歓声、そして、
「僕のこと応援してね!」
「「「「はい!」」」」
男共が叫んでいた。
そして次に敵とも言えるヤード魔王様がやってくるが、その格好は、白く長い足を惜しげもなく出し、ヒールの高い靴で歩き、前かがみになってミニスカートを抑える魔王様だ。
顔を真赤にしていてそれはそれは恥ずかしそうだが、そこで何か一言と言われて、ヤード女魔王様は、
「み、見るな……」
恥ずかしそうに一言告げる。
その様子ににごくりとつばを飲み込む男性たち。
女性も惜しげなく出された足や腰、胸といったそのスタイルの美しさに一瞬見惚れて見つめる。
それに気づいたヤード女魔王様が更に顔を赤くしてプルプル震えながら、
「見るなって言っているだろう!」
そう大きな声で叫んで……そこで投票が開始される。
そして、女性の心を上手く捕らえた魔王様が、女装少年ローゼル君に勝利したのだった。
そして最終決戦はユーグと女魔王ヤード様の一騎打ちでした。
「お前になんか絶対負けない!」
「僕は負けてもいいのですが、皆さんが僕を選んでしまうんです」
「……お前、本気で言っているのか?」
「やっぱり僕って優れているんですね。たかだか女になった程度で僕に勝てるとでも?」
「……抹殺する。否、まずは敗北の味を教えてやる!」
「……ルナになら負けても良かったのですが、コレはどうでもいいから適当に負かそうっと」
そんな余裕めいた発言に魔王ヤード様が切れました。
ちなみにこのすぐ後ユーグに負けましたが。
腐っても神なユーグは色々規格外のようです。
そしてローゼルくんといえば、
「約束だから話を聞いてやる」
「実は……」
私が話をすると、ローゼル君は困ったように、
「それを信じろと?」
「信じずとも連絡を取れるようにしていただきたいのです」
「ふーん、別にいいよ。でも随分しっかりしているね、本当は何歳なんだ?」
「六歳です」
「……そうか、まるで話しに聞くルナ・クレールみたいだな」
「本人ですから」
そう答えるとローゼルは一歩下がり、顔を蒼白にする。
裏で何を言われているのかわからないが、とりあえず目的を果たしたので私は放置することにした。
そこで女魔王ヤード様が、
「所で、どうして私が男だと思ったんだ?」
「こんなにかわいい子が女の子のはずないからです!」
「……」
「まさかこの僕が負かされる思いませんでした。ですが今ならその格好を恥ずかしがる貴方の魅力がわかります。必ず……将来必ず、貴方を迎えに行きますので待っていてください。では!」
そう告げてローゼル君は恥ずかしそうに去って行きました。
それを見送りながらヤード女魔王様は、
「どうして私は今、告白されたんだ? 男と思われていたんじゃないのか?」
「それはあれです。照れ隠し?」
「……」
「初めから女の子としか見ていなかったみたいですし。これだけモテモテなので、女として生きていくのもいいかもしれませんよ?」
それを聞いた魔王ヤード様が、ユーグをいつもの様に追いかけまわし始めたのでした。




