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CANDY  作者: MIZUKI
19/22

8. -2 帰国

無事、飛行機が日本に到着した。

なんとなく、僕は席でゆっくりしていた。

多くの客が過ぎ去ってからのんびりと立ち上がり、遠い国での仕事の日々と飛行機に別れを告げ、日本に降り立った。


人々が整然と無駄なく素早く動いている。

早すぎるほどに感じる。

荷物を受け取ったとたんに、日本のテンポになって足早に過ぎていく人たち。

僕はそれに違和感を持つほど、自分の感覚が変化していることに気が付いて驚いた。


大きなスーツケースを受け取ると、足早に過ぎる人たちの邪魔にならないように端の方を歩き進んだ。

ゲートを出ると賑やかな人々の声や音がわっと耳に入ってくる。

思わず僕は立ち止った。それからゆっくり辺りを見回す。


「さて、どうやって帰ろうかな。」

荷物が大きいので、なるべく持ち歩きたくない。

僕はバスの発着所へ歩き出そうとすると、誰かに肩を叩かれた。

驚いて顔を向けると、サングラスをした女性が立っている。

一瞬僕は姫かと思ってしまったが、背格好が違った。しかし、見覚えがある。


「穂積さんですか?」

その女性が問いかけた。

「あ、あなたは確か・・・・マネージャさん?」

彼女は頷くと、僕の腕を取って「ついて来て下さい。」と言った。

僕はとたんに鼓動が早まり、緊張した。


黙って足早な彼女の後に続く。

彼女は駐車場へ向かった。

比較的車の少ない階の、エレベーターからも一番遠い場所に白いワンボックスカーが停まっている。


僕はますます緊張して、手の汗をぬぐった。

この車の中に姫がいる。

マネージャが車のスライドドアを開けた。


僕が荷物を持って乗り込もうとすると、彼女はそれを止めて「大きい荷物だ

け預かります。先に行ってますから。」と言って僕のスーツケースだけを車に入れ、さっさとドアを閉めてしまった。


「後はくれぐれもよろしく。」

そしてマネージャはワンボックスに乗り込み走り去ってしまった。

そして――――――。


ワンボックスの陰から現れたのは、紺色のポルシェだった。


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